はい!こちら、中学生パトロール隊です!!

華ノ月

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最終章 そして、白い鳥たちは大空へ向かう

第9話

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「じゃあ、出発しましょう!!」

 日曜日、颯希の元気な声でこの前断念した十二年前の放火現場に足を運ぶ。颯希と静也はパトロールの格好だが、月子と月弥は私服で来ている。

 颯希と月子が並んで歩き、その後ろを静也と月弥が並んで歩く。

「今日はハリケーンはどうしたの?♪」

 静也がハリケーンを連れてくると思ったらいなかったので月弥が聞く。

「今日は父さんが散歩に連れて行きたいってさ。犬の散歩、してみたかったらしいぜ?」

 静也がそう説明する。だが、実際はちょっと違う。


 回想。

「静也!たまには父さんにもハリケーンの散歩をさせてくれよ!」

 夕飯時に拓哉が静也にそう提案する。

「いいけど……、なんでまた??」

 拓哉の言葉に静也の頭の上にはてなマークが飛び交う。

「練習だよ!練習!!」
「練習?」
「そうだよ!孫が生まれた時のために練習だ!」
「……は?」
「場合によっては静也と颯希ちゃんの子供を散歩に連れて行ったりして面倒を見なきゃいけない時があるかもしれないからね!」
「なっ……?!」

 拓哉の言葉に静也が顔を真っ赤にする。そして、昔ならではの必殺ちゃぶ台返しのごとくの勢いで叫ぶ。

「犬と赤ん坊を一緒にすんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」

という、分かりそうで分からない会話が繰り広げられたのであった。

 回想終了。


「はぁ……まったく……」

 静也が昨日のことを思い出してか、小さくため息を吐く。隣で月弥ははてなマークが飛び交っている。

「……そういや、お前さ……」

 静也がそっと口を開く。

「何?」

 月弥がその言葉に返事をする。

「お前、月子のこと好きなんだろ?双子の姉ではなく、女として……」

 静也の言葉に月弥がどう返事していいか分からずに困った顔をする。

「双子で姉弟でそういう感情を持つのはどうかと思うがな……」

 静也の言葉に月弥は何も答えない。どう言えばいいか悩んでいる様子だ。

「まぁ、人の感情だし、俺は別に反対する気はない。ただ、周りがどう言うか分からないけど……」

 静也の更なる言葉に月弥は返答に悩む。

「じゃあさ……、月子を忘れるために颯希ちゃんを貰っていい?」

「……は?」

 突然の月弥の言葉に静也の口から間の抜けた声が出る。

「静也くん、颯希ちゃんのこと好きなんでしょ?♪」

「……なっ?!てめぇ……!!」

 いつもの軽い感じで聞いてくる月弥に静也が顔を真っ赤にして反論しようとする。

「というか、両思いだよね?♪」

「え……?」

 反論しようとして、ふいに月弥から出てきた言葉に静也が唖然となる。

「ここが現場ですね!」

 前を歩いていた颯希が声を上げる。その声で静也と月弥の会話は中断となり、何か手掛かりはないかと調べ始めた。



「木津さん、例の連続不審火ですがどうやらこの事件……」

 呉野がそう言って木津にある事を伝える。

「……じゃあ、この事件の犯人って……」

「えぇ、そうかもしれません……」

「奴を張り込もう……」

 呉野の言葉に木津が低く唸るような声で言う。

 こうして、木津と呉野は極秘で張り込みを開始した。



 暗がりの一室で一人の男が三人の男にある事を伝える。

「……協力ですか?」

 男の言葉に三人の男の内の一人がそう言葉を漏らす。

「そうだ……。協力してくれれば君たちがやった今までのことは黙っておいてやる。約束しよう……。だが、断れば……分かっているな?」

 男の威圧感のある言葉に三人の男たちは黙り込む。

「……分かりました。協力します」
「俺も……」
「分かりました……」

 三人の男がそれぞれ返事をする。協力と言っているが、この件に関して自分たちに拒否権はないと悟ったのだろう……。男の言葉に強制的に協力することになり、男の指示を聞いている。

 この男たちはいったい誰なのか……?

 分かるのはどの男もスーツを着ているという事くらいだった。



 ――――カタカタカタ……。

 部屋にパソコンのキーボードの音が響く。

ユウ『昨日、不思議な人に会ったよ。その人も過去に心に深い傷を負ってたみたいなんだけど、良くなるように頑張ったんだって。今は、そういう人たちの心のケアのような仕事をしているみたい』

 悠里が昨日のことをいつものサイトのチャットルームに打ち、メッセージを待つ。しばらくして、友理奈から返事が来た。

ユリ『そんな人いるんだね』

ユウ『その人に、良かったら施設に来ないかって言われた』

ユリ『そうなんだ。行くの?』

ユウ『とりあえず、見学かな?』

ユリ『そっか』

 そこで会話が途切れる。そこに、玲が参加してきた。

レイ『こんにちは。その人はそこまで状態が悪くなかったってことだよね?』

ユウ『それがそうじゃないみたい』

 悠里はそう打つと、楓の腕中の自傷行為の跡や楓の過去がかなり酷かったことを話す。

ユリ『……それでもいつか優しい光を見るために……か……』

レイ『かなり努力した人なんだね。そんな人いるんだ……』

 悠里の言葉に友理奈と玲が感心するような言葉を述べる。

ユリ『ユウは見学してみて良かったら行くの?』

ユウ『うん。それもいいかなって思ってる』


【ユリが退出しました】


「ユウが離れてっちゃう……」

 友理奈がサイトを出て、天井に手を伸ばしながらポツリと呟く。その表情はどこか泣きそうな表情をしている。

「行っちゃやだよ……。ユウ……」

 一筋の涙を流しながらそう小さく呟いた。



「じゃあ、行くぞ……」

 指示を出した男の車に三人の男たちが車に乗り込む。

 そして、ある場所に目印を付けてそこへ車を走らせる。



「……うーん、何も見つからないですね……」

 現場について何か手掛かりを探してみようとしたが、十二年も前の事なので何も手掛かりが見つからない。みんなで他の方面で捜査してみようかという話になる。

「とりあえず、休憩がてらあのカフェに行かない?」

 月子がそう提案し、みんなでカフェに向かう。


 その後ろを一台の車がゆっくりと近づいていく……。





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