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とある生徒の、普通とは少し違った日常。 1-13

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 翌日、実技の授業時間。

「はい皆さんおはようございます。昨日の授業はいかがでしたか?何か困ったことや分からないことはありませんでしたか?」
「先生」
「なんでしょう?」
「私、いつまで平民たちと一緒に授業を受けねばなりませんの?」
「そうですわ、貴族は貴族と、平民と混ざっても教育過程が違いすぎますわ」

 一部の女子、授業だというのにドレスのような服を着て、装飾品を付けたギラギラ系。
 間違いなく僕と同じく外部で、さらに言えば貴族のお嬢様なんだろうな、貴族と平民をいまさら持ち出すなんて、学園に入ってそろそろ気が緩んできたのだろうか。

「私は平民の子供たちにも分け隔てなく接するのは素晴らしいと思っておりますのよ?」
「当たり前のことですからね」
「ですが私たちは貴族、支配階級であり、平民は支配される側。何故、私が平民の子供と同じ教室で机を並べねばならないのでしょうか」
「ははは、面白いことを言いますね」

 先生怖い、笑顔だけど雰囲気が怖いです!

「それを承知でこの学園に留学したのに、今さら学園の在り方に文句を言うのですか? たかが十数年しか生きていない餓鬼が」
「なっ!」
「ご両親に確認をしてみるといい、ああもしかしたら確認すらせずにサインした可能性もあるのですかね。この学園へ留学する条件の一つは「神の名のもとに人間は平等であることを受け入れる」ですよ。他にも神隠しにあう危険があるだとか、命の危険があるとか、キチンと書類には書かれています。もちろん比喩でもなんでもなくただの事実」

 魔法の先生がここまで長文喋るなんて……とクラスメイトがざわざわしている。
 え、そっち?

「君は知らないでしょうね、街で、学園で、城で、貴族が市民に横暴を働き、年に何人の貴族が消えているのか。貴族の特権階級などこの国には存在しません、あるのは神を敬い、逆鱗に触れぬためのルール。人間が作った法律など神々には通用しません、貴族だからなんだというのです? 神の前ではただの餌、食べていい命の一つに過ぎません」

 マジ?
 隣を見たら「マジ」だと頷かれた。

「おや、どうしましたか?顔色が悪いようですね」
「いえ、あの……」
「おやおやおや、まさかとは思いますが、自分は特別だと思っていたのですか?」

 先生めっちゃ煽りますね。

「わ、私は侯爵家の者よ!国王陛下にだって目をかけていただいています、私に何かあったら国が――」
「ラグ君どうぞ」
「戦争を決めた時点で僕の親族が王侯貴族を食い尽くす」
「むしろ酷い目に合わせて戦争煽るか、最近食ってねぇし」

 ラグ君に続き、イグ様が不穏な事を言っています。
 国際問題とかに発展しない?大丈夫?
 隣を見たら「大丈夫」と頷かれた。

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