ロックをロールさせろ。

Rollman

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第23話.野音に向けて

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いよいよ今日からスタジオライフだ!
そんな朝に限ってお気に入りのキャップが見つからないって夢を見た。
今日は曲の確認、新曲のアレンジあたりを集中的にやるんだろうと思っているとヒロヤから電話だ!
電話に出るとヒロヤが「おはRollバイ」って電話越しにテンションの高い声。
俺が用件を聞くと!
あのバンドがツアーファイナルを地元でやるらしい。
そう俺達の憧れ「VIVA☆P」がツアーファイナルで帰ってくる。
でも、今はメジャーだし大人気。
数年前AGAを組んでる頃は同じ事務所のレーベルメイトだったが、今は立場も何もかもが違い過ぎてた。
俺は「チケットあるの?」って聞くとヒロヤが意外な事を言い出した!
「俺、あそこのスタッフ慶乃ちゃんと知り合いバイ」
俺は耳を疑ったよ、だからもう一度聞き直したんだよ。
「誰と知り合いだって?」ってね。
そしたらやっぱり慶乃ちゃんって言いやがる!
なんで知り合いなのか聞くと、昔家の前に住んでたらしい。
偶然にしては出来過ぎだろう!
って、思いながら話を続けたんだ。
チケットは間違いなく取れるから行こうって事になったので、スタジオでアニキ、ヒロシに確認することに。
俺はシャワー浴びてスタジオに向かった。
スタジオに着くと俺以外の3人とエリが既にいる。
俺はライブの話をする前にエリに振込用紙とお金を渡した!
エリが不思議そうな顔で俺を見るので、「コンビニで払ってきて」と、電話料金の支払いを頼んだ。
ちょっと嫌な顔をしたのはエリじゃなく、ヒロシだった。
ん?
「あれ?ヒロシ怒ってんの?」って聞くと「おおお怒ってないよ」って。
2人の秘密を知っているのは俺だけ。
今俺は楽しい。
エリがコンビニに行っている間にVIVA☆Pのライブの件を話した。
ライブは2週間後、5/30だ!
その日はみんなで行く事を決めて俺達はスタジオに入り曲を固めた。
何度も何度も同じ事の繰り返し、この頃スタジオの空気も悪く俺とヒロヤは常にぶつかっていた。
「Rollmanちゃんとドラム聞いとっと?」って言うから俺も「聴きたくないけど聴いてるよ!」って返す。
リズム隊だから、確認する事が沢山あるし、内容も細かい。
そんな毎日を過ごし、俺達は一歩一歩ほんと少しずつ確実なグルーヴ感を作りあげた。
スタジオ帰りにいよいよ明日だね、VIVA☆Pのツアーファイナルって話をして帰っている途中で、西鉄財閥の御曹司テツヤとチャーシューと偶然会った。
以前会った時は会話すらしなかったのに今回はチャーシューから「野音決まったらしいね、おめでとう」って言って来た。
俺も「ありがとう」って答えた。
テツヤが「後からハマケツも来るよ」って言ってきた。
なんだよ、俺以外みんな揃って呑むつもりだったのかと思うと少しイラついてきた。
俺は「3人でバンドでも組むのか?」って嫌味っぽく言うと、チャーシューが笑いながら「Rollmanヤキモチか?」って言ってきたので、「ヤキモチ妬かねーよ、俺が居ない3人じゃ売れねーし」って言ってやった。
チャーシューは笑いながら「まあ否定はしねーけど」って今日はやけに素直だ。
テツヤが野音決まった記念にゴチってくれるって言うから、皆んなで呑むことに。
折角なんで佳乃も呼ぶことにした。
居酒屋リッケンで俺達は朝まで語り、そして記憶をなくすほど飲んだ。
AGAではなぜか縁が無かった日比谷野音、何故か終始、与論島に一度は行った方がいいと勧める佳乃。
楽しい飲み会も終わり、テツヤにお礼を言って別れた。
そして俺達はまた夜にVIVA☆Pのライブで会う。
VIVA☆Pのライブはもちろんソールドアウト!
客の熱気も半端じゃない!
俺達はビールを買い、VIVA☆Pの出て来るのを待っているとメンバーが出て来た。
いよいよ始まる!
やっぱり一曲目は「解放」からだ!
会場のボルテージが一気に上がる。
俺達は終始圧倒され、そして最後の曲は「LIAR」
俺が好きな曲だ。
ライブが終わり、帰ろうとしているとヒロヤが「楽屋行こうバイ」って言ってきた。
いやいや、そりゃあんた無理だろうと思っていると、ヒロヤが楽屋に向かい、入り口のセキュリティの人と話してる。
そして、俺達にこっちに来いって手招きをする。
俺達は冗談だろう?
って、思って行くと中に入れた。
なんなんだこいつは?
そして楽屋をノックしてドアを開けると、そこにはさっきまでライブをしていたVIVA☆Pのメンバーがいる。
ボーカルのトミさんと目があうと、トミさんが「野音おめでとう」って言ってくれた。
そして「ユー達、自腹で野音借りたんだってね、すげーじゃん」って笑いながら話し掛けてきた。
なんて優しい人なんだ!
感動していると、スタッフの慶乃さんがそろそろいいかな?って言って来たので俺達はVIVA☆Pメンバーに挨拶をして、会場をあとにした。

俺達の野音も、あと2ヶ月後!
気合いが入った。
俺達は興奮してたんだろう、コンビニの前で朝まで語った。
そして、またスタジオに籠る日が続く。
あっという間に時間は過ぎ、いよいよ明日が野音!
そんな日に俺は佳乃の部屋に呼ばれた。


つづく
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