102 / 128
最終章 そして、白い鳥たちは大空へ向かう
第16話
しおりを挟む
回想。
「ねぇ、こんなのはどうかな?一か八かなんだけど、手紙を出すって言うのは?」
「「手紙?」」
楓の言葉に颯希と静也の頭の上ではてなマークが浮かぶ。
「えぇ。確率はかなり低いんだけど、もしかしたら読んでくれるかもしれない。玲君って真面目なところがあるからそういうのをないがしろにするタイプじゃないし……」
楓の提案に「うーん……」と颯希が唸る。
「でもさ、手紙だと差出人の名前がいるよな?知らない人の名前を使うわけにもいかないし、楓さんの名前を書いたらポストから出したのが母親の場合、捨てられる可能性があるんじゃないのか?」
静也がそう疑問を唱える。
「だからね、その差出人の名前を『転校していった心の友より』ってしたらどうかな?それなら、母親も昔の玲君の友達が転校していって久々に手紙をくれたのかなって思うかもしれないじゃない?」
かなり無謀な話のようにも思えるが、連絡を取る手段とすればそれしかないのかもしれない。今の時代ならSNSで何かしらの情報は掴めて連絡を取る手段も取れるが、それをやっていないとすれば、連絡の取りようがない。
「今はその方法しかありません。やってみましょう!」
こうして、楓が手紙を書き、その手紙に自分の携帯番号とメールアドレスを添えて今の時代にはマイナーな方法だが、手紙を出すことにしたのだった。
回想終了。
「どうして……、あの人が……?!」
手紙の差出人が分かり、玲が驚きの声を出す。
その手紙にはこう書かれていた。
『玲君へ。
かなりお久しぶりですね。高校の時にクラスメートだった杉下楓です。お元気していますか?突然の手紙に驚いたことだと思います。私は今、障がい者福祉施設の職員として働いています。あの頃、玲君は私にとって憧れでした。勉強も出来て弓道も得意でこんな素敵な人って本当にいるんだなって感じたんです。突然、海外に転校してしまった時は少し寂しくもなりました。今は、元気に過ごしていることを祈るばかりです。
話は変わりますが、実は先日、玲君の家に伺いました。門前払いをされましたけどね。玲君が海外に行く直前に放火事件があったのをご存じですか?これは私の想像ですが、その放火事件で何かしら被害を受けたのではないかと心配して家に伺いました。もし、何か被害に遭い、苦しんでいるのだとしたら、少しでも手助けをしたいと思います。もし、その事件がきっかけで心を病んでしまっているのなら、救ってあげることができればと思っています。もし、この手紙を読んで何もなくても、一度話ができたら嬉しいのでご連絡ください。私の携帯番号とメールアドレスを添えておきます』
手紙を読みながら玲が静かに涙を流す。
「杉下……さん……。僕に……とっても……杉下さん……は……憧れだった……よ……」
その手紙を握り締めて涙声で嗚咽を漏らしながら囁くように言葉を綴る。
そして、ひとしきり泣くと玲は楓にあるメッセージを送ることを決意した。
「あれ?あれって……」
颯希と静也が校門を出たところで、迎えを待っている月子と月弥に気付く。
「月子ちゃん!月弥くん!」
颯希が二人に声を掛ける。
「やぁ♪颯希ちゃんに静也くんじゃないか♪」
月弥がいつもの調子で話す。その横にいる月子はいつもの表情に影を少し落としているように感じる。
「月子ちゃん、大丈夫ですか?」
颯希が月子の様子を心配してそう言葉を綴る。
「えぇ、大丈夫よ」
月子は微笑みながらそう答えるも、どこか暗い。
「そういえば、もう捜査はしていないのよね?」
月子が十二年前の放火事件の捜査のことを聞く。
「はい。あんなことがあったのでもう捜査をするのは止めています……。また、危険な目に合ってもだめですし……」
颯希が申し訳なさそうな表情でそう言葉を綴る。
「ごめんなさいね……。私たちの提案であんな危険な目に遭わせてしまって……」
月子が頭を下げながら言葉を綴る。
「いえ!大丈夫なので、頭を下げないでください!本当に大丈夫ですから!!」
頭を下げる月子と月弥に颯希が慌てた様子でそう伝える。
そうこうしていると、月子と月弥の迎えの車が到着して、その車に乗り込み、「またね」と言って去っていく。
