320 / 1,238
第二章 聖杯にまつわるお話
第313話
しおりを挟む
海に行ったら柴犬がいた。
しかも黒。
黒柴である。
きゅるんと巻かれた尻尾、ちょっとおバカな顔、ポップコーンの香りがする肉球。
砂浜をるんるんとした足取りでお散歩する後ろ姿。
完璧です。
顔二つあるけど。
本日は海のダンジョンのプレオープンに、帝国の皇帝一家や騎士様の知り合いの家族、などなど上は神様から下は腐女神まで勢揃いです。
帝国兄弟はすでに解き放たれて海辺を走ったり、水面を走ったり、シャチを捕まえてサーフィンを楽しんだりと好き勝手やっている。
その中でまだ小さな皇子の後ろを追うのは双頭の黒柴、きゃわわ。
我が家のもふもふズに新加入した双頭のフェンリル、朝起きたら黒柴になっていました。
原因は僕です。
キーちゃんにふられ、しょぼんとする姿に思わず柴犬を重ねたのが事故の原因。
フェンリルから柴犬になったけど、ステータスはアップしているので許して欲しい。
「イツキ様、ワインはありませんか?」
「猫なで声を出してもあげませんからね、ノンアルコールビールにしてください」
すり寄ってきた女神様の前によく冷えた樽を出した。
ファンタジーでよく見るお酒入りの樽です。ドリちゃんに言ったら作ってくれました。
「違う、違うんだ。酒が飲みてぇ」
「一人飲むと皆飲みたがりますから、邪神の酒盛り始まったら目も当てられないので我慢です」
「お母さま、カクテルも美味しいですよ」
「おしゃれなおやつも用意しました」
第四皇子が女神様に勧めたのは、綺麗なお姉さまが浜辺で飲んでいるイメージが強いトロピカルジュース。
ちょっと派手な感じの花とオレンジが刺してあり、とても女神様が好きそうな感じです。
おやつを用意したと誘うのは第四皇子の婚約者。
示した先にはパラソルとシート、定番の長椅子、サイドテーブルにおしゃれな感じで盛られた果物。
女神様、普段どんな我儘を言ったらこんな至れり尽くせりしてくれる嫁が出来るんですか?
ワインを諦めなきゃいけない空気に押され、渋々パラソルの下に女神様が移動していった。
皇子と婚約者よ、後はよろしく。
婚約者の子がいるって事は、相談役さん一家もいるはずだけど、皇子や邪神、もふもふズが入り乱れて良く分からない。
よく見たらエム、ロー、ルドを筆頭とした銀狼と子銀狼もいました。
人間は見つけられないのに、わんこを見分けるのは一瞬です。
あれ、そう言えば今日は皇帝も来ているはずだけど一体どこに……?
もふもふを眺めながら木陰を歩いていたら、なぜかダンジョン内に屋台があった。
「おう、何か食ってくか?」
「ギレン……」
最近は苦労話を聞くだけで会うのは久しぶりなギレンが頭にタオルを巻いてそこにいた。
「なにやってるの?」
「アカーシャが海の家を体験してみたいって言ってな」
「かあさま」
屋台の横を見たらさっきはなかったはずの飲食スペースがあった。
しかもパラソルの下に木製のテーブルと椅子が配置されたおしゃれな感じ、そこでアカーシャがカイちゃんと一緒にかき氷を食べていました。
誘われたので一緒のテーブルに座り、僕もアイスを注文。
本当は焼きそばとか食べてみたいけどこの後お昼があるからね。
「ここさっきなかったよね?」
「一応ダンジョン内だからね、飲食スペースには認識阻害付きの結界張ってあるんだよ」
「でもなんで海の家? アカーシャならいつでも利用出来るんじゃない?」
「忙しくて行く暇がないのと、行くと人が殺到してお店の邪魔になっちゃうからなかなか行けないんだ」
あぁ、アカーシャは刀国でも指折りの美人さんだからね、一緒に食事取ろうと鼻息荒く押し掛ける冒険者が想像出来ました。
「せっかく作ったし、このまま休憩所として活用したい気もする。ポーションとか売ればセーフゾーンとしても有用だと思うんだ」
「バカンス感覚で楽しむダンジョンが一つぐらいあってもいいかもね、次はハイダルも一緒に連れてきたいな」
「今日はハイダル君は来なかったの?」
「帝国に侵攻派と友誼派で大臣が割れててね、会議丸投げしてきた」
「……帝国の皇帝ならあそこで子供達とビーチバレーしてるし、皇后ならパラソルの下でドリンク飲んでるよ」
侵攻考えてるおバカさんはここに連れてくれば黙るんじゃない?
