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第二章 聖杯にまつわるお話
第302話
しおりを挟むレモンを大量消費した翌日、女神様から遊びに来いよと珍しいお誘いがあった。
いえ、遊びに誘われるのは良くあるけれど、いつもはおやつやお土産の要求の一つもあるんです。なんだろうスタンピードでも起こしたのかな?
まぁいいや、ついでに高級レモンで作ったレモンシロップを一本おすそ分けしよう。
こちら数が限定されている希少品になります。
「女神様の所に一緒に行く人ー」
『あい』
「俺も俺も」
「アー君はどうします?」
「行く! 仕事は昨日のうちに終わらせてある!」
そんな感じで帝国にやってまいりました。
手前の出入り自由な回遊庭園はそのままだったけど、女神様の離宮は相変わらず景色が安定しておりません、トレントが走り回って自主的に模様替えしているのが原因です。
マラソンするトレントの横を通り過ぎ、勝手知ったる女神様の離宮を進んでいつもお茶をしている応接間にたどり着きました。
扉があればノックの一つでもするんだけど、帝国兄弟が力任せにバーンと開けるので修理が追い付かずに扉自体が撤去されている。
それでも派手な演出で部屋に飛び込みたい皇子らの話し合いにより、レースのカーテンが取り付けられたけど、最高級の素材で作られたレースのため、ふぁさぁという感じでとても優雅です。
なんか違うとあれこれ試行錯誤中ってところかな。
「女神様、来ましたよ」
「おーっす」
遊びに来たら長椅子に座ってバリボリと煎餅を食べていました。
皇子たちの手作りだそうです、パパに似てお料理上手ですね。
おすそ分けのレモンシロップを渡した所で皇子たちが部屋に飛び込んできたので、おねだりされる前にレモンタルトをホールで三つ渡しました。
皆で分けてお食べ。
「食べた!」
「はやっ」
『一口ずつ食べて回してたの』
「俺らでもその食べた方はしたことないなー」
「お口の大きさ違いますからね」
「均等に一口って意外と難しいからな」
おやつを秒で食べ終わった皇子たちに誘われ、アー君たちはそのまま遊びに行ってしまいました。
最近あちこちに遊びに行ってここに来てなかった反動か、とてもテンションが高いです。
「えーと、それで何かありましたか?」
嵐が去った部屋の中、改めてお茶セット、今日はお煎餅に合わせて緑茶を出してから女神様の向かい側に座る。
「めんどっちぃ事が起きた」
湯呑み茶碗をぐいっと飲み干してテーブルの上に置くと盛大な溜息を吐きつつ、何があったかを教えてくれた。
「潮干狩りも出来る海のダンジョンがプレオープンするって聞いて、海に関する書物を各地から集めて、楽しみ方から出そうな魔物、必要そうな道具を用意してじゃあ行くかって日に戦争が起きた」
想像以上にヘビーなお話っぽいです。
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