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三食昼寝、家族付き
第1049話
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お祭り……じゃない、稲刈り大会開催日がやって参りました。
いやもうお祭りでもいいと思うんだよね、他国からの参加者は国や領地の命運がかかっているから決死の思いだろうけど、開催側も会場の装飾も完全にお祭り気分です。
提灯が飾られた櫓に大太鼓、異世界でまさか日本の盆踊りが見れるとは思わなかった。
参加者は資金繰りが大変だったみたいだけど、イグちゃんが回収すると名乗りを上げたことにより前金払い制に移行、後は分割にすることでその辺はふわっと解決したようです。
絶対に逃げられない借金取りが知らない間に爆誕していました。
「借金取り立ての時に素直に渡さなかったり、誤魔化すようだったらパクッといって脅せば良いってパパンからアドバイスもらった」
神薙さんのアドバイスが血まみれですね。
国にお金はないけど、借金してでも大会に参加したい、だからお金貸して!と双子に土下座した潔い王子様もいたらしいです、友人同士でのお金の貸し借りはしたくないと借金を断った二人は、その王子様と三日三晩ダンジョンに潜ったとか。
青春の一環として思い出になればいいね。
「久々にマシュー君の領地に来たけど、新潟県の一部を切り取ったような風景だね」
屋台が並ぶこちらが岸なら、見渡す限り広がる田園風景は海ってところだろうか、最初に見た時より確実に農地が広がっている。
目の前にでっかいカエルを貪り食うコモドドラゴンの親子がいなければ、ここが異世界だと忘れそうなぐらい日本の風景だなぁ。
「あれ、あそこで親子で行進しているのはもしかしてカルガモ?」
あぜ道を我が物顔で歩く生き物がいたので、よく見たら見たことある生き物だった。
「鴨祭りで卵がドロップした冒険者が孵化させてみたらカルガモが生まれて、外敵のいない場所で育てようと冒険者辞めてここに移住したんだ。今はこの領地でギルド職員やってる」
「僕はてっきり騎士様がまた地球から輸入したのかと」
「番のカルガモは輸入した」
アー君の補足に脳内の騎士様がサッと目を逸らした。
おかしいな、父親の威厳が出るどころか、前より激甘になっている気がする。
アー君の代わりに裏方で運営委員長をやらされている騎士様、他にどんな無茶なおねだりを聞き入れたのか一度ゆっくり話をお聞きしたいです。
「ママ、どれから食べる?」
『僕クレープ、マシュマロ入り!』
「串焼きはどこだ!」
「見つけました! ここから五店舗先です!」
「イネス、マールスの上から落ちないようにね」
「はいです!」
ラーシャが療養中のため、本日のイネスはマールスの頭の上です。
興奮のあまり少し光が漏れてるけど大丈夫だろうか。
「いや俺らはうんえいがわっ」
『アー君、涼ちゃん頑張ってください、僕はママと屋台巡りです』
「シャム兄が裏切った」
「あれ、じゃあマールスの頭の上にいても仕方ないですね、ママー」
ぴょーーんとイネスが僕の肩に移動してきた。
素早い裏切りでした。
「屋台は何時からでしょう、前倒しで始まりませんかねー」
『アテナへのお土産も買うの』
「イネス、こっちこっち! 特等席あんのよ!」
駆け寄ってきたネヴォラに案内されたのは、運動会などでよく利用される天蓋テントだった。
屋台や物産展で忙しい親のため設置された子供預り所らしいです、責任者はなんとショタ守護神ではなく信頼と実績のあるヘラ母さん!!
