ロックをロールさせろ。

Rollman

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第24話.雨の野音

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ライブ前日の朝に俺は佳乃の部屋に行った。
ピンポンを押すとすぐ佳乃が出てきた。
俺は「おはよう」と言うと、佳乃が部屋に入れてくれた。
部屋に入るとシェリー、クッキー、ロザーナ、スクラップが元気よく戯れてきた。
特にスクラップは俺に懐いていて、興奮気味だ。
佳乃が笑いながら「朝食一緒に食べよう」って言って来たので一緒に食べることに。
これが最後になるとは、俺はこの時思いもしなかった。
今思えば不自然なことだらけだったと思う。
俺は一緒に朝食を食べながら、「ところで急に呼び出してなんか用事?」そう俺が聞くと佳乃は、
「朝食を一緒に食べようと思っただけ」って答えた。
俺は、なんだそれだけかって思って朝食を食べながら談笑した。
そして、昼から明日のリハがあるので帰宅しようと思い、「ご馳走様、そろそろ帰るね」そう言って部屋を出ようとした時、佳乃が俺に近づいてきていきなり唇を合わせてきた。
その顔には涙が!
俺は「どうした?なんかあったの?」って聞いたが、佳乃は「Rollmanと会えたのが嬉しくて」って。
「でも今のは2人だけの秘密だからね」って、笑いながら言ってきた。
さっき見せた涙が気になったが、俺はリハの為に帰宅し、ベースを持ってスタジオへ。
スタジオでは、確認程度の音合わせをして終わりとなった。
明日に備えて俺達は軽く呑んで帰宅することに。
帰宅した俺は冷蔵庫からビールを取り、それを呑んで寝ることに。

ライブ当日の朝、コーヒー飲んで会場に向かった。
誰よりも早く。
会場に着くと誰もいないステージから誰もいない観客席を見る。
そして、観客席を降りて歩いた。
本当に今日ここでライブするんだ、なんとも言えない不思議な感じがしたのを覚えてる。
そんな1人の世界にうるさい声が!
「Rollmanなんばしとっと?」って言ってヒロヤが俺に近寄ってきた。
俺は「別に、それよりシノラー帰ってきたの?」って聞く。
シノラーがアメリカからまだ帰って来てないのを俺は知っていた。
ヒロヤが「なんかアメリカで人気ばでよっと帰国遅れちゃる」って言って来たので、
結婚の事を聞くと「結婚はしたバイ、式はまだだちゃ」って。
俺が「いつしたんだよ?」って聞くと「さっきバイ」って答えるヒロヤ。
さっき?
「婚姻届にサインばして貰って、郵送ばして貰ったさかい、わしがさっき出して来たバイ!」
マジか?
なんだよ、この2人突然過ぎるし意味がわかんない。
まあ、話が長くなるのも面倒だからいいやと思い話しを終わらせた。
「そろそろ皆んな来たんじゃない」と言って、俺とヒロヤは楽屋に行くことにした。
楽屋に入ると関係者、それにヒロシとアニキがいた。
エリがいないことに気づいた俺は「ヒロシ、エリは?」と尋ねると、道に迷ってるらしいとのこと。
相変わらずノロマな奴だなぁと思った。
俺達は軽く打ち合わせをし、曲順を決める!
アニキが言う「旅立ちの歌から、ヤろうぜ!」
ヒロヤが「ヤろうバイ、そして俺結婚ばしたバイ」って言ったが結婚については皆んな触れずにいた。
そろそろ15:30開場の時間だ。
その時、俺の目から涙が。
ゴミでも入ったのかと、特に気にもしなかった。
俺達は出番を待つ。
なんとも言えない空気が流れる。
とても静かな感覚だ。
その時、「そろそろお願いします」って声がかかる。
一気に俺達のテンションがあがる。
アニキが言う「ロックをロールさせようぜ!」
そしてステージに立つと、大きな歓声が上がった!
アニキのギターから始まった「旅立ちの歌」
二曲目に「DAYS」
三曲目を過ぎた辺りでポツリポツリと雨が降り出した。
曲が進むにつれて、雨も激しさを増してくいく。
しかし、帰る客は1人もいない。
雨が少しづつ強く降り始めてきた、しかし雨なんて関係無いって程盛り上がっていった。
雨が激しさを増し、俺たちを容赦なく打ち付ける。
途中からヒロシのギターが雨にやられて、音が出なくなる。
アニキは自分のギターをヒロシに渡す。
俺のベースも雨にやられて音が切れ始めた。
さらに雨は激しさを増す。
最後にはドラムの音しか出なくなった。
ドラムの音に合わせてオーディエンスが「友よ」を歌いだした。
オーディエンスのパワーに後押しされ、俺達の野音は終わった。
この日のライブが後に「伝説の野音」って言われ語り継がれる。
ライブ後、打ち上げをするが俺達はライブで全てを使い果たしていたので打ち上げを楽しむ事は出来なかった。
俺達は改めて打ち上げをすることにして、帰宅する事にした。
この後、運命の悪戯が待っているとも知らずに。

つづく

次回いよいよ感動の最終回
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