虐めていた義妹に今さら好きだったなんて言えません

仙桜可律

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単刀直入に、簡潔に

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それ以降、リズの反応を見逃さないようにエリオットは見つめていた。

リズはリズで、何か気にさわることをしてしまったのかと萎縮している。

「お兄様、逆効果ですわ」
「そうか?少しでもリズの気持ちを理解したいのだが、目が合うとリズは下を向いてしまうからこっそり見るしかない」

「確かに女心を理解して欲しいと言いましたが、今のお兄様は監視か執着愛のようですわ」

「難しいものだな。」

リズを前にすると言葉が出てこない。
怯えている様子を見たら、なんでもしてやりたいと思う。
野生の小動物のようで可愛いけれど手を出したら逃げ出しそうだ。

朝食でもリズは俯いて少しだけ食べる。
エリオットもなるべく一緒に食べることにしている。

「リズリー、今日の予定は」

「父のお土産を探しにに銀細工の店に行くつもりです。あとは刺繍糸と、子供たちに絵の具をお土産にしようと思います。」

「子供たち?」

「領民の子供たちに簡単な読み書きを教えたり、少しでも働き手になれるように手芸品などを農閑期に作っています。」

「そうか、男爵領が懐かしいか?」

「はい!王都の話をきっとみんな待っていると思います。とくに女の子は……」

リズが口をつぐんで赤くなった。
「どうした?」

「すみません、エリオット様には関係ない話をしてしまいました」

「いや、かまわない。

仕事に行ってくる」

さっさと食事を終えて自室に戻りエリオットはしゃがみこんだ。

自分でも驚くほどショックを受けていた。

メイドたちは食堂のリズとエリオットをどちらも心配していた。

二人ともため息をついていたから。
「またやっちゃったわ」
エリオット様はお忙しいのに子供っぽい田舎っぽいことでお耳を汚してしまった。
リズも落ち込んでいたし
エリオットも。
「またやってしまった」

関係ないと言われて、返す言葉がなかった。
男爵領に帰らずにこのまま王都に、いやこの屋敷にいて
結婚して欲しい。


「似た者同士なのかもしれませんね。遠慮しがちで。
でもエリオット様は仕事では強気なんですけどねえ」

従者が笑いながら言った。

エリオットが出勤するときにリズが見送りにきた。

「エリオット様、行ってらっしゃいませ」

勇気を出して、頬を染めて言うリズに心が晴れた。小さいことで落ち込んでいた自分を情けないと思った。
『ありがとう、行ってくる』

と言うつもりで口を開いたのに

「結婚しよう。ずっとここにいて」

そのまま、外に出ていってしまった。

「え?」
エリオット様、今なんて
使用人一同も止まった

「お兄様!?」

フィオナもドアまで走った。

リズは立ったまま

石のように固まっていた。

「いま、確かに……」

それでも本人が馬車に乗って行ってしまった。

と思ったら、馬車が戻ってきた。
エリオットが転がるように走って戻ってきた。

「私は、今なんて言った!?」

使用人たちは思った。

あ、うちの若様思ってることが漏れちゃったんだな、
恋をしたらこうなるんだ

「その、さっき、け」

「け」

リズは湯気が出そうだ。

「結構なお天気って仰いました!」

リズが悲鳴のように叫んだ

(嘘だ)

でも本人がそう言ってるのに突っ込めない

「そうか、じゃあよかった。行ってくる」

エリオットがまた背を向けて出ようとした。
「……はい、いって、らっしゃいませ」

エリオットが崩れ落ちた。

「どうされました!どこか具合が!?」

「大丈夫だ、問題ない」


なんとか馬車に乗ったエリオットは真っ赤だった。従者に呆れられている。

「リズの『行ってらっしゃい』に心臓が耐えられない。結婚できないかもしれない。体がもたない。可愛すぎる」

「エリオット様って恋愛で知能が低下するタイプだったんですね、意外です。」



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