テント内はヘラ母さんの領域内になっていて、幼い子も驚くほど大人しく他の子と遊んだりしている。
「出店や祭りの運営で子守する暇ない連中が多いからね、家で留守番させて後で大騒ぎするより、見えるところで預かっている方が安心だろう」
「ヘラ母さん、素敵」
「ショタ守護神もいるから不穏な空気はカットよカット! わたしもじいちゃん達が仕事終わるまでばあちゃんと一緒にいんの!」
「じゃあわたしもここにいます、でも出店も捨てがたいです」
「本日限定お子様メニューが出る予定だよ、嫌いなものが一切入っていない特別メニューさね」
「楽しみですねネヴォラ!」
「うん!」
「確かにここにいてくれれば俺は安心して運営に回れる」
「俺頑張って踊るから、応援してくれよ。本当は見ててほしかったけど」
涼玉がちょっとしょんぼりすると、えっちゃんがサッと魔術を展開し、天幕の幕に踊り櫓を映し出した。
最終リハーサルをする光景が映し出され、涼玉が顔を輝かせた。
「えっちゃん大好き、かあちゃ、ばーば、俺輝いてくるからな!」
『涼ちゃん頑張ってー』
「おう!」
すでに涼玉が発光しているのは気のせいだろうか。
発光するのはイネスのお得意芸だと思っていたけど、そうか、涼玉も発光出来るのか。
いやもうお祭りでもいいと思うんだよね、他国からの参加者は国や領地の命運がかかっているから決死の思いだろうけど、開催側も会場の装飾も完全にお祭り気分です。
提灯が飾られた櫓に大太鼓、異世界でまさか日本の盆踊りが見れるとは思わなかった。
参加者は資金繰りが大変だったみたいだけど、イグちゃんが回収すると名乗りを上げたことにより前金払い制に移行、後は分割にすることでその辺はふわっと解決したようです。
絶対に逃げられない借金取りが知らない間に爆誕していました。
「借金取り立ての時に素直に渡さなかったり、誤魔化すようだったらパクッといって脅せば良いってパパンからアドバイスもらった」
神薙さんのアドバイスが血まみれですね。
国にお金はないけど、借金してでも大会に参加したい、だからお金貸して!と双子に土下座した潔い王子様もいたらしいです、友人同士でのお金の貸し借りはしたくないと借金を断った二人は、その王子様と三日三晩ダンジョンに潜ったとか。
青春の一環として思い出になればいいね。
「久々にマシュー君の領地に来たけど、新潟県の一部を切り取ったような風景だね」
屋台が並ぶこちらが岸なら、見渡す限り広がる田園風景は海ってところだろうか、最初に見た時より確実に農地が広がっている。
目の前にでっかいカエルを貪り食うコモドドラゴンの親子がいなければ、ここが異世界だと忘れそうなぐらい日本の風景だなぁ。
「あれ、あそこで親子で行進しているのはもしかしてカルガモ?」
あぜ道を我が物顔で歩く生き物がいたので、よく見たら見たことある生き物だった。
「鴨祭りで卵がドロップした冒険者が孵化させてみたらカルガモが生まれて、外敵のいない場所で育てようと冒険者辞めてここに移住したんだ。今はこの領地でギルド職員やってる」
「僕はてっきり騎士様がまた地球から輸入したのかと」
「番のカルガモは輸入した」
アー君の補足に脳内の騎士様がサッと目を逸らした。
おかしいな、父親の威厳が出るどころか、前より激甘になっている気がする。
アー君の代わりに裏方で運営委員長をやらされている騎士様、他にどんな無茶なおねだりを聞き入れたのか一度ゆっくり話をお聞きしたいです。
「ママ、どれから食べる?」
『僕クレープ、マシュマロ入り!』
「串焼きはどこだ!」
「見つけました! ここから五店舗先です!」
「イネス、マールスの上から落ちないようにね」
「はいです!」
ラーシャが療養中のため、本日のイネスはマールスの頭の上です。
興奮のあまり少し光が漏れてるけど大丈夫だろうか。
「いや俺らはうんえいがわっ」
『アー君、涼ちゃん頑張ってください、僕はママと屋台巡りです』
「シャム兄が裏切った」
「あれ、じゃあマールスの頭の上にいても仕方ないですね、ママー」
ぴょーーんとイネスが僕の肩に移動してきた。
素早い裏切りでした。
「屋台は何時からでしょう、前倒しで始まりませんかねー」
『アテナへのお土産も買うの』
「イネス、こっちこっち! 特等席あんのよ!」
駆け寄ってきたネヴォラに案内されたのは、運動会などでよく利用される天蓋テントだった。
屋台や物産展で忙しい親のため設置された子供預り所らしいです、責任者はなんとショタ守護神ではなく信頼と実績のあるヘラ母さん!!
テント内はヘラ母さんの領域内になっていて、幼い子も驚くほど大人しく他の子と遊んだりしている。
「出店や祭りの運営で子守する暇ない連中が多いからね、家で留守番させて後で大騒ぎするより、見えるところで預かっている方が安心だろう」
「ヘラ母さん、素敵」
「ショタ守護神もいるから不穏な空気はカットよカット! わたしもじいちゃん達が仕事終わるまでばあちゃんと一緒にいんの!」
「じゃあわたしもここにいます、でも出店も捨てがたいです」
「本日限定お子様メニューが出る予定だよ、嫌いなものが一切入っていない特別メニューさね」
「楽しみですねネヴォラ!」
「うん!」
「確かにここにいてくれれば俺は安心して運営に回れる」
「俺頑張って踊るから、応援してくれよ。本当は見ててほしかったけど」
涼玉がちょっとしょんぼりすると、えっちゃんがサッと魔術を展開し、天幕の幕に踊り櫓を映し出した。
最終リハーサルをする光景が映し出され、涼玉が顔を輝かせた。
「えっちゃん大好き、かあちゃ、ばーば、俺輝いてくるからな!」
『涼ちゃん頑張ってー』
「おう!」
すでに涼玉が発光しているのは気のせいだろうか。
発光するのはイネスのお得意芸だと思っていたけど、そうか、涼玉も発光出来るのか。
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