16 / 35
二度目
9
しおりを挟む
「この縁談は、お断りして頂けないでしょうか…」
わたしが言うと、父と母の顔色が一変した。
「おまえは、この縁談を断るというのか!?」
「ああ!ジスレーヌ、良く考えて!リアム様は後継ぎなのよ?
結婚すれば、あなたは、行く行くは侯爵夫人よ!
こんな良いお話は二度と無いわ!」
「わたしには、侯爵夫人など、務まりません…」
母は何とかして説得しようと試みたが、わたしは視線を落とし、黙っていた。
すると、父は嘆息し、重々しく言った。
「ジスレーヌ、侯爵家からの話だ、断ればどうなるか、おまえにも想像が付くだろう?」
わたしは重ねた手をギュっと握った。
「それに、リアム様は良い方というじゃないか、おまえが不幸になる事は無いだろう」
わたしは激しく頭を振った。
リアム様が良い方だからこそ、わたしではいけないのだ!
わたしは不幸であっても構わない!
ただ、リアム様を不幸にしたくない___!
「わたしには荷が重過ぎます!わたしではいけないんです!
どうか、お願です、わたしを修道院にやって下さい___」
母は悲鳴を上げ、父は「ゆっくり考えなさい」と宥めた。
◇
「良い話じゃないか!断るなんて、どうかしているぞ、ジスレーヌ」
説得役を任されたのか、兄が部屋に来て、そんな事を言った。
一度目の時には、苦言ばかり言っていたというのに、
今の兄は楽天的な事しか言わない。
きっと、ミシェルとの付き合いが、順調だからだろう。
「おまえだって、リアムが好きだろう?何で断るんだよ?」
わたしは自分の気持ちを兄に話した事は無い。
何故、兄がそれを知っているのか…
「お兄様の勘違いです」
わたしは素っ気なく、否定しておいた。
両親やリアムに、変な事を吹き込まれてはいけない。
「お兄様は、わたしがどれだけ馬鹿で愚かな娘だか、ご存じでしょう?
わたしに侯爵夫人など務まらないわ。
もし、わたしが何か失態を犯せば、リアム様は爵位を継げなくなってしまうでしょう…」
「そんな事まで考えていたのか?
けど、俺はおまえを馬鹿で愚かな娘だとは、思っていないぞ?」
嘘だわ。
一度目の時、わたしが自害した後でさえ、兄は「妹は馬鹿だ」と言っていたのだ。
わたしは胡乱な目で見たが、兄は全く気にも留めず、続けた。
「おまえは自分を過小評価しているんだよ。
おまえは真面目だし、勉強にも熱心だ、少し飲み込みや要領は悪いが、
努力で克服している。それに、何より、おまえは人に親切だし、善良だ。
おまえなら、立派な侯爵夫人になれるさ」
一度目の時、兄はこんな風に言ってくれた事は無い。
ミシェルの事で浮かれているのかしら?
わたしは頭を振った。
「駄目よ、きっと、酷い事になるわ…」
わたしは、リアムに幸せになって欲しいのだ。
リアムはわたしではなく、侯爵夫人に相応しく、
ルイーズに負けない程の、賢い女性と結婚すべきなのだ___
「それなら、こういうのはどうだ?
おまえに《侯爵夫人》の資質があるかどうか、見て貰うんだ。
リアムや侯爵がおまえを認め、おまえ自身が納得した時、婚約を結ぶ。
それまでは、《婚約者候補》という事にして貰え」
確かに、それならば、誰も傷付かない…
前向きな返事ならば、侯爵の不興を買う事もなく、両親の面目も保てるだろう。
それに、侯爵家の仕来りで、跡取りであるリアムの結婚相手は、
相応の婚約期間を設け、次期侯爵夫人に相応しいか、見られる事になっている。
それが、婚約せずに叶うのなら、侯爵家にとっても、好都合だろう…
「凄いわ!お兄様は天才ね!
ミシェルに恋をして、頭の中までお花畑になってしまったかと思っていたけど、
やっぱり、頼りになるわ!」
「お花畑で悪かったな」
この兄の提案に、両親も「良い考えだ」と納得した。
両親は、わたしが修道院に駆け込むより、望みが持てると思った様だ。
デュラン侯爵にこの事を伝えると、良い返事が来た。
それから三日後、リアムがローレン伯爵家を訪ねて来た。
「僕の《婚約者候補》になってくれてありがとう、ジスレーヌ」
皮肉の様に聞こえたのは、気の所為だろうか?
