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権力とは使う為にある

第204話

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「財産を差し出し、土下座で赦しを請え、今ならそれで命は見逃す」

 うららかな午後の日差しの中、子供達が注目する中庭でその断罪劇は行われていた。




 
 本日は学園にお絵描きセットを寄贈しに来ました。
 絵が上手な子を発掘&育成するのが目的です。

 基本的に部外者は学園の敷地に入れないけれど、そこはほら、僕の周りにいる大人の権力を使いました。
 今回は騎士様!
 人間サイドに拒否権ゼロ? 気にしちゃ駄目。
 報酬は夕食のデザートを一品追加で手を打ってもらったよ、ドリちゃんマッサージでも良かったんだけどね、固辞された。
 
 寄贈品をおじいちゃんに渡し、どうせだから食堂でおやつを食べてから帰ろうかな?

『特別デザート食べたい』
「つまり家だな、母上帰ろう」
「今日のおやつはドリちゃん特製ケーキです」

 騎士様は一緒じゃないよ、名前だけ貸してもらったんだ。
 だって、連れてきたらはしゃいで授業の邪魔しそうで……。

 一緒に連れて来たのはキーちゃん、その背の上にシャムスとアー君とイネス。大人しくしているという約束で連れて来ました。

「えっと、迷子になったかな? ここどこだろう?」
「向こうに知った気配がある、行ってみよう」

 アー君に言われた方向に行ってみると人だかりが出来ていた。
 皆中庭を見ている。

 なんだろ?

『なーが』
「だな」
「あれ何やってるですか?」
「にゃんこが喋ってる!? え、ええと、あの縛られて地面に座らされている生徒を含めた数名が神様の顔に泥を塗るような噂を流して、その断罪に邪神のご子息が来ちゃったんだ」

 見知らぬ坊や情報をありがとう。

 どうやらネリちゃんが我が家に遊びに来たことがあっという間に噂になってしまったらしい、それに対する周囲の反応は大きく分けて二つ。

 真っ青になって「邪神の逆鱗に触れるな、さっさと詫びの品持って土下座してこい」と諫める者。
 こちらは刀国出身の子供達が中心。

 神の祟りを鼻で笑って馬鹿にする者。
 こちらは他国の貴族が主。
 他国なら馬鹿にしようが特に咎めもなかっただろう、けれど相手が最悪過ぎる。

「あそこにツンツン頭がいるだろ、あれマシューって言ってさ、神薙様のご子息と婚姻した強者、隣にいるやたら白くてキラキラしているのが神薙様のご子息だよ。おやつ食べる?」
「うん」
「パンの耳を素揚げしてもらったやつ、皆と食べな」
「ありがとー」

 おやつが入った袋を受け取ったイネスが手を振ると、途端にデレっとして相好を崩した。

「財産を差し出し、土下座で赦しを請え、今ならそれで命は見逃す」

 ナーガの言葉に縛られた少年が悪態を付いている。

 止めないとあの子食べられちゃうよね、止めた方がいいのかなぁ。

『これ美味しいね』
「サクサクする、また食べたい」
「孤児院では定番のおやつだよ、食べたいなら遊びにおいで」
「行く」
『シヴァたんの加護感じるね』
『徹底してるよな』
「君のおやつ食べちゃったね、そうだ、これ食べて」

 おなかを空かした時のおやつとして持っていたドーナツを解説してくれた少年に渡した。
 ドリちゃんの実を砕いて混ぜてあるから、美味しいだけじゃなく栄養もたっぷりだよ。
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