神様のポイント稼ぎに利用された２

優しい人生を

第26話

　生まれてこない理由をじっくり聞いてみた。
　
　世界観もあるけれど、僕の呼び方も悩んでいたみたい。
　兄弟を参考にしようとしたけど、みんな結構好き勝手呼んでるんだよね、タイガは「母」だし、シャムスや双子は「かあさま」、イネスは「まま」……まぁ好きなように呼べばいいと思うけど、本当に真面目な人なんだなぁ。

　生まれてくる前からこんなでは、食べ物の争奪戦に勝てないんじゃないかな、勝つ気があるかも怪しいけれど。
　本当に大丈夫だろうか、エロまみれの人生に適応できるか僕がドキドキしてきた。

「とりあえず生まれてみましょう」
「お試し感覚で言われてもな」
「産む側が嫌なら攻めちゃうのも手段の一つです」
「いや、あの、俺は血を残したくないのだが」

　？

「僕から生まれる時点で僕の子です、兄弟から孫、下手すれば玄孫ぐらいまで絶賛繁栄中です」

　びっくりな事にラーシャが多産だったから、これからは一族増えるスピードが速まるかと。
　血を残したくなくてもヤれば出来ちゃう世界です、獅皇さんや騎士様すら逃れられなかった腐女神の呪いです。
　異世界転生してまだ1年ぐらいでこの大家族。

「や、やはり、やめ」
「無理ですねー」

　騎士様が今か今かとお待ちかねです。
　僕らのドリちゃんもいつ何が起きてもいいようにスタンバイ済み、シャムスも今度こそ兄の威厳を守ろうと苦手なものを食べる努力をしている。

　双子がせっせと囲う準備を進めているのは黙っておこう、途中でターゲット変わる可能性もあるからね。

「もう少し」
「あまり長引くと出辛くなりますよ？」
「いや、しかし、普通は10月10日……」
「男が産める時点で普通とはかけ離れてますね」

　男がどうとか以前に。

　騎士様が関わる事象に普通を求めちゃアカン。

「長引けば長引くほど周りの期待が高まって……今、大変な事に、あと本音をぶっちゃけると神薙さんのお世話に集中したいので早く産みたい」

　騎士様が心労で倒れる前にフォローしてあげたいんだよね。

　いや、まぁ、すぐに妊娠するとは思うけど。
　次は誰の子だろうか。

　そろそろ自分に似た子が欲しいな。

「そうだ、出産とは苦しいものなのだろう、だから――」
「僕、女神様直々に妊娠スキルのチート貰っているので、毎回びっくりするぐらい安産です」

　あらら、崩れ落ちちゃった。
　なんかごめんなさい？