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権力とは使う為にある

第216話

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 大規模な魔法陣を展開したアー君は、あっという間に赤ちゃんのお母さんを見つけました。
 
「魔王城を攻略しようとしているパーティーに所属、父親は魔王軍」
「なにそのカオス」
「他国の人間から見ると邪悪な魔王の居城、その実態は地元の冒険者に修行に最適だと予約が殺到している人気のスポット」
「まさかの予約制」
「春日発案」

 さすが騎士様の育ての親と言った所だろうか。

「一番人気は食堂の地獄カレー」
「刀雲が食べたあれかぁ」
「まぁそれは置いといて、ついでに戸籍リスト作った」
『おおー』

 うちの子凄いわぁ。
 おまけで現在刀国にいる人間のリストも作っちゃう有能っぷり、女神様……強く生きてね!

 アー君が騎士様に伝令の鳥を飛ばしていたので、夕食までには解決している事でしょう。

「母上、犯罪者リストが完成してしまった……どうしようこの私の有能っぷり! 女神から管理能力奪っちゃう?」

 アー君も自画自賛が止まらない、シャムスがきゃーきゃー絶賛しているのもあるだろう。
 ドリちゃんも触手を叩いて褒めている。
 さらにその横ではドリアンが花びらを散らして祝福、なんだかカオスな光景だなぁ。

「リストは刀雲に渡せばいいんじゃないかな、犯罪を取り締まるトップだし」

 なんか周りからの圧力が凄くて将軍を辞退出来ないっぽい、ならば権力フル行使で犯罪者捕縛しまくるしかない。

「分かった!」

 あ、でも神薙さんも欲しがるかも、だって悪い子食べ放題。

 そして安全が保障されたその日には、僕もお遣いしてみたいなぁ。
 一人でお出掛けしてみたい。

「母上、母上」

 裾をくんと引っ張られ、アー君を見ると期待に満ちた目で見られていた。

「待っててね、今おやつ作ってくるから」

 何がいいかなぁ。
 月餅やパンケーキが好きだけど、ご褒美だしいつもとはちょっと違うものがいいかな、手で持って食べられるものとかどうだろう、シャムスと分けるのがブームみたいだし。

 よし、クレープにしよう。

「違うの、あの、あのね」

 アー君がもじもじしながら僕を見ている。
 なんだこれ可愛い、じっくり観察して後で騎士様に自慢しよう。 

「あのね……」

 シャムスもにこにこ見守っている。
 ちょっとお兄ちゃんっぽいよシャムス!

「あのね、僕も、高い高い、して欲しい、な」


 ハレルヤ


 うちの子のデレが最強過ぎて心臓止まりかけた!

『身体きょーかー』
「アー君は可愛いなぁぁ」

 ほーら高いたかーい!

「きゃー」

 うちの子最高ー!

 あはははははは
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