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湯水のごとくお金を使おう

第677話

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 涼玉がちょっぴり大きくなった。
 相変わらずオムツの代わりに殻が付いたままだけど、卵からはみ出る尻尾が1cmほど長くなって、あと手も少し大きくなったかな。

「翼もちょっと大きくなった?」
「はい、色も僅かに変化しました」

 光の加減とかじゃなくて?
 マールスの涼玉に対する観察眼がストーカー並です。

「かっちょええ?」
「うん」
「マールスも生える?」
「お望みなら気合で何とか」

 翼って気合で生えるものだっけ?
 邪神一家の一員なら気合で行けるか、何せ親が気合で子を産める体に進化したからね。

「翼かぁ、俺も前世では持ってたんだけどな」
『お兄ちゃん達は持ってるね』
「最近は翼なくても飛んでるけどな」

 空を自在に移動できるから行動範囲も広がったようで、最近はお泊り場所に魔王城が増えました。
 あとドラゴンの巣を見つけたって言ってた。

 お願いだから怪我には気を付けて欲しい。

「そう言えば神薙様の卵、もうじき孵りそう」
『そろそろよー』
「神薙様は?」
「副官さんが久々にお休みもらえたから部屋にこもってるよ」

 次の邪神誕生も早そうです。
 出来れば次は人間側だと騎士様が喜ぶと思います。

 今回孵化する子は邪神サイドだと確定しているからね。
 まだ孵ってなかったのか……実は存在忘れてました。

「中々孵化しないから、あれこれ試してみたんだよなー」
『うん』
「こっちのラメ入り卵は宝物庫に置いたら反応あった」
「我が弟はどうやら金が好きなようです」
「もう一個の方は宝物庫の外に作られた植物園で反応したんだ。なんかこう、ビクッて」

 アー君が軽くジャンプして再現してくれた。

「喜んだと思ったらブルブル震えたから多分違うよな」
『ぷるぷるー』
「謎がおおい」
「植物を怖がったの?」
「そんな感じ」
『ふしぎ』
「原因をちょーさせねば!」

 原因かぁ、一応確認してみるか。

「みんな、卵をブドウ畑に連れて行ったりしてないよね?」
「連れてった!」
『自慢の果実なの』
「ダメだったのか?」

 えーっと、皆さんお忘れですか?

「この子達は神薙さんの御子で邪神だよ、聖属性はダメージ受けるんじゃない?」
「えっ、神薙様の御子なのに?」
「神薙さんは特別中の特別、この卵はまだ聖耐性持ってないと思う」
『あちゃー』
「良く無事に育ったな!」
「それで成長が遅かったのか!」
「マールスはあそこでダメージ受けないの?」
「はい、涼玉様をお運びするため、死ぬ気で耐性を付けました」

 気合だった。

 そして恐らく植物園でびくついたのは、ブドウ畑がトラウマになってる可能性がある。
 卵なのにね。
 まだ目がないはずなのに不思議だね。
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