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とある生徒の、普通とは少し違った日常。 1-16

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「大丈夫、留学生以外は全員師匠レベルですから」

 先生が笑顔で言い放つ。
 そこは先生に聞いてくださいじゃないのだろうか、今までの常識が通じなくて戸惑うなぁ。

「では始めましょうか、先程言ったように、まずは床に手をつき、呪文を唱える」

 でも先生の場合は唱えてなくても地面光っていますね。

「そのまま地面に魔力を流しながら前方にダッシュ」

 先生の足元から波紋のように光が広がっていき、先生が走った軌跡がピカピカに光っている。

「はい、終了」
「…………」
「……あの、これは一体……?」

 先生があっさり言うけど、全く分からない。

「雑巾がけは布を必要とするでしょう、これは布いらずの床拭きです。慣れれば立ったまま出来ますが、皆さんは手からしか出せないでしょう、だから床に手をついたままの態勢で前のステージに向かってクリーンをかけながら移動してください。もちろん応用が出来る人は一番楽な態勢でやってもいいですよ。スタート」
「えっ」

 ええええええええええええ!! ちょっと待て! 説明不足にもほどがある! 
 慌ててクリーンを使うけど、仲間たちと違って継続して使えずになかなか前に進まない。

「はい、一位はラグ君ですね」
「イェイ」
「ちなみにこの授業は徐々に難易度を上げ、途中から妨害が入ります」
「妨害する役!」

 先生曰く、ラグ君は頑固な油汚れポジション、ただクリーンを唱えるだけでは落ちない汚れ役。
 ただクリーンを使えるようになるだけじゃダメということらしい。

 先生のクラスでは毎回、この魔法を使った遊びが行われているとのこと。ちなみに先生と競争する生徒もいる。
 先生、本気出すな! ラグ君と一緒になって本気で俺らの妨害するのやめてくれ!
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