はい!こちら、中学生パトロール隊です!!

華ノ月

文字の大きさ
112 / 128
~番外編~ 夏の花は優しい日差しに包まれる

第6話

しおりを挟む
 あの後、男性からは名刺が渡された。そして、今度の日曜日に撮影をしようという流れになる。時間と場所は電話とメールで追って知らせるということになった。

 あの後、芹香は夢のような話にルンルン気分で家に帰った。そして、親にモデルのスカウトを受けたことを話す。そして、やってみたいという事を伝えると、心配そうな顔もしたが許可してくれた。



「えっ?!モデル?!」

 次の日に学校に行った芹香は真奈美にモデルにスカウトされたことを話した。真奈美はその言葉に驚き、更に言葉を綴る。

「……モデル業界も衰退したのね」

「ちょっと!なんでそうなるのよ?!」

 さらっと残酷な言葉を言う真奈美。
 
 そして、芹香はその言葉に異論を唱える。
 
 更にそこには「友達になりましょう」宣言をした芽衣もその場にちゃっかりといる。芽衣も鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

「まあ、本人がやりたいのならいいんじゃない?」

 そう言って芽衣が場をまとめる。その時、芽衣が何かを感じたのか、芹香に言った。

「そういえば、その人から名刺を貰ったって言っていたけど、今って持ってる?」

「うん、あるよ」

 そう言って、財布から名刺を取り出す。芽衣がその名刺を受け取り、それを見て言う。

「まぁ、偽物でもなさそうだし、スカウトされたのは本当みたいね」

 実は疑っていましたと言わんばかりの発言をする芽衣。

 そして、名刺を芹香に返すと芹香はその名刺を大事そうに財布の中にしまった。

 
 チャイムが鳴り、授業が始まるので三人はその場を後にした。


 放課後、芽衣は透と部室に行きそれぞれの活動をしていた。そして、休憩に入ったときに芽衣が言う。

「ねぇ、芹香がモデルにスカウトされた話は聞いた?」

「……は?」

 突然の言葉に、透は拍子抜けする声を出す。

「誰が、モデルにスカウトされたって……?」
「だから、芹香」
「土方、何の冗談を言ってるんだ?」
「冗談じゃなくて本当」
「いや、どう考えてもあり得ないだろ」
「でも、本当なのよ」
「いや、天変地異が起こらない限り無理だろ」
「真奈美もそんなこと言っていたわ。でも大マジの話よ」
「いや、だってどうなったらそうなるんだ?」
「不思議と言えば不思議だけど、ホントなのよ」
「マジかよ」
「マジです」
「………」
「………」


「嘘だろ………」


 芽衣が冗談で言っているわけじゃないことが分かると、透は心底信じられないという顔をする。

「俺、今日はもう帰るわ………」

 そう言って、透は部室を出た。芽衣は「またね~」と言って物語の続きを書き始める。そして、書いてる途中で何かを思い出したのか、ネットを開きある事を調べ始めた。



 夕飯の時間が終わり、芹香がリビングでくつろいでいると母親に声を掛けられた。

「芹香~、颯希ちゃんが芹香とお話ししたいから家に来てくれないかって言っているんだけど、どうする?行く?」

「颯希ちゃんが?うん、分かった。行くよって言っておいて」

「分かったわ」

 その時、芹香のスマホにメールが届いた音が響いた。

 
 芹香は行く準備をして透の家に向かった。近所なので透の家には五分もあれば着く。

 透の家に着き、チャイムを鳴らす。

「こんばんは~」

「あら、いらっしゃい。さっ!上がって!」

 家の上がり、リビングに通される。リビングには颯希がいた。芹香が来たことに気付き声を上げる。

「いらっしゃい!芹香ちゃん!」

 颯希がポニーテールを揺らしながら笑顔で挨拶する。

「こんばんは、颯希ちゃん。何か私に話があるんだって?」

「えっとぉ………」

 芹香の問いに颯希が言葉を濁す。

「実は、芹香ちゃんを呼ぶように言ったのはお兄ちゃんなのですよ……」


「……へ?」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公 某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生 さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明 これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語 (基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

処理中です...