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三食昼寝、家族付き

第1001話

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 庭で兄弟とぎゃーぎゃー言いながら塩焼きした魚を奪い合う双子を見て、王子が「二人もあんな顔するんだな」と優し気な表情をしていた。

 え、家でも外でもあの顔だけど、国外ではどんな顔してるのあの子たち?
 おすまし顔って見たことあるっけ?
 立太子の儀の時はどうたったかなー?

「騎士様は見たことありますか?」
「留学の条件として外では猫かぶるって盛り込んであった」

 学園では猫かぶってないのだろうか。気になってカルパッチョをおかわりした騎士様に聞いてみた。

「入学当初は多少かぶろうと努力はしてたみたいだよ、ね、刀雲」
「ああ、だが高位貴族の息子がだらけたり、国王が理事長として生き生きしているのを見て、猫は早々にかぶるのを止めたみたいだな」

 さすが刀国、自由度のレベルが高い。
 貴族って常に自分を律し、自制心の塊みたいな生き物で、平民を見下す生き物だと思ってた。

 あ、だめだ、邪神一家やショタ守護神がいるから、下手に平民を虐げると誰かが飛んでくる。
 しかもその飛んでくるメンバーにうちの子も数人入ってる気がします!

「いっそ王子も刀国の学園に留学してみたら?」
「私が?」
「今の学園って二人が拾ってきた人材がたくさんいるから、そういう人と仲良くなれば将来の側近になってくれるかもしれないよ?」
「それもいいね、刀国民は冒険者か商人にでもならない限りほとんど国内から出ないけど、元々が外の人間なら引き抜きも簡単かも。能力はいくらでも伸ばせるから、人柄で選び放題」
「魔のエリートコース……」

 僕と騎士様の提案に、なぜか刀雲が青い顔をしている。

「君が望むなら、今の留学先を刀国に書き換えて、明日からでも登校できるようにしてあげるよ?」
「さすが騎士様! 権力の利用方法を理解してますね!」
「落ち着け二人とも、さすがに試験してからでないと無理が出る」

 イツキも言い出したら止まらない所あるからな。と言いながら刀雲が紙を取り出し何かを書き込んでいる。

「ほら簡易試験問題、ちょっとやってみろ」
「あ、はい」

 本人が留学するかどうかも分からないのに留学前提で話が進んでいます。
 刀雲なんて簡易とは言え試験問題書いてくれるし、二人とも面倒見がいいなぁ。

 用紙を見せてもらったけど、何が書いてあるかは読めても、内容が理解できなかった。
 レベルが高いのかどうかすら判別出来ませんでした。アカーシャに聞けば分かるのだろうか、カイちゃんにバレたら勉強漬けにされそうだからスルーしておこう。

「おー難しそうな問題解いてるな!」
『パパ僕もやりたい』
「とうちゃ俺も俺も」

 魚の骨を銜えた幼児が乱入した。
 僕は刀雲におねだりするのを横目にさりげなく立ち上がり、ドリアンにおにぎりとお味噌汁を出すようにお願いする体を装ってその場を離れました。

 突然始まった簡易試験に付き合うとは、意外にあの王子は付き合いがいいよね。
 王子を連れてきたはずの双子は試験が始まった空気を察し、逃げるようにクラーケンに挑戦中。

 ちなみに刀雲が採点した結果、アー君は古代文字と悪筆が混ざって判別不可、涼玉は黒いぐるぐるが書かれていてそもそも文字じゃない、王子は二か所ほど間違えがあったので、意外にも満点をとったのは肉球文字のシャムスでした。
 刀雲もあの文字読めるんだ……すごぉい。
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