つかわしめ戦記ゆめ語り

悠日里

文字の大きさ
25 / 28
第一章 導かれて☽第五夜 高鳴り

再会と初めまして

『……巫女。私の可愛い巫女』

 声に気付いて睡蓮は寝かせていた瞼を開けた。
 辺りは霧が立ち込めていたが不思議と見通しは良かった。
 だから振り返ってすぐに気が付いた。睡蓮はそこに佇んでいた神々しい女性を見てはっとする。

『また逢えましたね巫女。私は天照大御神あまてらすおおみかみ。そうですね、巫女にも皆のように大御神と呼んでもらいましょうか。……巫女、我が倭へ来てくれて本当にありがとう』

 睡蓮は恐縮した。
 静かに首を横に振って、そしてふと訊ねた。自分は幼馴染みの昂や使わしめたちと一緒に八尋殿で眠っていたはずだと。

『巫女、ここはそなたの夢の中。私と陽の巫女は夢を介して繋がるのです』

 そういえば太秦が眠る前に話をしてくれていたと、睡蓮は思い出して納得する。
 それから睡蓮は必死に願い求めた。皆が大御神を待っていると。皆にも姿を見せて欲しいと。

『慌てないで巫女。私はただ皆と隠れん坊をして遊んでいるわけではないのです。私が再び目を覚ますには、まず倭の穢れを祓ってもらわないといけません。そのためには』

 睡蓮は頷き、固唾を呑んで待つ。
 大御神はそんな睡蓮に目を細めると、これまで通りゆっくりとした口調で言うのだった。

『巫女、十三の使わしめとの融合を果たすのです。まず向かうのは――』

 ***

「……ん、朝でしょうか?」

 翌日。やはり太陽は昇っていないようだが、窓から差し込む光ととりの鳴き声で睡蓮は目覚めた。
 睡蓮は外の景色を確認しようと身体を起こそうとしたが、異変に気付いてめる。睡蓮は熱を帯びたように頬を赤く染めて、瞳を潤ませながらその身をよじった。

「何かが……身体の上を這って……へ?」

「ひゃああ!」と睡蓮が悲鳴を上げると、バタバタと激しい駆け音がこちらへと一目散に向かってきた。
 その騒がしい足音が辿り着く前に、タンッと扉が素早く開く。

「どうした美月!?」

 扉を最初に開けたのは、一番近くで護衛をしていた狛だった。

「大丈夫か睡蓮! って、な!?」

 足音を立てていた張本人である昂がすぐに割って入って来たが、時が止まったように動けなくなった。
 それもそのはず、睡蓮の襟元から顔を出していた白蛇しろへびと目が合ったからだ。
 蛇に睨まれた蛙というよりかは単に面食らっていた様子の昂は、すでに取り押さえようとしていた狛よりも先に睡蓮を助けたかったのだろう。必死な形相で駆け出した。しかし――。

 ぽんっ☆ ぽんっ☆

 煙がもくもく。
 昨夜のような光景に、昂は顔を青ざめさせた。

「My princess!」

 狛の腕を払い退け、昂の気持ちをよそに、そう嬉しそうに叫びながら長身の美青年が睡蓮へと抱き付いたのだった。
感想 10

あなたにおすすめの小説

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

黒騎士団の娼婦

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

異世界転移って?とりあえず設定を教えて下さい

ゆみ
恋愛
凛花はトラックに轢かれた記憶も階段から落ちた記憶もない。それなのに気が付いたらよくある異世界に転がっていた。 取り敢えずは言葉も通じる様だし周りの人達に助けられながら自分の立ち位置を把握しようと試みるものの、凛花を拾ってくれたイケメン騎士はどう考えてもこの異世界での攻略対象者…。しかもヒロインは凛花よりも先に既にこの世界に転生しているようだった。ヒロインを中心に回っていたこのストーリーに凛花の出番はないはずなのにイケメン騎士と王女、王太子までもが次々に目の前に現れ、記憶とだんだん噛み合わなくなってくる展開に翻弄される凛花。この先の展開は一体どうなるの?

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?