【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音

文字の大きさ
3 / 33

しおりを挟む

名門王立クレール学院は、男子部と女子部に分かれていて、
男子部は基礎三年、専門二年の五年制であり、女子は三年制となっている。
男女別棟だが、敷地は同じで、共同スペースは多く、共同棟もある。
行事等は合同で行われる___





ダイエットくらい、簡単よ!!

前世では美容や体型に気を使っていたし、ヨガインストラクターになるのもいいなと思っていた位だ。
前世の知識と経験があれば、鬼に金棒よ!

早速、授業中に、片足上げ、踵上げ、爪先上げ、足に本を挟んだりと、エクササイズに勤しんだ。
教室の移動の際には、腿上げをしたり、遠回りをして教室に向かう。
昼食は食堂で栄養を考えた料理を選ぶ。野菜多めは勿論、タンパク質だって必要よ!
昼休憩は無駄に校舎を徘徊した。
それから、メイクの研究ね!
女子生徒たちは皆、化粧をしているので、悪目立ちする事はない。

「素材が悪くても、メイクでなんとでもなるわ!!」

尤も、エリザはあまり化粧品を持っていなかったので、買い足す必要がある。
少ない化粧品を使い、出来得る限りの努力をした。

「白くてモチ肌なのは良いけど、ソバカスが目立つのよね…
美女メイクよりも、可愛い系が似合うかな?」

ソバカスはファンデーションで隠して…
目元にはほんのり赤味を入れて…
小さな唇には明るいピンク色の口紅を…

「うん、可愛い!」

それから、白金色の髪はジェシーに頼んで、一本の編込みにして貰った。
ちなみに、ジェシーはわたしと同じCクラスで席も近く、ブリジットはBクラスだ。

「エリザ、これで良い?」
「完璧よ!ありがとう、ジェシー!」

これで少しは涼しくなるだろう。

そんな事を熱心にしていたわたしは、「エミリアンに会いに行く!」という本日最大のイベントを忘れてしまっていた。
それを思い出したのは、放課後になってからだ。

エミリアンの行動パターンは分かっている。
エミリアンは病弱という事もあり、昼休憩や放課後はいつも、図書室で過ごしている。

わたしはジェシーに「用事があるから!」と別れを告げ、図書室に向かった。

ああ、どうしよう!
推しに会えるなんて、うれし過ぎるわ!!
今の今まで忘れていた事は、ご愛敬だ☆

軽やかにスキップをしそうになったが、ドスンドスンという地響きと共に、断念した。

「スキップより、まずは腿上げね…」

わたしはピンと背筋を伸ばし、腿を高く上げて歩いた。

「___自分の立場を弁えるのね!」

不意に耳に入った鋭い声に、わたしは咄嗟に振り返っていた。
廊下の突き当りで、三人の女子生徒と一人の女子生徒が対峙していた。
三人の女子生徒が一人の女子生徒に圧力を掛けている様に見える。

「まさか、イジメ!?」

三人の生徒たちが去って行き、一人の女子生徒はその場に崩れた。
わたしは慌てて彼女の元に駆け付けた。
勿論、スマートにとはいかず、ドスドスという地響きと共にだったが…

「だ、だいじょうぶですか!?」

声を掛けると、蹲っていた女子生徒が顔を上げた。
平凡な顔立ちで、化粧はしていないのか、そばかすも隠していないが、濃い緑色の瞳は綺麗だった。
それに、髪の色も赤色と金色が混ざり…ストロベリーブロンドというものだろうか?魅入ってしまう色合いだ。

彼女が訝しげにわたしを見る。
わたしは何か微妙な空気が流れているのに気付いた。

あれ??もしかして、声を掛けちゃ、いけなかった??

「あの、怪我はありませんか?」というわたしの言葉を、
「アンジェリーヌ!!」という大きな声が掻き消した。

見事な金髪の男子生徒が走って来たかと思うと、わたしを押し退ける様にし、女子生徒を支えた。
彼女は、「怖かった…」と彼に縋り付く。

「アンジェリーヌ、また何かされたのか!?君がやったのか!?」

傍観していた所、急に琥珀色の目でギロリと睨まれ、慌てた。

「ええ!?わたしじゃありません!」

「それなら、こんな所で何をしていたと言うのだ!」

「具合でも悪いのかと思って、声を掛けた所です」

彼女がフォローしてくれると期待したのだが、男の胸に顔を伏せたままで、そんな気配はない。
それだから、目の前の金髪の男はわたしを敵視している。
怖い顔で睨んでいるけど、ユーグに劣らぬ、超絶美形だ!凄い迫力!!