過保護な邪神兄弟に齧られるかもしれないけど、そこはご愛嬌ってことで。
しかも黒。
黒柴である。
きゅるんと巻かれた尻尾、ちょっとおバカな顔、ポップコーンの香りがする肉球。
砂浜をるんるんとした足取りでお散歩する後ろ姿。
完璧です。
顔二つあるけど。
本日は海のダンジョンのプレオープンに、帝国の皇帝一家や騎士様の知り合いの家族、などなど上は神様から下は腐女神まで勢揃いです。
帝国兄弟はすでに解き放たれて海辺を走ったり、水面を走ったり、シャチを捕まえてサーフィンを楽しんだりと好き勝手やっている。
その中でまだ小さな皇子の後ろを追うのは双頭の黒柴、きゃわわ。
我が家のもふもふズに新加入した双頭のフェンリル、朝起きたら黒柴になっていました。
原因は僕です。
キーちゃんにふられ、しょぼんとする姿に思わず柴犬を重ねたのが事故の原因。
フェンリルから柴犬になったけど、ステータスはアップしているので許して欲しい。
「イツキ様、ワインはありませんか?」
「猫なで声を出してもあげませんからね、ノンアルコールビールにしてください」
すり寄ってきた女神様の前によく冷えた樽を出した。
ファンタジーでよく見るお酒入りの樽です。ドリちゃんに言ったら作ってくれました。
「違う、違うんだ。酒が飲みてぇ」
「一人飲むと皆飲みたがりますから、邪神の酒盛り始まったら目も当てられないので我慢です」
「お母さま、カクテルも美味しいですよ」
「おしゃれなおやつも用意しました」
第四皇子が女神様に勧めたのは、綺麗なお姉さまが浜辺で飲んでいるイメージが強いトロピカルジュース。
ちょっと派手な感じの花とオレンジが刺してあり、とても女神様が好きそうな感じです。
おやつを用意したと誘うのは第四皇子の婚約者。
示した先にはパラソルとシート、定番の長椅子、サイドテーブルにおしゃれな感じで盛られた果物。
女神様、普段どんな我儘を言ったらこんな至れり尽くせりしてくれる嫁が出来るんですか?
ワインを諦めなきゃいけない空気に押され、渋々パラソルの下に女神様が移動していった。
皇子と婚約者よ、後はよろしく。
婚約者の子がいるって事は、相談役さん一家もいるはずだけど、皇子や邪神、もふもふズが入り乱れて良く分からない。
よく見たらエム、ロー、ルドを筆頭とした銀狼と子銀狼もいました。
人間は見つけられないのに、わんこを見分けるのは一瞬です。
あれ、そう言えば今日は皇帝も来ているはずだけど一体どこに……?
もふもふを眺めながら木陰を歩いていたら、なぜかダンジョン内に屋台があった。
「おう、何か食ってくか?」
「ギレン……」
最近は苦労話を聞くだけで会うのは久しぶりなギレンが頭にタオルを巻いてそこにいた。
「なにやってるの?」
「アカーシャが海の家を体験してみたいって言ってな」
「かあさま」
屋台の横を見たらさっきはなかったはずの飲食スペースがあった。
しかもパラソルの下に木製のテーブルと椅子が配置されたおしゃれな感じ、そこでアカーシャがカイちゃんと一緒にかき氷を食べていました。
誘われたので一緒のテーブルに座り、僕もアイスを注文。
本当は焼きそばとか食べてみたいけどこの後お昼があるからね。
「ここさっきなかったよね?」
「一応ダンジョン内だからね、飲食スペースには認識阻害付きの結界張ってあるんだよ」
「でもなんで海の家? アカーシャならいつでも利用出来るんじゃない?」
「忙しくて行く暇がないのと、行くと人が殺到してお店の邪魔になっちゃうからなかなか行けないんだ」
あぁ、アカーシャは刀国でも指折りの美人さんだからね、一緒に食事取ろうと鼻息荒く押し掛ける冒険者が想像出来ました。
「せっかく作ったし、このまま休憩所として活用したい気もする。ポーションとか売ればセーフゾーンとしても有用だと思うんだ」
「バカンス感覚で楽しむダンジョンが一つぐらいあってもいいかもね、次はハイダルも一緒に連れてきたいな」
「今日はハイダル君は来なかったの?」
「帝国に侵攻派と友誼派で大臣が割れててね、会議丸投げしてきた」
「……帝国の皇帝ならあそこで子供達とビーチバレーしてるし、皇后ならパラソルの下でドリンク飲んでるよ」
侵攻考えてるおバカさんはここに連れてくれば黙るんじゃない?
過保護な邪神兄弟に齧られるかもしれないけど、そこはご愛嬌ってことで。
30
あなたにおすすめの小説
【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―
綾波絢斗
BL
この世界には、二つの特別な称号を持つ者たちが存在する。
一つは、絶対的な権力を持つ王の称号――ルガル(lugal)。
もう一つは、ルガルと対をなし、その力を補う「番」――ムル(mul)。
ルガルは生まれながらに選ばれし存在。
国家からエリート教育と地位を与えられ、能力に応じて厳格なランク分けが行われる。
最上位のルガルは、政治さえも動かす絶対者だ。
一方で、ムルは生まれた瞬間にはその正体がわからない。
遺伝子検査や学力テストを経て候補が絞られるが、
最終的に「真のムル」かどうかを見極められるのは――ルガルだけ。
ムルが覚醒したとき、同じ場所に「紋章」が現れ、その瞬間から、ルガルとムルの力は共鳴し始める。
ムルの能力はルガルの力を最大限に引き出す。
ゆえにルガルたちは、自らのムルを求め、時には他人のムル候補を奪い合う。
そして、すべての出生データと遺伝情報を管理するのは、
巨大企業イルジオン――国家をも超える存在。
その頂点に立つ社長、一条レイ。
冷徹なルガルの頂点に君臨する彼が「自分のムル」と出会った。
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
もふもふ獣人転生
* ゆるゆ
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
もふもふ獣人リトと、攻略対象の凛々しいジゼの両片思い? なお話です。
本編、完結済です。
魔法学校編、はじめました!
リクエストのお話や舞踏会編を読まなくても、本編→魔法学校編、でお話がつながるように書いています。
リトとジゼの動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントなくてもどなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
第12回BL大賞さまで奨励賞をいただきました。
読んでくださった方、応援してくださった皆さまのおかげです。ほんとうにありがとうございました!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる