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ふたつ深瀬のふつのかみ
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頬に何かが当たった。
また。
冷たい
……!また
重い目を開けると、石の天井が見えた。
指で地面を恐る恐るさわる。
乾いた土。
さっきまで泥道を登ってきて、
そうだ、泉に
身を起こすと、肩が痛んだ。
ゆっくり触ってみたが傷もなく腫れた様子もない。
「起きたか娘」
暗がりから声がした。
「誰!?」
「驚かすつもりはなかった。すまないが詳しくは言えねえ。俺はここの主の留守を預かる者だ。」
ここの主、
今いる洞窟の入り口に注連縄が見える。
神域の内側にいる。
「ここは神域なのですか?
申し訳ありません、私は下の村から参りました。ミヤと申します」
「あ、あー、名を名乗るでない、こら、ああ、もう。あのな、神に対して名を名乗ったら返せなくなるではないか。」
「そうなのですか?」
「神によって違うが、ここは私の力では及ばぬ契約があってな、」
「ここの神様はお留守なのですか。
そんな、私は雨を止ませてもらうために贄として来たのにどうすれば」
泣き出したミヤのところに飛びかかってきた。
ずいぶんと大きい男性だ。長い黒髪。
口を手で覆われる。
「本当に、それ以上、言うな。頼むから」
顔が、近づいた。
金色の瞳に瞳孔が縦。
人間ではない。
畏れで体が震えた。
涙がこぼれる。
「ああ、泣くな。人間はすぐ泣く。頼むから。な?ここは色々な境目だから人間が怖がると面白がって見に来る奴がいるかもしれない。
もちろん俺が追い払ってやるが」
周囲がぽうっと光った。
「あ」
「どうされたのですか」
「もう黙れ。喋りたくない」
「すみません」
離れようとした。この人も神様なんだ、私なんかが近づいてはいけないのかもしれない
「危ない、離れるな!」
また周囲がぽうっと光った
蛍のように。
神様?は頭を抱えてしゃがみこんでしまった。
「もういい。一旦出る。乗れ」
乗れ?
男性は背中にミヤを乗せて、注連縄のほうへ走った。
そっちは泉が……?
目をつむった途端に強い風を感じた。
目を開けると、空に上っていた。黒い竜に乗っていた。
山を見下ろし、雲より上に行くと月が見えた。
「晴れてる」
「雲の上だからな」
「ひっ、喋った」
「さっきの場所は、主だった神の契約が生きていてな。
俺もあんたも、あそこで言ったことは契約になってしまう。しかも名前まで」
「あ、すみません」
「知らなかったから仕方ない。しかし俺は知っていたのに」
「契約ってあの光ですか」
「そうだ。
『追い払ってやる』『離れるな』この二つだ。すまないがお前を村に返してやることはできなくなった」
ミヤは唇をかんだ。
村に戻ることなんて望んでいない。
村人からも望まれていない。
この黒い竜は親切だ。
「もしご迷惑でなければ一緒に居させてください。お役に立てるように頑張ります」
「……おう、俺は良いけどよう」
また。
冷たい
……!また
重い目を開けると、石の天井が見えた。
指で地面を恐る恐るさわる。
乾いた土。
さっきまで泥道を登ってきて、
そうだ、泉に
身を起こすと、肩が痛んだ。
ゆっくり触ってみたが傷もなく腫れた様子もない。
「起きたか娘」
暗がりから声がした。
「誰!?」
「驚かすつもりはなかった。すまないが詳しくは言えねえ。俺はここの主の留守を預かる者だ。」
ここの主、
今いる洞窟の入り口に注連縄が見える。
神域の内側にいる。
「ここは神域なのですか?
申し訳ありません、私は下の村から参りました。ミヤと申します」
「あ、あー、名を名乗るでない、こら、ああ、もう。あのな、神に対して名を名乗ったら返せなくなるではないか。」
「そうなのですか?」
「神によって違うが、ここは私の力では及ばぬ契約があってな、」
「ここの神様はお留守なのですか。
そんな、私は雨を止ませてもらうために贄として来たのにどうすれば」
泣き出したミヤのところに飛びかかってきた。
ずいぶんと大きい男性だ。長い黒髪。
口を手で覆われる。
「本当に、それ以上、言うな。頼むから」
顔が、近づいた。
金色の瞳に瞳孔が縦。
人間ではない。
畏れで体が震えた。
涙がこぼれる。
「ああ、泣くな。人間はすぐ泣く。頼むから。な?ここは色々な境目だから人間が怖がると面白がって見に来る奴がいるかもしれない。
もちろん俺が追い払ってやるが」
周囲がぽうっと光った。
「あ」
「どうされたのですか」
「もう黙れ。喋りたくない」
「すみません」
離れようとした。この人も神様なんだ、私なんかが近づいてはいけないのかもしれない
「危ない、離れるな!」
また周囲がぽうっと光った
蛍のように。
神様?は頭を抱えてしゃがみこんでしまった。
「もういい。一旦出る。乗れ」
乗れ?
男性は背中にミヤを乗せて、注連縄のほうへ走った。
そっちは泉が……?
目をつむった途端に強い風を感じた。
目を開けると、空に上っていた。黒い竜に乗っていた。
山を見下ろし、雲より上に行くと月が見えた。
「晴れてる」
「雲の上だからな」
「ひっ、喋った」
「さっきの場所は、主だった神の契約が生きていてな。
俺もあんたも、あそこで言ったことは契約になってしまう。しかも名前まで」
「あ、すみません」
「知らなかったから仕方ない。しかし俺は知っていたのに」
「契約ってあの光ですか」
「そうだ。
『追い払ってやる』『離れるな』この二つだ。すまないがお前を村に返してやることはできなくなった」
ミヤは唇をかんだ。
村に戻ることなんて望んでいない。
村人からも望まれていない。
この黒い竜は親切だ。
「もしご迷惑でなければ一緒に居させてください。お役に立てるように頑張ります」
「……おう、俺は良いけどよう」
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