リアムはいつもの様に、優しく微笑んでいるので、やはり、気の所為だろう。
そんな事を思っていると、リアムが両手いっぱいの花束を、わたしに差し出した。
白い小さな花の集まった房や、可愛らしい黄色やピンク色の花…
様々な花が集まり、まるで花園の様だ。
「受け取って貰えるかな?」
「素敵…ありがとうございます、リアム様」
「僕としては、指輪を贈りたかったのだけど、君に逃げられてはいけないので、我慢するよ」
まるで、わたしとの婚約を望んでいた様に聞こえる。
そんな事、ある筈ないわよね…
きっと、気の所為だろうと片付けたが、リアムは尚も言った。
「君が僕に興味が無い事は知っていたよ、君はいつも僕を避けていたからね。
侯爵の名を出したのは、断られたくなかったからだけど、甘かったよ。
そんなに、僕が嫌い?それとも、君には想っている相手がいるの?」
わたしはリアムの言葉を理解しようとした。
だが、頭は混乱するばかりだった。
リアム様は、本当に、わたしとの結婚を望んでいるの?
この縁談は、リアム様が言い出した事だったの?
うれしさと期待で、胸が躍る___
だが、わたしはそんな自分を戒め、冷静になろうとした。
とても、信じられないわ…
一度目の時は、わたしたちの関係は良好だったので、結婚を申し込まれた事は、
期待していたし、自然だった。
だけど、今のわたしたちは、数える程しか顔を合わせていないし、
わたしの態度は、彼も言った様に、『気が無い』といったものだった。
それなのに、何故___?
不思議に思いながら、わたしは返事を探した。
わたしはリアムを愛している。
だけど、それを彼に知られる訳にはいかない。
そうなれば、一度目と同じ事を繰り返してしまうだろう…
だけど、愛する者がいないなど、わたしにはとても言えなかった。
事実と離れ過ぎていれば、嘘の皮は直ぐに剥がれてしまう…
「わたしには、愛して止まない方がいます…
でも、決して結ばれない方です…」
だから、わたしが望むのは、修道院に入る事___
だが、それを言う前に、リアムに遮られた。
「結ばれなら、僕との事を前向きに考えて欲しい。
愛した者同士が結婚するとは限らない。
それでも、愛は生まれると、僕は信じている。
焦がれる様な愛ではなくとも、お互いを受け入れる事が出来れば、
家族の愛は、きっと芽生えるよ」
碧色の目が煌めく。
見惚れる程素敵だが、わたしの胸には、重いものが落ちた。
リアムが結婚に望むのは、《家族愛》だというの?
一度目の時、愛想を尽かされてしまったが、
それでも、それまでは、愛されていたと思っていたのに___
足元がふらついた。
酷く胸が痛み、わたしは花束に隠れ、胸元を押さえた。
「結婚を急ぐ必要は、無いのではありませんか?
何れ、あなたは、相応しいご令嬢と出会われるでしょう…」
エリザの顔が浮かび、わたしは唇を噛んだ。
「僕は、君が良いと思ったんだよ、ジスレーヌ」
「何故ですか?」
つい、責める様に見てしまい、リアムに苦笑された。
「そう嫌な顔はしないで欲しいね、僕だって傷つく事はあるよ」
「す、すみません…」
「いや、君が変に思うのも当然だった、君に話そうと思って来たのに、
僕は最初から躓いてしまったらしい___」
リアムは苦笑し、頭を振った。
「君の事を聞いたよ。
幼い頃から、教会に出入りし、聖歌隊や奉仕活動に励んでいると。
それに、僕は身近で君に接し、善良で優しい娘だと感じた。
恥ずかしながら、僕は継母と異母妹と上手くいっていなくてね…
信じ難い事かもしれないが、継母は僕の失脚を狙っていて、
僕は家に居ても、気を抜く事が出来ない。
君の様な人に、僕の味方になって貰いたい、僕には君が必要なんだ____」
一度目の時のリアムは、継母ルイーズとの関係をはっきり口にした事は無かった。
それに、こんな風に弱音を口にする人では無かった。
だが、それが堪らず、わたしの胸を締め付ける。
ああ、彼の助けになりたい___!
強く思いながらも、一度目の時の事を思い出し、自分を止めた。
流されては駄目よ!
きっと、わたしは彼を失望させてしまうわ___
「わたしは、あなたが思う程、賢くはありません…騙され易く、愚かな娘です。
あなたの助けになる所か、あなたの立場を悪くするかもしれません…」
「君と居ると、僕は安心出来る。君は信じられる人だ。
信じられる人がいる、それだけでも、僕にとっては助けだよ、ジスレーヌ」
信じられる___?
