love songが鳴らない夜

Rollman

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第2話.4年の秘密

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乾杯をして、俺は食い気味に「そんで何?」
そう聞くと、エイミーはハイボールを一気に飲み干し
お代わりを頼んで、ゆっくりと言葉を選んで話し始めた。
「ねぇ、シマさんとハッシーのことだけどなんか聞いてる?」
鋭い視線でこちらを見ながら俺の返事を待っているエイミー。
俺は「なんのこと?特に何も聞いてないけど」
そう返すと、さっきより鋭い眼光で俺をみてくる。
そして「本当に?」
そう聞き直してくるエイミーに俺は本当に知らないよって返した。
逆に俺から、「あの2人がどうかした?」
って、聞き直すと、少し寂しそうな顔をした後に笑顔で
「あの2人付き合ってない?」
そういってきた。
俺は笑いながらそれはないだろうし、付き合ってたら報告くらいはするだろう?
と、俺が返したらエイミーが「内緒にしてるのかも」といってきたが、俺は「それはないよ、隠す理由もないし」
と答えた。
そもそもあの2人が付き合ってる?
確かに怪しいと言えば怪しいが、特に興味があるわけでもなかった。
「....の」
小さな声でエイミーが何かいったような?
「なんかいった?」
と聞くと「私本人から聞いたの!」
は?
俺はイマイチ話が理解出来ず、もう一度聞き直した。
「本人から何を聞いたんだよ」
ビールに手をかけ、俺は飲みながらエイミーの返事を待った。
「シマさんから聞いたの、ハッシーと付き合ってるって」
俺は驚きながらも冷静を装い、「あの2人が?」
って、聞くとエイミーは小さく頷いた。
人の恋愛に興味はないが、少し面白そうな感じがしたので詳しく聞く事に。
「本当にあの2人が付き合ってるの?」
俺はしつこく聞き直した。
すると、「シマさんから聞いたから」
そう答えるエイミー。
俺はビールを一気に飲み干し、「まあ、よかったよ、なんかおめでたいし。」
と返し、追加のビールを頼んだ。
その時またエイミーが「よくないよ」
小さな声でいった!
そして俺の追加のビールがテーブルに来た瞬間、「私付き合ってるの」
声にならないような小さな声であるが、ハッキリと聞き取れた。
「付き合ってる?誰と?」
そう聞くと、エイミーは寂しくあり怒ってるようでもあるトーンで「私とハッシー」
俺は酔ったのか?
話しが全く理解出来ない。
落ち着こう、シマさんとハッシーが付き合ってる。
これはエイミーが直接聞いたから事実なんだろう。
そしてエイミーとハッシーも付き合ってる。
ん?
それって。
俺はエイミーの方に視線を向けた。
エイミーはゆっくり、そして強い口調で「だからバンドマン、その周りの人はクズなんだよ!」
俺を睨みながらいった。
俺は思った。
バンドマンも周りの人もなんの関係ない、ましてクズかどうかそんな簡単に言われるとイラッとする。
しかし、俺は反論する事をしなかった。
ただただ静かにエイミーの愚痴を聞いた。
数十分だが何時間にも感じた時間の流れを俺は恨んだ。
俺は「ハッシーには確認したの?」
そう聞くとエイミーは「これから確認する」
そう答えると、またハイボールを頼んだ。
俺は「確認してみないとわからないね」そう言うのが精一杯だった。
しかしあの2人が付き合ってるとは、やはり思えない。
それが俺の直感的意見である。
そもそも秘密にする理由も意味もないし、わからない。
しかも、詳しく聞いたところ4年も付き合ってるらしい。
4年も秘密にしてるっていうより、4年もバレない方が不思議だと思った。
そして、4年に渡り俺に嘘をついてた事になる。
散々俺を嘘つき呼ばわりしといて。
だいたい、俺はこのシマって女性が嫌いだ。
仲良し、保護者のようだって言われるがそんな事はない!
俺は怒りの炎を理性で抑えてるだけ。
ちょっとした事で俺は自分をコントロールすることが出来なくなるくらい、このシマという女性が嫌いだ。
もう一度いう、俺はシマが嫌いだ!

「ねぇ」
「ねぇってば」
「Rollmanどうしたの?」
エイミーの呼びかけで俺は我にかえった。
「ごめん、ちょっと思い出して」
そう言うと、エイミーが
「シマさんと仲良いよね」ってエイミーが俺に聞いてくる。
だから仲良くないんだよ、嫌いなんだよ。
って、気持ちを抑え「まあ普通だよ」って答えた。
そして続けて「とりあえず確認してみなよ」と伝えた時
エイミーが「後ろ」
ん?
「Rollman後ろ」
俺は後ろを見ると、そこにはシズぴょん。
そう、俺の彼女のシズぴょんが悪魔のような形相で窓の外に立っていた。


つづく。
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