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第四章 新たな使命は特にない
第1253話
部屋は無駄に広かった。
高い天井、深い色合いのカーテン、柔らかい灯り。
細やかな装飾が施された壁に、毛足の長い絨毯が敷き詰められたふかふかの床。
これなら子どもたちが転がっても問題ないだろう。……あとで僕も、こっそり転がってみようかな。
まるで異世界の王族のお部屋みたい。
あっ、ここ異世界だった。
そしてこの部屋をコーディネートしたの、砂漠の王室に嫁いだうちのカイちゃんだった。
納得したけれど、規模がちょっと想像を超えている。
テーブルひとつとっても彫刻が細かいし、置いてある壺は……これ、タイガの作品っぽいなぁ。
さりげなく飾られた鏡の縁も、たぶん宝石だね。
どの家具もお高そう。
高そうじゃない、絶対に高い。
カイちゃん、この部屋に幾らかけたんだろう?
この絨毯にジュースこぼしたら、弁償代が恐ろしい。
あ、えっちゃんかアー君にクリーン掛けてもらえば大丈夫か。
『ソファふかふかぁ』
高級そうなソファにシャムスが飛び込み、ぽふん、と沈み込んで、そのまま全身を溶かすように動かなくなった。
自宅でもクッションコーナー好きだもんねぇ。
「ママ、専属バトラーはどうする?」
「バトラーってなんだっけ?」
「スイートルームに専属でつく、いわゆる「執事」かな?」
食事の手配から観光、曲のリクエスト、スケジュール管理まで、専属で世話をしてくれる人らしい。
「……曲のリクエストってなに??」
「好きな曲をイエティが流してくれるみたいだな」
『バナナ!』
「今なら王子もいるし、砂漠バナナも火山バナナもリクエストに対応してくれると思う」
そんなサービスはいらない。と言いたいけど、シャムスには大ウケしているっぽいですね。
「悪魔、吸血鬼、イエティ、サボテン、好きな種族から選べるぞ」
「吸血鬼は分かるけど、悪魔もいるの?」
古の王様と仲がいい悪魔二人がバトラーやるとは思えないなぁ。
だってあの二人は遊ぶ専門だし。
「ここに入り浸っている悪魔が、より快適に過ごすために下位の悪魔を勧誘してきたってカイが言ってた」
王様にアロハシャツ着せたり、転生リッチとスノボしたり、魔物に交じってプールで泳いだり――遊んで暮らしているあの二人が高位の悪魔?
セティの所で酷使されている悪魔たちが、血涙流して羨みそう。
なお、選考したのはカイちゃん、教育したのもカイちゃん、そして「分からせた」のはカイちゃんとセティらしい。
だから、僕らに害を為すことは絶対にないそうです。
相変わらず裏情報が怖い。
とりあえずアー君にお任せしたら、しばらくして悪魔バトラーがやってきた。
額にかからないようきちんと撫で付けられた髪。
黒の燕尾服に白手袋。
いかにもそれっぽい、ような気がする。
あと、とても顔がいい。
カイちゃんの選考を通っただけあって、物腰も柔らかい。
「ご指名いただき、ありがとうございます」
「うん、ママに果物を。あと俺にはオレンジジュース、シャムスは?」
『うさぎりんご!』
「承知しました」
シャムスにはうさぎりんご。
僕には柿や梨、ブドウが山盛りになったフルーツの盛り合わせが用意された。
この果物、もしかして涼玉の引き起こした収穫地獄の戦利品ですか?
高い天井、深い色合いのカーテン、柔らかい灯り。
細やかな装飾が施された壁に、毛足の長い絨毯が敷き詰められたふかふかの床。
これなら子どもたちが転がっても問題ないだろう。……あとで僕も、こっそり転がってみようかな。
まるで異世界の王族のお部屋みたい。
あっ、ここ異世界だった。
そしてこの部屋をコーディネートしたの、砂漠の王室に嫁いだうちのカイちゃんだった。
納得したけれど、規模がちょっと想像を超えている。
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さりげなく飾られた鏡の縁も、たぶん宝石だね。
どの家具もお高そう。
高そうじゃない、絶対に高い。
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あ、えっちゃんかアー君にクリーン掛けてもらえば大丈夫か。
『ソファふかふかぁ』
高級そうなソファにシャムスが飛び込み、ぽふん、と沈み込んで、そのまま全身を溶かすように動かなくなった。
自宅でもクッションコーナー好きだもんねぇ。
「ママ、専属バトラーはどうする?」
「バトラーってなんだっけ?」
「スイートルームに専属でつく、いわゆる「執事」かな?」
食事の手配から観光、曲のリクエスト、スケジュール管理まで、専属で世話をしてくれる人らしい。
「……曲のリクエストってなに??」
「好きな曲をイエティが流してくれるみたいだな」
『バナナ!』
「今なら王子もいるし、砂漠バナナも火山バナナもリクエストに対応してくれると思う」
そんなサービスはいらない。と言いたいけど、シャムスには大ウケしているっぽいですね。
「悪魔、吸血鬼、イエティ、サボテン、好きな種族から選べるぞ」
「吸血鬼は分かるけど、悪魔もいるの?」
古の王様と仲がいい悪魔二人がバトラーやるとは思えないなぁ。
だってあの二人は遊ぶ専門だし。
「ここに入り浸っている悪魔が、より快適に過ごすために下位の悪魔を勧誘してきたってカイが言ってた」
王様にアロハシャツ着せたり、転生リッチとスノボしたり、魔物に交じってプールで泳いだり――遊んで暮らしているあの二人が高位の悪魔?
セティの所で酷使されている悪魔たちが、血涙流して羨みそう。
なお、選考したのはカイちゃん、教育したのもカイちゃん、そして「分からせた」のはカイちゃんとセティらしい。
だから、僕らに害を為すことは絶対にないそうです。
相変わらず裏情報が怖い。
とりあえずアー君にお任せしたら、しばらくして悪魔バトラーがやってきた。
額にかからないようきちんと撫で付けられた髪。
黒の燕尾服に白手袋。
いかにもそれっぽい、ような気がする。
あと、とても顔がいい。
カイちゃんの選考を通っただけあって、物腰も柔らかい。
「ご指名いただき、ありがとうございます」
「うん、ママに果物を。あと俺にはオレンジジュース、シャムスは?」
『うさぎりんご!』
「承知しました」
シャムスにはうさぎりんご。
僕には柿や梨、ブドウが山盛りになったフルーツの盛り合わせが用意された。
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感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!