『僕は君を信用していないからね』
『君も僕を信用していないよね?』
『僕は婚約者すら信用出来ない男になってしまった』
一度目の時、リアムに言われた言葉が思い出され、体中の血の気が引いた。
一度目の時のリアムも、わたしに同じ事を望んでいたのだろうか?
わたしはリアムよりも、ルイーズを信じてしまった。
「リアムの為」と言いながら、その行為は、きっと、彼を裏切るものだったのだ___
婚約を解消されても仕方は無い…
わたしはリアムの望みに沿う事が出来なかったのだから。
それに、恐らく、リアムはわたしを愛していた訳ではなかった…
「わたしが、侯爵夫人に相応しくないと思われた時、
あなたに相応しいご令嬢が現れた時には、正直におっしゃって下さい。
わたしはいつでも、身を引く覚悟が出来ております」
わたしは感情の無い声で淡々と言った。
リアムは苦笑し、頷いた。
「そんな覚悟はして欲しくないけど、今の所は仕方ないね。
僕も君に信頼して貰える様、頑張るよ、ジスレーヌ」
わたしが言うと、父と母の顔色が一変した。
「おまえは、この縁談を断るというのか!?」
「ああ!ジスレーヌ、良く考えて!リアム様は後継ぎなのよ?
結婚すれば、あなたは、行く行くは侯爵夫人よ!
こんな良いお話は二度と無いわ!」
「わたしには、侯爵夫人など、務まりません…」
母は何とかして説得しようと試みたが、わたしは視線を落とし、黙っていた。
すると、父は嘆息し、重々しく言った。
「ジスレーヌ、侯爵家からの話だ、断ればどうなるか、おまえにも想像が付くだろう?」
わたしは重ねた手をギュっと握った。
「それに、リアム様は良い方というじゃないか、おまえが不幸になる事は無いだろう」
わたしは激しく頭を振った。
リアム様が良い方だからこそ、わたしではいけないのだ!
わたしは不幸であっても構わない!
ただ、リアム様を不幸にしたくない___!
「わたしには荷が重過ぎます!わたしではいけないんです!
どうか、お願です、わたしを修道院にやって下さい___」
母は悲鳴を上げ、父は「ゆっくり考えなさい」と宥めた。
◇
「良い話じゃないか!断るなんて、どうかしているぞ、ジスレーヌ」
説得役を任されたのか、兄が部屋に来て、そんな事を言った。
一度目の時には、苦言ばかり言っていたというのに、
今の兄は楽天的な事しか言わない。
きっと、ミシェルとの付き合いが、順調だからだろう。
「おまえだって、リアムが好きだろう?何で断るんだよ?」
わたしは自分の気持ちを兄に話した事は無い。
何故、兄がそれを知っているのか…
「お兄様の勘違いです」
わたしは素っ気なく、否定しておいた。
両親やリアムに、変な事を吹き込まれてはいけない。
「お兄様は、わたしがどれだけ馬鹿で愚かな娘だか、ご存じでしょう?
わたしに侯爵夫人など務まらないわ。
もし、わたしが何か失態を犯せば、リアム様は爵位を継げなくなってしまうでしょう…」
「そんな事まで考えていたのか?
けど、俺はおまえを馬鹿で愚かな娘だとは、思っていないぞ?」
嘘だわ。
一度目の時、わたしが自害した後でさえ、兄は「妹は馬鹿だ」と言っていたのだ。
わたしは胡乱な目で見たが、兄は全く気にも留めず、続けた。
「おまえは自分を過小評価しているんだよ。
おまえは真面目だし、勉強にも熱心だ、少し飲み込みや要領は悪いが、
努力で克服している。それに、何より、おまえは人に親切だし、善良だ。
おまえなら、立派な侯爵夫人になれるさ」
一度目の時、兄はこんな風に言ってくれた事は無い。
ミシェルの事で浮かれているのかしら?
わたしは頭を振った。
「駄目よ、きっと、酷い事になるわ…」
わたしは、リアムに幸せになって欲しいのだ。
リアムはわたしではなく、侯爵夫人に相応しく、
ルイーズに負けない程の、賢い女性と結婚すべきなのだ___
「それなら、こういうのはどうだ?
おまえに《侯爵夫人》の資質があるかどうか、見て貰うんだ。
リアムや侯爵がおまえを認め、おまえ自身が納得した時、婚約を結ぶ。
それまでは、《婚約者候補》という事にして貰え」
確かに、それならば、誰も傷付かない…
前向きな返事ならば、侯爵の不興を買う事もなく、両親の面目も保てるだろう。
それに、侯爵家の仕来りで、跡取りであるリアムの結婚相手は、
相応の婚約期間を設け、次期侯爵夫人に相応しいか、見られる事になっている。
それが、婚約せずに叶うのなら、侯爵家にとっても、好都合だろう…
「凄いわ!お兄様は天才ね!
