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第三章 世界に降りかかる受難
第586話
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聖女が聖女じゃなかった!
下手な女性より綺麗な女神なお兄さんだった!
しかも英雄と両片思い!!
これは、女神様大好き案件!!
本来ならそちらに事情を聴くのが先と言うのは分かる。
でも体が勝手にウルフに近寄り、勝手に抱き着いて勝手にもふっているのです。
しかもウルフは灰色寄りの色をしているのに、ボスらしきこの子は白い毛並みなの、体も一回り大きいし、意外とフェンリルだったりして。もふもふ。
「おらー! 人を騙して囮に使う奴は悪! ボコボコにしてやるー!」
『わはは、逃げるがいい人間どもよー!』
「ママの加護を受けたウルフを突破出来ない限り逃げ場はないのです!!」
僕がもふもふしている間、子供たちが追放した側の人たちを弄んでいました。
遠くに逃げようとしてもウルフの群れが追いかけて結局この場所に戻ってきちゃうという、恐怖の無限ループ鬼ごっこ。ちょっと楽しそう。
うちの子のセリフは不穏だけど、攻撃が届かない距離を適度に保っているので、危ないことはないのです。あれです、猫が獲物で遊んでいる感じ。
それを僕は白もふの背中から優雅に観戦中。
あ、毛玉。
野生だから仕方ないね、ブラッシングしてあげよう。
我が家のドリちゃん特製香油、騎士様におねだりして揃えた各種ブラシ、爪とぎもあるよ。
まずクリーンで汚れを除去、スリッカーブラシで毛のもつれや毛玉をとって、香油でマッサージしながらブラッシング。
うーむ、体が小さいからやりにくい。力加減も難しいなぁ。
「あの」
「あ」
恐る恐る話しかけて来たのは女神寄りな綺麗なお兄さんだった。
忘れてない、忘れてない、大丈夫ちょっともふもふに夢中になってただけなのです。
「大丈夫、取り込んでないの! もふもふに夢中にもなってないよ!」
「はい」
必死に言い訳したら優しく微笑まれた。良い人で良かったセーフです。
「僕らは正義の味方なので、お兄さんとあの人の味方をします!」
正義の執行の仕方が邪悪寄りな事があろうとも、僕らが正義なのは変わりないのです。
今目の前で行われているのはただの鬼ごっこなので、粛清とかではなくただのお遊びです。
ここで一つ重大な事に気が付いた。
英雄が一回も喋らないし、動いてない気がする。
「……英雄さん生きてる?」
「息はしていますが、意識は危ういです」
「ぴゃーー!」
えいへーーい!
こういう時は、えーっとポーション?
……誰か持ってるかなぁ?
「えっちゃんポーション持ってる?」
「キキー」
黒い影が伸びて左右にフリフリ、持ってないようです。
「ポーションは無くても俺ら回復使えるぜ!」
『使ったことないの』
「そもそも怪我をしないので、使う概念が芽生えないんですよねー」
追いかけっこに飽きて相手全員の意識を刈り取った三人が戻ってきました。
でも誰もポーション持ってないし、回復使えないって。僕も無理。
「植物の回復なら得意なんだけどな」
『涼ちゃんのあれは回復というより成長促進よ』
「この英雄さんに植物系か魔物の血が流れていればどうにかなりますけど、普通の人間ですねー」
「放っておくと英雄さん死んじゃうね、一回ギルドに行こうか」
確か冒険者ギルドならポーションのストックがあるはず、ストックが終わってたらアー君を呼び出すか、刀国の冒険者ギルドに移動すればきっと大丈夫。
「あそこで気絶してる集団はどうする?」
「ギルドに突き出す!」
『社会的に抹殺するのよ』
「処罰はアー君にお任せです」
さてここで問題です。
僕はもっとウルフの群れをもふりたい、でも英雄さん死にそう、今すぐ何とかしないと死んじゃいます。
もふっている間に死んだら目覚めは悪いけど、春日さんにお願いすれば生き返るし……うむ、うむむむ。
悩んでいたら女神なお兄さんに肩をぽんと叩かれました。
振り返ればそこにはカイちゃんと同じ笑顔があった。
「助けてくださいますよね?」
「あい!」
もふもふはまた今度にします! 人命救助最優先です!