「詳しく話を聞かせて貰うぞ!」

相手が超絶美形なので、『お話するのもいいかなー』と思ってしまったが、
ガッシリと強い力で肩を掴まれ、脳内お花畑だった自分を呪った。

「痛っ!!」

何するのよ!この、乱暴者!!
言ってやろうとした時だ、誰かが彼の腕を掴み、わたしの肩から離させた。
見ると、いつの間に来たのか、ユーグが立っていて、
何やら不穏な気を発し、冷たい表情でこちらを見下ろしていた。

「レオン、俺の義妹を傷つけたら、幾らおまえでも許さないからな!」

レオン?
まさかと思っていたけど、やっぱり、この二人は…
【溺愛のアンジェリーヌ】のヒロイン、アンジェリーヌと第三王子レオン!??
有名人じゃない!キャーー!!

「おまえの義妹?まさか…」

レオンが訝しげに、わたしとユーグを交互に見る。
わたしは相手があの《レオン》という事もあり、照れてしまったのだけど、ユーグには関係無かった。
更に厳しい顔つきになっている。
ああ、お義兄様の不機嫌度が増しているわ…

「『まさか』とは?おまえは友の言葉も信じられないのか?
それならいい、今を持って、おまえとの友好関係は破棄する!」

うわああ!!何を言っているのですか!!お義兄様!!

「お義兄様!この程度の事で、早まらないで下さい!」

わたしは慌ててユーグの制服の裾を掴んだ。
だが、ユーグは何を思ったのか、わたしをしっかりと腕に抱き、レオンを足蹴にした。

「ドカ!!」

「うわぁ!!」

レオンが間抜けな声を上げ、廊下に尻もちを着いた。

きゃあああああ!!!

「お義兄様止めてー!この人、第三王子でしょう!?首を刎ねられちゃうから!!」

「王子だろうと関係ない、おまえを傷つける者は誰であれ、地獄を見せてやる」

駄目駄目!!そんな物騒な事言っちゃ駄目―――!!!
勝手に、バッドエンドに突き進まないでぇぇぇ!!

「わたしは肩を掴まれただけです!それも誤解だし…こんな事で一々報復しないで下さい!
お義兄様、第三王子に謝って下さい!」

わたしはユーグの腕を引き、その後頭部を掴むと、無理矢理下げさせたのだった。
一連の流れを見ていたレオンは、「ぷっ」と吹き出した。

「疑って悪かったな、確かに、おまえたちは兄妹らしい。
入学以来首席のおまえに、そんな態度が取れるのは、身内くらいだろう?」

レオンが白い歯を見せて笑う。
あら!案外良い人じゃない?
ユーグを見ると、先程まであった冷たい表情は消え、
少し困った様な、それでいて柔らかい笑みを見せていた。

《兄妹》《身内》という言葉がうれしかったのかもしれない。
生まれて間もなく両親を亡くしたユーグは、《家族》を殊の外、大事にしているから…

「おまえの義妹なら、卑怯な真似はしないか…
誤解して悪かったな、名は何というのだ?」

「エリザだ」

わたしが答える前にユーグが答えてしまった。
ユーグの手はわたしの肩を擦り、そして、頭を撫でた。

「お義兄様!髪が崩れちゃうから!」

わたしがその手を掴むと、悲しそうに見られた。

うう…罪悪感!

「そうだぞ、ユーグ、例え義妹であっても、無暗に令嬢の頭に触れるものではないぞ。
おまえは少し女性の扱い方を学んだ方がいい」

「言っていろ」

ユーグは短く返し、不機嫌そうに口を曲げた。
ユーグは単に、わたしを《令嬢》と見ていないだけだろう。

「あのぅ…」と、アンジェリーヌが顔を上げた。

「アンジェリーヌ!大丈夫か?」

レオンは先の事を思い出し、アンジェリーヌを支えた。
アンジェリーヌは手で額を押さえた。

「少し眩暈がして…でも、レオン様のお陰で良くなりました」

アンジェリーヌが微笑むと、レオンは安堵の息を吐いた。
流石、【溺愛のアンジェリーヌ】の王道カップルね!お似合いだわ!

「アンジェリーヌ、立てるか?
ユーグ、悪いがアンジェリーヌを送って行く___」

レオンはアンジェリーヌを支え、歩いて行った。
ぼんやりと見送っていた所、ユーグに聞かれた。

「レオンはおまえがアンジェリーヌに危害を加えたと思ったのか?」

「そうみたい、誤解なのよ?
わたしは彼女が蹲っていたから、声を掛けただけなの」

三人の女子生徒は、悪役令嬢ドロレスと、取り巻き二人だと思うが、はっきりと見た訳ではなかったので、黙っておく事にした。
信じてくれるだろうか?
上目で伺うわたしに、ユーグは「優しいな」と零し、また少し寂しそうな目をした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。 前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。 外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。 もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。 そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは… どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。 カクヨムでも同時連載してます。 よろしくお願いします。

P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ

汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。 ※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます

氷雨そら
恋愛
 本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。 「君が番だ! 間違いない」 (番とは……!)  今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。  本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。 小説家になろう様にも投稿しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

処理中です...