神様のポイント稼ぎに利用された２

三食昼寝、家族付き

第1041話

　ドリちゃん特製巨大ピザのおかげで奪い合いが起こることもなく、平和で楽しい夕食でした。
　作るのは大変だったけどね！

　ピザや揚げ物という組み合わせでカロリーを摂ったけど、現在はさらにデザートとでさらなるカロリー摂取中です。
　僕はさっぱりとバニラアイスなんだけど……子供達はデザートピザなんです、いつ作ったんだろ、胸やけがしそう。

「ああそう言えばアー君」
「ん？」

　刀雲に名前を呼ばれ、チーズをむにーーんと伸ばしていたアー君が視線だけ刀雲に向けた。
　おっとシャムスの口周りがチョコでベトベトだ。

『ありがとー』
「お腹大丈夫？」
『あい！』

　ハンカチで口を拭いたら満面の笑みが返ってきた。
　シャムスは今日も可愛い。

「国王がアー君に会いたいと言っていたぞ」
「ふぅん、じゃあ明日会ってくる。用件なんだろ？」
「ドラグーン王国周辺で天候からくる不作が続いて、食糧支援すべきか相談したいんだって」
「いや、俺幼児！　そういうのはパパに相談して！」
「俺は刀国が平穏なら同盟国以外はどうでもいいと思ってる。減っても人間はまた増えるしね」
「なるほど俺に来るわけだ！　パパよりは人間に優しいからな！」

　冒険者からは守銭奴とか鬼統括とか恐れられているけど、同時に慕われてもいるんだよね。
　それを考えると確かに騎士様よりアー君の方が人間に視点が近いかな、慈悲精神というより恩を売りまくって内政干渉の機会伺っているだけだけど。
　あれ、最初から関心を持たないのと、自分の趣味のため無理難題吹っ掛ける幼児、どっちがマシだろう？

「って、それ決めるの普通は国王のお仕事！！」
「なんでも支援する場合はアー君と兄弟の力を借りるから、なら最初から全部任せちゃえ！っていう感じみたいだねぇ」
「大人ぁ！！」

　そう言えば去年の夏休みは外交上の判断がアー君に委ねられていたんだっけ？
　神様使い荒い人間が多いですね。

「でもかぐやからは何も相談聞いてないけどなぁ」
『かぐやの威光でドラグーンは安定してるのよ』
「なるほど！　うちから激安で手に入れて他国に恩を売りまくるつもりだな、犯人はラウルだ！」

　確かにあの人なら騎士様だろうがアー君だろうが、使える伝手は何でも使うだろうなぁ。
　国家予算もかぐやがいる限りはアー君の個人資産から支援が約束されているし、夢の世界経由で金銭受け渡しもできるから横やりしようがないっていうのが凄い。
　
「支援すること前提で話進んでるけど、断る可能性もあるからな？」
『えー』
「支援しようぜ、俺踊りまくって無双したい！」
「そうですよ騎士様も協力してあげてください、ラウルさんの所だけ平穏で、恩恵を分けないで独占するとそれが理由で紛争起きて後始末が面倒ですよ！」
「あ、なんかラウルの愚痴が聞こえてきそう！」
「よしじゃあ国王に会う前にラウルに会ってくる！　必要な量を一度に輸出するのは大変だからな、収穫するために一時的に人も雇いたいし！」
『騎士しゃま、国家予算動くっておーさまに報告してきてね』
「……もしかして今行くの？　俺お酒飲んじゃったよ？」
『行くの』

　シャムスと言葉を交わした騎士様が泣きながらお城に行ってきますと呟きつつ、チラチラこちらを見ているんだけど、多分シャムスを止めてもらいたいんだろうなぁ。

「騎士様、アー君があれこれやり出した時に手筈が整っていたらきっと尊敬されますよ！」
「もうじき寝る時間なのにー」
「寝なくていいの知っていますよ、ホラホラ、アー君に大げさに報告しておきますから」
「家族の鞭が厳しぃ～」

　嘆きながらやっと腰を上げ、騎士様がお城に向かった。

「じゃあ俺は明日のために寝る！　マールス帰ろう」
「っは！」
『パパ、スルメ僕も食べる』

　明日から忙しくなりそうだなぁ、僕以外。
　やる気とスタミナ補充するためにも、ちょっと豪華なお弁当用意しておこうかな。