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聖女を倒そう! 1-2

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「――っつぅ……」

 目が覚めるとそこは薄暗い部屋だった。
 起き上がってみるとどうやら牢屋に閉じ込められているらしい。
 他の奴らも目を覚ましたようだ。

「ここは一体どこなんだろう?」
「分かりません。ですが何者の仕業なのかは見当がつきます」
「……ああ、そうだな」
「え?どういうことですか?」

 僧侶は気付いていないようだったが、この状況を作り出せるのは一人しかいない。
 つまりこれは聖女の仕業だ。

「お前ら油断するんじゃねぇぞ。敵はすぐ近くにいる」
「はい!」
「分かった!」

 何故か戦士が黙っている。
 様子がおかしいと思ったその時、部屋の扉が開かれた。

「あ、起きた!」
「テメェ……って、え、誰」

 現れた人物を見て思わず間抜けな質問をする。
 そこに立っていたのは食事を持ったダークエルフの幼児だった。

「起きたなしゅうじんども! めしの時間だぜ!」
「はぁ……どうも」
「とりあえずご飯!」

 置かれた皿を見ると中身は肉の入ったスープだった。

「おい、これは何の――」

 聞こうとしたらもういなかった。
 仕方ないので大人しく食う事にする。

「毒とか入ってないかな?」
「殺すつもりならもっと早くに殺せていたはずです」
「それもそうだよね」

 三人は普通に食べ始めた。
 俺も覚悟を決めて食べる。

「うん、美味しい」
「意外といけるね」
「……」 

 特に異常は無いみたいだな。
 良かった。

「ごちそーさん」

 全員完食して食器を置く。
 よし、じゃあ本題に入るとするか。

「さて、これからどうすっかだが……」

 問題はここから出る方法だ。
 幸いに人の気配もなければ、先ほどのダークエルフの幼児が戻ってくる気配もない。

「よし、じゃあ脱出するか」
「どうやって?」
「決まってんだろ。この壁ブチ破って逃げるんだよ」

 俺が鉄格子に手を掛けると戦士が制止してきた。

「ちょっと待て」
「なんだ?」
「この扉……」

 戦士が扉に手をかけると普通に開いた。
 え?

「開いてる」
 
 そう言って戦士が牢の外に出るが、誰かが来る気配もなければ、罠が発動することもない。

「なんだこれ?」

 意味不明すぎる展開についていけない。

「どうしたんだろう?」
「何かありそうですね」
「とりあえず調べてみるか」
「いや、先を急ごう」

 というわけで牢を出て目に付いた階段を上がっていく。
 そこには大量の人骨が散らばっていた。

「なんだこれ?」
「酷い事をしますね」
「でも何で人族だけなんだろ?」
 
 確かに言われてみると何でだ?魔物の骨は見当たらない。
 疑問に思いながらも上の階へと上がると広い空間に出た。

「ここは祭壇か?」

 中央に大きな台座が置かれていて、その上には黒い水晶のようなものが置かれている。

「なんか嫌な感じがしやがるな……」

 直感的にあれが危険だと理解できた。
 だからといって放っておくわけにもいかない。
 しかし――。
 決意を固め、一歩踏みだそうとしたその瞬間、白い鎧の男が現れた。
 男は剣を抜きながら、静かに告げる。

「えー……聖剣はこの辺かな」

 違う、あれただの独り言だ。
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