ミシェルに恋をして、頭の中までお花畑になってしまったかと思っていたけど、
やっぱり、頼りになるわ!」
「お花畑で悪かったな」
この兄の提案に、両親も「良い考えだ」と納得した。
両親は、わたしが修道院に駆け込むより、望みが持てると思った様だ。
デュラン侯爵にこの事を伝えると、良い返事が来た。
それから三日後、リアムがローレン伯爵家を訪ねて来た。
「僕の《婚約者候補》になってくれてありがとう、ジスレーヌ」
皮肉の様に聞こえたのは、気の所為だろうか?
リアムはいつもの様に、優しく微笑んでいるので、やはり、気の所為だろう。
そんな事を思っていると、リアムが両手いっぱいの花束を、わたしに差し出した。
白い小さな花の集まった房や、可愛らしい黄色やピンク色の花…
様々な花が集まり、まるで花園の様だ。
「受け取って貰えるかな?」
「素敵…ありがとうございます、リアム様」
「僕としては、指輪を贈りたかったのだけど、君に逃げられてはいけないので、我慢するよ」
まるで、わたしとの婚約を望んでいた様に聞こえる。
そんな事、ある筈ないわよね…
きっと、気の所為だろうと片付けたが、リアムは尚も言った。
「君が僕に興味が無い事は知っていたよ、君はいつも僕を避けていたからね。
侯爵の名を出したのは、断られたくなかったからだけど、甘かったよ。
そんなに、僕が嫌い?それとも、君には想っている相手がいるの?」
わたしはリアムの言葉を理解しようとした。
だが、頭は混乱するばかりだった。
リアム様は、本当に、わたしとの結婚を望んでいるの?
この縁談は、リアム様が言い出した事だったの?
うれしさと期待で、胸が躍る___
だが、わたしはそんな自分を戒め、冷静になろうとした。
とても、信じられないわ…
一度目の時は、わたしたちの関係は良好だったので、結婚を申し込まれた事は、
期待していたし、自然だった。
だけど、今のわたしたちは、数える程しか顔を合わせていないし、
わたしの態度は、彼も言った様に、『気が無い』といったものだった。
それなのに、何故___?
不思議に思いながら、わたしは返事を探した。
わたしはリアムを愛している。
だけど、それを彼に知られる訳にはいかない。
そうなれば、一度目と同じ事を繰り返してしまうだろう…
だけど、愛する者がいないなど、わたしにはとても言えなかった。
事実と離れ過ぎていれば、嘘の皮は直ぐに剥がれてしまう…
「わたしには、愛して止まない方がいます…
でも、決して結ばれない方です…」
だから、わたしが望むのは、修道院に入る事___
だが、それを言う前に、リアムに遮られた。
「結ばれなら、僕との事を前向きに考えて欲しい。
愛した者同士が結婚するとは限らない。
それでも、愛は生まれると、僕は信じている。
焦がれる様な愛ではなくとも、お互いを受け入れる事が出来れば、
家族の愛は、きっと芽生えるよ」
碧色の目が煌めく。
見惚れる程素敵だが、わたしの胸には、重いものが落ちた。
リアムが結婚に望むのは、《家族愛》だというの?
一度目の時、愛想を尽かされてしまったが、
それでも、それまでは、愛されていたと思っていたのに___
足元がふらついた。
酷く胸が痛み、わたしは花束に隠れ、胸元を押さえた。
「結婚を急ぐ必要は、無いのではありませんか?
何れ、あなたは、相応しいご令嬢と出会われるでしょう…」
エリザの顔が浮かび、わたしは唇を噛んだ。
「僕は、君が良いと思ったんだよ、ジスレーヌ」
「何故ですか?」
つい、責める様に見てしまい、リアムに苦笑された。
「そう嫌な顔はしないで欲しいね、僕だって傷つく事はあるよ」
「す、すみません…」
「いや、君が変に思うのも当然だった、君に話そうと思って来たのに、
僕は最初から躓いてしまったらしい___」
リアムは苦笑し、頭を振った。
「君の事を聞いたよ。
幼い頃から、教会に出入りし、聖歌隊や奉仕活動に励んでいると。
それに、僕は身近で君に接し、善良で優しい娘だと感じた。
恥ずかしながら、僕は継母と異母妹と上手くいっていなくてね…
信じ難い事かもしれないが、継母は僕の失脚を狙っていて、
僕は家に居ても、気を抜く事が出来ない。
君の様な人に、僕の味方になって貰いたい、僕には君が必要なんだ____」
一度目の時のリアムは、継母ルイーズとの関係をはっきり口にした事は無かった。
それに、こんな風に弱音を口にする人では無かった。
だが、それが堪らず、わたしの胸を締め付ける。
ああ、彼の助けになりたい___!
