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ダンジョン

第362話

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 そこから先は先代と春日さんで話し合いが進み、僕は横で美味しいお菓子に舌鼓を打っていた。

 この薄い飴美味しい。
 前にも教会で食べたやつかなぁ。

 ファンタジー小説だと砂糖や塩、あと蜂蜜は高級品扱いだけど、この世界はどうなっているのだろうか。
 教会やドンの所ではお菓子を出されるけど、どちらもお金も地位も持っているから基準にしていいものか、刀雲に聞けばいいのだけど帰ると他の事で忙しくて忘れちゃうんだよなぁ。

 麦は魔物から採取できる世界だから油断できない、もしかしたら毛が砂糖の羊がいるかもしれないし、実を割ったら砂糖と言う可能性だってある。
 帰って覚えていたら聞いておこう、たぶん忘れるだろうけど。

 塩は海から取れると言うのは定番、でもギレンを始め、女神様や騎士様も地球を知っているし気軽に行き来してるから、技術は普通にありそうだよね。
 春日さんがちらほら魔道具っぽいの使っているけど、国内では見掛けない、もしかしたらこの世界の技術じゃないのかも、外に出ないし、異世界技術やら知識やら今更だけど。

 ああでも

 出来ればお煎餅食べたい。

 煎餅自体はワンクリックで出せるんだけどなぁ、ドリちゃんに渡して作り方調べてもらおう。
 とりあえず一枚出して。

 パリッ

 はぁ美味しい、甘い物もいいけどしょっぱい物も食べたくなるよね。
 あとおかきも食べたいな、そっちは家に帰ってから出そう、うちの子達って鼻がいいからね、一人で美味しい物食べるとすぐバレる。
 そもそもお煎餅自体、食べる音煩いかな?

 今更気付いて春日さん達を見たら、やや呆れたような表情の春日さんと目が合った。

「お前、本当にマイペースだよな。普通いきなり菓子出して食べ始めないと思うぞ?」
「ごめんなさーい」

 謝りながら流れで見つけたキャンディの詰まった瓶を春日さんと先代に渡す、どうぞ子供達とお食べください。
 そして僕がいきなりお煎餅を食べ始めた件は内緒でお願いします。

「お話終わりました?」
「ざっくりとはな、あとは他のメンバーとの調整もしつつって所だ」
「定期収入が確定した暁にはぜひお祭りをしたいものですね」

 お祭りかぁ、いいですねーお祭り大好き。
 日本人だもの。

「俺の肩代わりしてくれる礼に何か願い事叶えるけど何かあるか?」
「あの子達を普通の子と同じように、学園に通わせてあげたいですねぇ」
「そうか魔素が濃くて結界内に活動制限されてるのか、いいだろう、ダンジョンが始動するまでには方法を考えておこう」
「え、大丈夫ですか?」
「任せろ、俺は案外万能だ」
「いえいえ春日さんの能力を疑ってる訳じゃないです。あの、ダンジョンなんですけど、アー君の遊び場を作る建て前を使っていますが、皆かなりノリノリなので数日内に始動してもおかしくないですよ?」
「……」

 復活アイテムも納品されたし、配置モンスターも決定済み、階層ボスはひとまずもふもふズがアルバイト感覚で受け持ち、あとはプレオープンに参加してもらう冒険者の決定だけ。
 ギルドで募集をかけたら応募が殺到して、選考に一番時間を食っているらしい。

「もうちょっと時間貰っていいか?」
「可能性が広がるだけありがたいです」

 春日さん諦めるの早いなー。
 ゲームを諦め真面目に徹夜で練れば間に合うかもしれないけれど、春日さんはそこまで頑張りたくないようだ。
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