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第一章 導かれて☽第二夜 陽の巫女
顕現
「――ふぇ?」
睡蓮は声に驚き目を覚ました。横たわっていた上半身を起こすと、六芒星の魔法陣は夜空に咲き散る花火のように儚く消失した。
「へぇ。少し犬臭いけど、結構可愛いじゃん。白狐、オレこの子のこと気に入ったから!」
「え?」
板の間の上、金髪の少年が二人。戸惑う睡蓮を挟んで、吊り気味の目を細めて笑い合う。
顔立ちから見て、睡蓮たちより歳下か。
二人は双子のような容姿をしていてとてもそっくりではあるが、斜めに流した前髪の分け目が左右逆であったりと、外見の違いが多少あるので見分けは簡単に付きそうだ。
太秦と同様この者たちも、和洋が混ざり合う風変りな格好をしていた。
しかし艶やかな躑躅色の襖を、障壁画や雪洞の灯りで幻想的に彩るこの部屋の中では、それが奇をてらわずによく馴染むのであった。
「あ、あの昂くんはどちらに……」
「お目覚めの気分は、ど? ボク、白狐って言うんだ。君の名前を知りたいんだけど、教えてくれる?」
「おい。この巫女さまは、オレが先に話をするって決めてたんだぞ? あ、オレの名は黒狐。白狐と違って、大御神の恩恵を受けたこの肌が健康的で男らしいだろ? ほらほら白狐なんて放っておいてさ、もっとこっちにおいでって」
「あ、あの昂くんはっ!」
「はァ? 何言っちゃってんだよ黒狐。ねぇ君の瞳にも、ボクの方が使わしめっぽくて神秘的に見えてるでしょ? わ~君の手って小さくて可愛いね」
全く話を聞く気がないのか、懸命に訴えかける睡蓮を差し置いて、腰に腕を回したり手を握ったりと、初対面と思えぬほど馴れ馴れしくする二人。何とまあ軽薄な印象だが、危害を与えたりはして来なさそうだ。しかし手癖が悪いようで、次第にそれもエスカレートをしていく。それぞれの手が狩衣の胸元と裾に伸び始めた。
「「ぎゃう!」」
涙を浮かべて「イテテ」と頭を押さえる二人の背後に現れたのは、げんこつを作った太秦だった。
「顕現早々すまない、うちの者が失礼をした。いいか狐、お前たちの遊び相手ではないのだぞ? この方は陽の――」
「あ! ヤタノカラスさんっ」
睡蓮を見た途端、そう人名のように呼ばれ太秦は言葉を失う。白狐と黒狐はここぞとばかりにといった様子で、愉快げに目配せをすると笑い転げた。
太秦は咳払いをして律したが、小首を傾げる睡蓮にはため息を吐くしかなかった。
「案ずるな陽の巫女。そもそも倭に連れて来るのは、そなただけの予定だったのだ。この世の者でない昂は結界が張られた屋敷を跨げなかったに過ぎない。だが迎えを……ああ、ちょうど来たようだな」
太秦が一歩脇に避けると、その後方には肩に昂を担ぐ白銀の髪色をした男が立っていた。
睡蓮は声に驚き目を覚ました。横たわっていた上半身を起こすと、六芒星の魔法陣は夜空に咲き散る花火のように儚く消失した。
「へぇ。少し犬臭いけど、結構可愛いじゃん。白狐、オレこの子のこと気に入ったから!」
「え?」
板の間の上、金髪の少年が二人。戸惑う睡蓮を挟んで、吊り気味の目を細めて笑い合う。
顔立ちから見て、睡蓮たちより歳下か。
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太秦と同様この者たちも、和洋が混ざり合う風変りな格好をしていた。
しかし艶やかな躑躅色の襖を、障壁画や雪洞の灯りで幻想的に彩るこの部屋の中では、それが奇をてらわずによく馴染むのであった。
「あ、あの昂くんはどちらに……」
「お目覚めの気分は、ど? ボク、白狐って言うんだ。君の名前を知りたいんだけど、教えてくれる?」
「おい。この巫女さまは、オレが先に話をするって決めてたんだぞ? あ、オレの名は黒狐。白狐と違って、大御神の恩恵を受けたこの肌が健康的で男らしいだろ? ほらほら白狐なんて放っておいてさ、もっとこっちにおいでって」
「あ、あの昂くんはっ!」
「はァ? 何言っちゃってんだよ黒狐。ねぇ君の瞳にも、ボクの方が使わしめっぽくて神秘的に見えてるでしょ? わ~君の手って小さくて可愛いね」
全く話を聞く気がないのか、懸命に訴えかける睡蓮を差し置いて、腰に腕を回したり手を握ったりと、初対面と思えぬほど馴れ馴れしくする二人。何とまあ軽薄な印象だが、危害を与えたりはして来なさそうだ。しかし手癖が悪いようで、次第にそれもエスカレートをしていく。それぞれの手が狩衣の胸元と裾に伸び始めた。
「「ぎゃう!」」
涙を浮かべて「イテテ」と頭を押さえる二人の背後に現れたのは、げんこつを作った太秦だった。
「顕現早々すまない、うちの者が失礼をした。いいか狐、お前たちの遊び相手ではないのだぞ? この方は陽の――」
「あ! ヤタノカラスさんっ」
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太秦は咳払いをして律したが、小首を傾げる睡蓮にはため息を吐くしかなかった。
「案ずるな陽の巫女。そもそも倭に連れて来るのは、そなただけの予定だったのだ。この世の者でない昂は結界が張られた屋敷を跨げなかったに過ぎない。だが迎えを……ああ、ちょうど来たようだな」
太秦が一歩脇に避けると、その後方には肩に昂を担ぐ白銀の髪色をした男が立っていた。
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