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女神の呪い

第864話

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 神々の怒りを利用して砂漠の民の心をまとめたカイちゃん。
 とどめにどこまでも続く砂漠の大地に緑と実り、水を呼ぶことで掌握完了。

 それだけ奇跡を連発すればそりゃぁ救世主と呼ばれるよね。
 現実は兄弟の力大盤振る舞いしただけだけど。

「でもカイちゃん、あの国って不正や腐敗が横行して根っこ腐ってるみたいだけど大丈夫?」
「ああそれですか」

 ふふ、と浮かべた笑顔が不穏。

「母様、以前見せた始祖の力を覚えていますか?」
「うん」
「スーパースラちゃんのあれか」
『お料理じょーず』
「宴会の時に大活躍してるぞ」

 幼児の発言にカイちゃんがちょっと悲しそうな表情をした。
 始祖の秘儀?みたいなものを簡単に再現された挙句、使用用途がお料理作りだもんね。そりゃしょっぱい気持ちにもなるか。

「支配下に置くことで強化するんだっけ」
「私はあれを魔族にしか使えないと思っていたのですが、みなを見て考え方を改めました」

 ん?
 なにやら不穏な気配。

「支配下にあるならば何も魔族でなくてもいいのでは――と思い至ったのです」

 曰く、別に人間でもいけるんじゃないかと思った。と。
 試しに自分に心酔しているハイダル君にかけてみたら、最前線で戦えるぐらい勇敢でうっかり惚れ直してしまったそうです。

 伴侶で実験したのか……。

「わぁ」
『まおーだ』
「容赦なしだな」

 幼児の合いの手を笑顔で受け流し、カイちゃんが話を続ける。

「そして今回、私は砂漠の民に奇跡を与え、救世主と呼ばれるようになりました」
「精神的支配完了」
『きゃー』
「マールスはああなっちゃだめだぞ」
「はい」

 ガクブルする涼玉を抱き留めたマールスが力強く頷いている。
 大丈夫だよ涼玉、マールスに腹芸みたいな真似はきっと出来ない。

「戴冠式で民に向かって『我が子らよ』と声を掛けたら大歓声でしたよ」
「うわぁ眷属化を知らずに受け入れさせてる」
『だましうち!』
「黒い、真っ黒! 俺の弟が黒い!」

 そんな感じで砂漠の民を眷属化に成功。
 二重、三重に魂を雁字搦めにし、カイちゃんの支配下に置いたので不正が起こることはないんだって。

「私があの国に君臨する限り、二度と異世界からの召喚はおきません。これからは刀国の良き友になれるように育てていくつもりです」
「内政無双だな!」
『やりたいほうだいね』
「新しいダンジョン見つけたら知らせてくれよな」
「分かっていますよ」

 ちなみに。
 砂漠の国の復興の費用面は刀国が支援したらしい、アー君との宝物庫攻防戦まだ続いてたんですね。
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