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貴族になろう
第183話
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真っ白い何もない世界。
……あ、ああああ!
これは!!
あれだね!
お腹の子の世界だ! 間違いない!
どこ、うちの子どこにいるの?
出ておいで~。
(待って、もうちょっとだけ)
聞こえて来たのは鈴が鳴るような可憐な声。
も、もしや女の子!?
(今イベントちゅうで手が離せないの)
え
(やぁん王道カップル最高~)
……は?
(はぁはぁ、尊い、この切ない感じが最高だわ~)
(え、えっと、何してるのかな?)
(コタツの上にあったのを女神様から借りて来ちゃいました! 私の最推しは王子様と婚約者の切なくも甘い王道ストーリー! 選択肢一つですれ違いが起きて聖女に寝取られる確率が上がるシビアさ! この聖女がまた邪魔で邪魔で! 覗かれていると分かっていて、いいえ、覗かれていると分かっているからこそ、見せつける為に激しく求めちゃう図書館イベントなんて――きゃぁぁぁぁぁん)
どうしよう。
我が子が産まれる前から腐ってる。
しかもプレイ中のそれ、女神様の18禁ゲーム、さらに言えば無断で借りて来ちゃったねこの子。
(あああ、追加特典もプレイしてみたい! でも、でもでもでも、この世界じゃダウンロードが出来ない……っ、そうだ!)
刀雲との子のはずなのに、全力で女神様属性なのはなぜなのだろうか、刀雲泣くよ?
(ごめんなさい母様、私、地球に行ってきます!)
(え、ちょっと待って)
(心配しないで! 女神様の使徒として立派に務めを果たしてきますから!)
使命ってなに?
絶対ろくでもない使命だ。
(聖地にて聖書を集め、女神様に捧げます!)
声が聞こえなくなり、そこで夢が終わった。
目を開けたら刀雲はほろほろと静かに涙を流していた。
「アカーシャの時より酷い」
どうやら寝ている最中に出産をしたみたい、頭が見えた――と思った瞬間「BLはファンタジー!」と叫びを残して消えたそうな。
うん、それは酷いね。
僕、声だけで顔をちらりとも見てない。
あの……他の兄弟、君が生まれるの楽しみに待ってたんだよ?
女の子だったかもしれないって、すっっっごい言いにくい、困ったなぁ。
……あ、ああああ!
これは!!
あれだね!
お腹の子の世界だ! 間違いない!
どこ、うちの子どこにいるの?
出ておいで~。
(待って、もうちょっとだけ)
聞こえて来たのは鈴が鳴るような可憐な声。
も、もしや女の子!?
(今イベントちゅうで手が離せないの)
え
(やぁん王道カップル最高~)
……は?
(はぁはぁ、尊い、この切ない感じが最高だわ~)
(え、えっと、何してるのかな?)
(コタツの上にあったのを女神様から借りて来ちゃいました! 私の最推しは王子様と婚約者の切なくも甘い王道ストーリー! 選択肢一つですれ違いが起きて聖女に寝取られる確率が上がるシビアさ! この聖女がまた邪魔で邪魔で! 覗かれていると分かっていて、いいえ、覗かれていると分かっているからこそ、見せつける為に激しく求めちゃう図書館イベントなんて――きゃぁぁぁぁぁん)
どうしよう。
我が子が産まれる前から腐ってる。
しかもプレイ中のそれ、女神様の18禁ゲーム、さらに言えば無断で借りて来ちゃったねこの子。
(あああ、追加特典もプレイしてみたい! でも、でもでもでも、この世界じゃダウンロードが出来ない……っ、そうだ!)
刀雲との子のはずなのに、全力で女神様属性なのはなぜなのだろうか、刀雲泣くよ?
(ごめんなさい母様、私、地球に行ってきます!)
(え、ちょっと待って)
(心配しないで! 女神様の使徒として立派に務めを果たしてきますから!)
使命ってなに?
絶対ろくでもない使命だ。
(聖地にて聖書を集め、女神様に捧げます!)
声が聞こえなくなり、そこで夢が終わった。
目を開けたら刀雲はほろほろと静かに涙を流していた。
「アカーシャの時より酷い」
どうやら寝ている最中に出産をしたみたい、頭が見えた――と思った瞬間「BLはファンタジー!」と叫びを残して消えたそうな。
うん、それは酷いね。
僕、声だけで顔をちらりとも見てない。
あの……他の兄弟、君が生まれるの楽しみに待ってたんだよ?
女の子だったかもしれないって、すっっっごい言いにくい、困ったなぁ。
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