下手な女性より綺麗な女神なお兄さんだった!
しかも英雄と両片思い!!
これは、女神様大好き案件!!
本来ならそちらに事情を聴くのが先と言うのは分かる。
でも体が勝手にウルフに近寄り、勝手に抱き着いて勝手にもふっているのです。
しかもウルフは灰色寄りの色をしているのに、ボスらしきこの子は白い毛並みなの、体も一回り大きいし、意外とフェンリルだったりして。もふもふ。
「おらー! 人を騙して囮に使う奴は悪! ボコボコにしてやるー!」
『わはは、逃げるがいい人間どもよー!』
「ママの加護を受けたウルフを突破出来ない限り逃げ場はないのです!!」
僕がもふもふしている間、子供たちが追放した側の人たちを弄んでいました。
遠くに逃げようとしてもウルフの群れが追いかけて結局この場所に戻ってきちゃうという、恐怖の無限ループ鬼ごっこ。ちょっと楽しそう。
うちの子のセリフは不穏だけど、攻撃が届かない距離を適度に保っているので、危ないことはないのです。あれです、猫が獲物で遊んでいる感じ。
それを僕は白もふの背中から優雅に観戦中。
あ、毛玉。
野生だから仕方ないね、ブラッシングしてあげよう。
我が家のドリちゃん特製香油、騎士様におねだりして揃えた各種ブラシ、爪とぎもあるよ。
まずクリーンで汚れを除去、スリッカーブラシで毛のもつれや毛玉をとって、香油でマッサージしながらブラッシング。
うーむ、体が小さいからやりにくい。力加減も難しいなぁ。
「あの」
「あ」
恐る恐る話しかけて来たのは女神寄りな綺麗なお兄さんだった。
忘れてない、忘れてない、大丈夫ちょっともふもふに夢中になってただけなのです。
「大丈夫、取り込んでないの! もふもふに夢中にもなってないよ!」
「はい」
必死に言い訳したら優しく微笑まれた。良い人で良かったセーフです。
「僕らは正義の味方なので、お兄さんとあの人の味方をします!」
正義の執行の仕方が邪悪寄りな事があろうとも、僕らが正義なのは変わりないのです。
今目の前で行われているのはただの鬼ごっこなので、粛清とかではなくただのお遊びです。
ここで一つ重大な事に気が付いた。
英雄が一回も喋らないし、動いてない気がする。
「……英雄さん生きてる?」
「息はしていますが、意識は危ういです」
「ぴゃーー!」
えいへーーい!
こういう時は、えーっとポーション?
……誰か持ってるかなぁ?
「えっちゃんポーション持ってる?」
「キキー」
黒い影が伸びて左右にフリフリ、持ってないようです。
「ポーションは無くても俺ら回復使えるぜ!」
『使ったことないの』
「そもそも怪我をしないので、使う概念が芽生えないんですよねー」
追いかけっこに飽きて相手全員の意識を刈り取った三人が戻ってきました。
でも誰もポーション持ってないし、回復使えないって。僕も無理。
「植物の回復なら得意なんだけどな」
『涼ちゃんのあれは回復というより成長促進よ』
「この英雄さんに植物系か魔物の血が流れていればどうにかなりますけど、普通の人間ですねー」
「放っておくと英雄さん死んじゃうね、一回ギルドに行こうか」
確か冒険者ギルドならポーションのストックがあるはず、ストックが終わってたらアー君を呼び出すか、刀国の冒険者ギルドに移動すればきっと大丈夫。
「あそこで気絶してる集団はどうする?」
「ギルドに突き出す!」
『社会的に抹殺するのよ』
「処罰はアー君にお任せです」
さてここで問題です。
僕はもっとウルフの群れをもふりたい、でも英雄さん死にそう、今すぐ何とかしないと死んじゃいます。
もふっている間に死んだら目覚めは悪いけど、春日さんにお願いすれば生き返るし……うむ、うむむむ。
悩んでいたら女神なお兄さんに肩をぽんと叩かれました。
振り返ればそこにはカイちゃんと同じ笑顔があった。
「助けてくださいますよね?」
「あい!」
もふもふはまた今度にします! 人命救助最優先です!
応援ありがとうございます!
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