その様子を颯希と静也は見届けると、自分たちは捜査のために足を進めた。
「……どうする?そろそろ例の現場に行くか?」
「そうですね……。そろそろ私たちも行動を開始しましょう」
――――トゥルル……トゥルル……。
そこへ、颯希の携帯電話が響き電話に出る。相手は楓からだった。
『返事が来たわよ!』
楓が電話越しにそう伝える。
「じゃあ、今から合流しましょう!」
颯希がそう言うと電話を切り、颯希の家で楓と合流することになった。
「月弥、月子の調子はどうだ?」
家に帰り、月弥がリビングでくつろいでいると父親が声を掛けてきた。その隣には母親もいる。
「良い……とは言えないかな?例の誘拐があったとはいえ、それだけではないような気もするし……」
月弥がそう話す。
「実はね、例のことを月子にも話そうと思っているのよ。もしかしたら、安心するかもしれないしね……」
「え……。あの事を……?」
「そうよ……」
母親の言葉に月弥が驚くような表情になる。
「でも……、今の調子が良くない状態で話したら不安定になるんじゃ……」
「逆に月子は安心すると思うわ……」
月弥の心配の言葉に母親がそう言葉を掛ける。
そして、母親が知登世に月子を連れてくるように伝える。知登世は「分かりました」と言うと、月子の部屋に向かった。
しばらくして、知登世が月子を連れてリビングにやってくる。
「パパ、ママ、話って何?」
月子が戸惑っているような表情でそう問う。
「実はね……」
そう言って、両親はある事を話し始めた。
「颯希ちゃん!玲くんからとんでもない返事が来たの!!」
楓は颯希の部屋に入るなり、どこか興奮状態で言葉を綴る。
「これなんだけど、見て!!」
楓がそうやって、届いたメッセージを颯希と静也に見せる。
「これは……?!」
「ねぇ、こんなのはどうかな?一か八かなんだけど、手紙を出すって言うのは?」
「「手紙?」」
楓の言葉に颯希と静也の頭の上ではてなマークが浮かぶ。
「えぇ。確率はかなり低いんだけど、もしかしたら読んでくれるかもしれない。玲君って真面目なところがあるからそういうのをないがしろにするタイプじゃないし……」
楓の提案に「うーん……」と颯希が唸る。
「でもさ、手紙だと差出人の名前がいるよな?知らない人の名前を使うわけにもいかないし、楓さんの名前を書いたらポストから出したのが母親の場合、捨てられる可能性があるんじゃないのか?」
静也がそう疑問を唱える。
「だからね、その差出人の名前を『転校していった心の友より』ってしたらどうかな?それなら、母親も昔の玲君の友達が転校していって久々に手紙をくれたのかなって思うかもしれないじゃない?」
かなり無謀な話のようにも思えるが、連絡を取る手段とすればそれしかないのかもしれない。今の時代ならSNSで何かしらの情報は掴めて連絡を取る手段も取れるが、それをやっていないとすれば、連絡の取りようがない。
「今はその方法しかありません。やってみましょう!」
こうして、楓が手紙を書き、その手紙に自分の携帯番号とメールアドレスを添えて今の時代にはマイナーな方法だが、手紙を出すことにしたのだった。
回想終了。
「どうして……、あの人が……?!」
手紙の差出人が分かり、玲が驚きの声を出す。
その手紙にはこう書かれていた。
『玲君へ。
かなりお久しぶりですね。高校の時にクラスメートだった杉下楓です。お元気していますか?突然の手紙に驚いたことだと思います。私は今、障がい者福祉施設の職員として働いています。あの頃、玲君は私にとって憧れでした。勉強も出来て弓道も得意でこんな素敵な人って本当にいるんだなって感じたんです。突然、海外に転校してしまった時は少し寂しくもなりました。今は、元気に過ごしていることを祈るばかりです。
話は変わりますが、実は先日、玲君の家に伺いました。門前払いをされましたけどね。玲君が海外に行く直前に放火事件があったのをご存じですか?これは私の想像ですが、その放火事件で何かしら被害を受けたのではないかと心配して家に伺いました。もし、何か被害に遭い、苦しんでいるのだとしたら、少しでも手助けをしたいと思います。もし、その事件がきっかけで心を病んでしまっているのなら、救ってあげることができればと思っています。もし、この手紙を読んで何もなくても、一度話ができたら嬉しいのでご連絡ください。私の携帯番号とメールアドレスを添えておきます』
手紙を読みながら玲が静かに涙を流す。
「杉下……さん……。僕に……とっても……杉下さん……は……憧れだった……よ……」
その手紙を握り締めて涙声で嗚咽を漏らしながら囁くように言葉を綴る。
そして、ひとしきり泣くと玲は楓にあるメッセージを送ることを決意した。
「あれ?あれって……」
颯希と静也が校門を出たところで、迎えを待っている月子と月弥に気付く。
「月子ちゃん!月弥くん!」
颯希が二人に声を掛ける。
「やぁ♪颯希ちゃんに静也くんじゃないか♪」
月弥がいつもの調子で話す。その横にいる月子はいつもの表情に影を少し落としているように感じる。
「月子ちゃん、大丈夫ですか?」
颯希が月子の様子を心配してそう言葉を綴る。
「えぇ、大丈夫よ」
月子は微笑みながらそう答えるも、どこか暗い。
「そういえば、もう捜査はしていないのよね?」
月子が十二年前の放火事件の捜査のことを聞く。
「はい。あんなことがあったのでもう捜査をするのは止めています……。また、危険な目に合ってもだめですし……」
颯希が申し訳なさそうな表情でそう言葉を綴る。
「ごめんなさいね……。私たちの提案であんな危険な目に遭わせてしまって……」
月子が頭を下げながら言葉を綴る。
「いえ!大丈夫なので、頭を下げないでください!本当に大丈夫ですから!!」
頭を下げる月子と月弥に颯希が慌てた様子でそう伝える。
そうこうしていると、月子と月弥の迎えの車が到着して、その車に乗り込み、「またね」と言って去っていく。
その様子を颯希と静也は見届けると、自分たちは捜査のために足を進めた。
「……どうする?そろそろ例の現場に行くか?」
「そうですね……。そろそろ私たちも行動を開始しましょう」
――――トゥルル……トゥルル……。
そこへ、颯希の携帯電話が響き電話に出る。相手は楓からだった。
『返事が来たわよ!』
楓が電話越しにそう伝える。
「じゃあ、今から合流しましょう!」
颯希がそう言うと電話を切り、颯希の家で楓と合流することになった。
「月弥、月子の調子はどうだ?」
家に帰り、月弥がリビングでくつろいでいると父親が声を掛けてきた。その隣には母親もいる。
「良い……とは言えないかな?例の誘拐があったとはいえ、それだけではないような気もするし……」
月弥がそう話す。
「実はね、例のことを月子にも話そうと思っているのよ。もしかしたら、安心するかもしれないしね……」
「え……。あの事を……?」
「そうよ……」
母親の言葉に月弥が驚くような表情になる。
「でも……、今の調子が良くない状態で話したら不安定になるんじゃ……」
「逆に月子は安心すると思うわ……」
月弥の心配の言葉に母親がそう言葉を掛ける。
そして、母親が知登世に月子を連れてくるように伝える。知登世は「分かりました」と言うと、月子の部屋に向かった。
しばらくして、知登世が月子を連れてリビングにやってくる。
「パパ、ママ、話って何?」
月子が戸惑っているような表情でそう問う。
「実はね……」
そう言って、両親はある事を話し始めた。
「颯希ちゃん!玲くんからとんでもない返事が来たの!!」
楓は颯希の部屋に入るなり、どこか興奮状態で言葉を綴る。
「これなんだけど、見て!!」
楓がそうやって、届いたメッセージを颯希と静也に見せる。
「これは……?!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました
ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公
某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生
さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明
これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語
(基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる