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女神の呪い

第844話

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 女神様に捧げるならちょっと豪華なものがいいかな、さてさて。
 お弁当系かそれともスイーツ系か、どっちがいいかなー。

「パンケーキ」

 後ろを通りすがったボソッと一言呟いてアー君が再び庭に飛び出して行った。
 どうやらお昼に使うものだけドリアンに渡しに戻っていたらしい、ドリアンが3m級のマグロを抱えてドリちゃんの元へと届けに行くのが見えた。

 アー君も神様になるのかな?
 じゃあ今のも神託みたいなものだよね、そういう訳でパンケーキぽちー。

 ちょっと厚めのパンケーキが四枚並んだ上に生クリームがドドン、これ金ちゃんのお気に入りなんだよね、生クリームにずぼっと頭を突っ込んで食べるのが気に入っているみたい。
 ここに聖なる果実各種を切って載せます。
 僕がやると本当にただ切っただけのフルーツがそのまま並べてあるだけで、何の面白味もないのが僕にもわかる。

 もう一個同じものを出し、通りすがりのスラちゃんを呼び止めます。

「ちょっとこれのアレンジ頼んでいい?」
「ぴきゅ!」

 快く受けてくれたスラちゃんによって僕の置いたフルーツが形を変えていく、イチゴは二等分、バナナは輪切り、オレンジは何をどうやったのかバラみたいな感じに、リンゴはうさぎでなく鳥、次々と芸術品が生まれているのですが。
 この子ってスーパースラちゃんだっけ?

 ほへーっと眺めていたら、いつの間にか隣に来ていた騎士様も一緒になってそれを見学していた。
 騎士様って何気にこういう作業を見学するの好きですよね。

「これ、食べるのもったいないね」
「はい」

 薄ピンクの可愛らしい生花が添えられて完成。
 スラちゃんにお礼を言うと満足げに跳ねた後、自分の仕事に戻っていった。

「騎士様、これに魔力注入をお願いします」
「はいよー」

 お願いしておいてなんだけど、対価とか払わなくていいのかな?
 まぁいいや。

 女神様、女神様、聖なるフルーツ載せパンケーキですよー。

(うおおおおおおおおおお)

 喜びの雄たけびが脳内に響くと同時にパンケーキが目の前から消えた。
 ポイントが面白いぐらいもらえました。

「これは俺が食べていい?」
「え、何のアレンジもされてませんよ?」

 切っただけの果実を置いたから汁でパンケーキがこう、べっちょ~ってなりつつありますよ?

「樹、あーんして欲しいなぁ」
「新しいの出しますよ?」
「これが食べたい」

 べちょっとしたパンケーキを食べたいなんて変な騎士様だなぁ。と思いつつ、フォークで一口大に切り分けて騎士様の口元に差し出した。
 欲しいと言ったのににこにこして口を開かない…………言えってことか。

「騎士様あーん」
「あーん」

 アー君が一人増えた気分です。

 でも幸せそうに目を細めながら食べているのでツッコミ入れにくい、パンケーキだけじゃ喉がパサパサしそうだから飲み物もいるよね、紅茶でいいかな?
 上品なイメージがあるダージリンをポチッと、持った感じちょっと熱いかな、ふーふーはいどうぞー。

 あれ?
 騎士様って熱いの大丈夫だっけ?
 そもそもアー君達じゃないんだからふーふーはいりませんよね、すみません!

 取り下げようとしたらコップを持つ手ごと包まれ、そのまま紅茶を飲む介助をさせられた。
 そういえばアー君に久々に会った時、いつもは人前ではもうちょっと自制するのに全身で甘え倒してきて可愛かったな。
 騎士様もあれと同じ状態なのかもしれない、やっぱり親子だね。

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