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互角の試合です♪
しおりを挟む試合開始の笛が鳴り響く。
いつもは体育館での試合だが、今日は屋外、人工芝でのコートでの試合で志保以外は人工芝での経験がない。
(自分が引っ張っていかないと)
人工芝ではボールもいつもよりも転がりにくいし、弾み方も若干違う。体育館と違って少し足が滑り少しだけ走りにくい。
(とりあえずこの状況に慣れないとね)
そう思った志保はウインクをして理沙にボールを渡した。
「ゆっくり行こう。試合は始まった分だよ~」
「とりあえず回していくぞ」
自分の意図を理解した理沙もゆっくりと柚季にボールを預ける。亜紀も自分達の意図を理解し、無駄な動きをやめてボールを呼ぶ事をやめた。
(そうそう。とりあえず焦らずに、コートや雰囲気に慣れよう)
メンバー全員が自陣でボールを回すが、スクラッチはプレッシャーをかけては来ない。フローラルもスクラッチも基本的に攻撃1人、守備3人の布陣。お互いカウンターが得意なチームの為に試合がゆっくりとした展開になる。
(こんな展開になるって思ってはいたけど、本当になるなんて。少しは焦れてくれるといいんだけど……やっぱり実践慣れしているな、スクラッチは)
ボールを取られないように丁寧にボールを回す。
時折、自分がドリブルで攻め込もうとするモーションを起こすとすぐさまドリブルコースを塞がれる。スクラッチがボールを保持しても、フローサルの守備の堅さになかなか攻め入れない。
お互いにシュートが打てず、完全に膠着状態が続いていた。そんな中、亜紀とアイコンタクト取った。
(しょうがない。このまま膠着状態が続いても勝てないし……ね!)
理沙からボールを受け取るとすぐさま強めにボールを前に蹴る。するといつの間にか動き出しマークを外していた亜紀にパスが綺麗に通った。それと同時に亜紀のフォローに走る。
(やっぱりフットサルの醍醐味はスピーディーな展開と細かい技術だよね)
そう思った志保は亜紀から折り返しのボールを受け取ると、細かいタッチでドリブルをして攻め込んでいく。
1人をかわしてスクラッチのゴールに迫ると自分の目の前に奈央が現れた。
「ここから先は通さない。やっぱり志保ちゃんがエースだよね。今日は仕事をさせないから」
奈央がそう言って完全に志保のドリブルコースを消した。1度は抜きにかかろうとするが、完全に奈央に密着され、もはやドリブルを出来る状態ではなくなった。
(凄いプレッシャー。やっぱりバスケのプレスって凄い)
ギリギリの所で耐える志保に対してさらに圧力をかけてくる奈央。細かく動かしてボールを動かしていたが(もう駄目だ)と志保がそう思った瞬間、柚季がフォローに来てくれた。
「柚季ちゃん、お願い!」
苦し紛れのパスは柚季の走り込んで来る場所とは少しずれる。
何とか柚季がボールをキープしようとするが、その前にスクラッチの優子にボールをカットされた。その瞬間、スクラッチのゴレイロ、綾乃から
「カウンター! 速攻!」
と大きな声が叫ばれた。スクラッチのメンバーがあっという間にフローラルゴールに攻め込んでくる。
だが、舞は落ち着いていた。
「理沙ちゃん、遅らせて! 柚季ちゃん、後ろにいるから!」
声を出して不利な状態を遅らせ、志保や亜紀が戻ってくるのを待つ。
自らもシュートコースを空けないように慎重にポジションを確認する。理沙に止められたスクラッチの優子は後ろにボールを戻す。そこに戻ってきた志保がプレスをかける。
試合が一気に動き始めた。右へ左へとボールがピンボールのように弾かれる。
お互い守備に人数をかけているチーム、そして女性チームでは珍しくゴレイロの選手がいる。シュートを打ってもなかなか結果に繋がらない。緊迫した試合展開が続く中、前半終了の笛が鳴り響いた。
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