強く思いながらも、一度目の時の事を思い出し、自分を止めた。
流されては駄目よ!
きっと、わたしは彼を失望させてしまうわ___
「わたしは、あなたが思う程、賢くはありません…騙され易く、愚かな娘です。
あなたの助けになる所か、あなたの立場を悪くするかもしれません…」
「君と居ると、僕は安心出来る。君は信じられる人だ。
信じられる人がいる、それだけでも、僕にとっては助けだよ、ジスレーヌ」
信じられる___?
『僕は君を信用していないからね』
『君も僕を信用していないよね?』
『僕は婚約者すら信用出来ない男になってしまった』
一度目の時、リアムに言われた言葉が思い出され、体中の血の気が引いた。
一度目の時のリアムも、わたしに同じ事を望んでいたのだろうか?
わたしはリアムよりも、ルイーズを信じてしまった。
「リアムの為」と言いながら、その行為は、きっと、彼を裏切るものだったのだ___
婚約を解消されても仕方は無い…
わたしはリアムの望みに沿う事が出来なかったのだから。
それに、恐らく、リアムはわたしを愛していた訳ではなかった…
「わたしが、侯爵夫人に相応しくないと思われた時、
あなたに相応しいご令嬢が現れた時には、正直におっしゃって下さい。
わたしはいつでも、身を引く覚悟が出来ております」
わたしは感情の無い声で淡々と言った。
リアムは苦笑し、頷いた。
「そんな覚悟はして欲しくないけど、今の所は仕方ないね。
僕も君に信頼して貰える様、頑張るよ、ジスレーヌ」
45
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄の罰として、冷酷公爵様に引き取られたのですが…溺愛が過ぎます!
22時完結
恋愛
「公爵家に身柄を預ける。それが、きみへの罰だ」
社交界で“悪役令嬢”と噂されていた侯爵令嬢・リディアは、ある日突然、婚約者である王太子から婚約を破棄された。
その場で断罪され、王家の名誉を傷つけた罰として命じられたのは――冷酷で知られる隣国の大公爵、アレクセイ・レオンハルトへの“引き渡し”だった。
周囲は誰もが「破滅だ」と囁いた。
なぜなら、アレクセイ公爵は血も涙もない男として恐れられており、社交界では『氷の獣』とさえ呼ばれていたからだ。
だが、リディアを待ち受けていたのは――
「今夜は、私の隣で眠るといい。罰とは、そういう意味だよ」
「…え?」
戸惑う彼女に注がれるのは、冷たい瞳とは裏腹の、甘すぎる眼差しと過保護なほどの愛情。
強引で不器用なアレクセイの溺愛は日に日に増していき、ついには「君を誰にも渡したくない」と独占欲全開に!?
婚約破棄されたはずの令嬢が、冷酷公爵に甘やかされて溺愛される――
これは、人生のどん底から始まる、予想外すぎる恋の物語。
婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―
鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。
泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。
まだ八歳。
それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。
並ぶのは、かわいい雑貨。
そして、かわいい魔法の雑貨。
お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、
冷めないティーカップ、
時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。
静かに広がる評判の裏で、
かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。
ざまぁは控えめ、日常はやさしく。
かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。
---
この文面は
✔ アルファポリス向け文字数
✔ 女子読者に刺さるワード配置
✔ ネタバレしすぎない
✔ ほのぼの感キープ
を全部満たしています。
次は
👉 タグ案
👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字)
どちらにしますか?
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
[完結]私を巻き込まないで下さい
シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。
魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。
でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。
その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。
ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。
え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。
平凡で普通の生活がしたいの。
私を巻き込まないで下さい!
恋愛要素は、中盤以降から出てきます
9月28日 本編完結
10月4日 番外編完結
長い間、お付き合い頂きありがとうございました。
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】
mako
恋愛
以前の投稿をブラッシュアップしました。
ランズ王国フリードリヒ王太子に嫁ぐはリントン王国王女クラリス。
クラリスはかつてランズ王国に留学中に品行不良の王太子を毛嫌いしていた節は
否めないが己の定めを受け、王女として変貌を遂げたクラリスにグリードリヒは
困惑しながらも再会を果たしその後王国として栄光を辿る物語です。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる