8 / 15
苦々しい妹
しおりを挟む
「ちょっと!お兄様!!」
着替えようとしたら妹が駆け込んできた。
「落ち着け。帰ってきたばかりだぞ。」
「お兄様こそ、うまくエスコートできたの?」
「……まあ、感触は悪くないんじゃないだろうか」
「根拠をお聞きしても?」
「会話が少なくても以心伝心というか家族のような繋がりを感じる。リズは恥ずかしそうに下を向いていることが多かったが、それは多少なりとも意識してくれたということではないだろうか。
兄と思っていたら堂々とするだろう。お前みたいに」
ダメだ、仕事には完璧なのになんでこんなに見通しが甘いんだろう
「残念ながら、お兄さま。リズに伝わってませんわ。兄と妹として出掛けてると世間体が悪いとおっしゃったのは本当ですの?」
「世間体が悪いとは言ってない。ただ、噂になるかもしれないと言った。」
「似たようなものですわ、だからリズ姉様はもう出掛けるのを止めようと思っているわ」
「なぜそうなる!」
「こっちが聞きたいですわ!」
「兄と妹として一緒に出掛けるなんて無理があるだろう。噂になるのなら、きちんと、婚約してだな、そういう関係になったほうがお互いに良いんじゃないかと言ったんだが」
「ちゃんと告白したのですか」
「婚約して出掛けようと言ったんだから伝わるだろう」
「残念ながら!少しも伝わってません。」
「なぜだ……!」
「リズ姉様の自己評価が低いのも一因かもしれませんわね。今までの恋人に口説かれたりしなかったのかしら」
ガタガタッ
机に当たってよろけた。
あら、珍しい姿を見てしまったわ。
「男爵領ではリズ姉様は皆さんに慕われていました。貴族の回りくどい言い回しではなく、素朴な素直な男性のほうが心に響くのかもしれませんわね。お姉さまも純粋な方なので」
「ぐっ」
「無駄に頭脳をフル回転させても、心が得られるとは限りませんのよ。
私も、好みじゃなくても真剣に思ってくださる方には誠意を持った対応をしますよ。心を打たれますもの」
「お前ですらそうなのか……。だから自信家で傲慢に見えるけど意外と断った相手に恨まれないんだな」
「失礼ね」
「リズが子供の頃に俺が虐めたから、自己評価が低いのかもしれない。責任を取って一生大切にする」
「いきなり重いのもダメです」
「どうすればいいんだ!リズが他の奴と結婚するなんて嫌だ」
「それをそのまま伝えればよろしいのよ。馬鹿なんですか?」
「今までこんなことはなかったからな」
相手の気を引きたいなど、リズだけだ。昔も今も。
着替えようとしたら妹が駆け込んできた。
「落ち着け。帰ってきたばかりだぞ。」
「お兄様こそ、うまくエスコートできたの?」
「……まあ、感触は悪くないんじゃないだろうか」
「根拠をお聞きしても?」
「会話が少なくても以心伝心というか家族のような繋がりを感じる。リズは恥ずかしそうに下を向いていることが多かったが、それは多少なりとも意識してくれたということではないだろうか。
兄と思っていたら堂々とするだろう。お前みたいに」
ダメだ、仕事には完璧なのになんでこんなに見通しが甘いんだろう
「残念ながら、お兄さま。リズに伝わってませんわ。兄と妹として出掛けてると世間体が悪いとおっしゃったのは本当ですの?」
「世間体が悪いとは言ってない。ただ、噂になるかもしれないと言った。」
「似たようなものですわ、だからリズ姉様はもう出掛けるのを止めようと思っているわ」
「なぜそうなる!」
「こっちが聞きたいですわ!」
「兄と妹として一緒に出掛けるなんて無理があるだろう。噂になるのなら、きちんと、婚約してだな、そういう関係になったほうがお互いに良いんじゃないかと言ったんだが」
「ちゃんと告白したのですか」
「婚約して出掛けようと言ったんだから伝わるだろう」
「残念ながら!少しも伝わってません。」
「なぜだ……!」
「リズ姉様の自己評価が低いのも一因かもしれませんわね。今までの恋人に口説かれたりしなかったのかしら」
ガタガタッ
机に当たってよろけた。
あら、珍しい姿を見てしまったわ。
「男爵領ではリズ姉様は皆さんに慕われていました。貴族の回りくどい言い回しではなく、素朴な素直な男性のほうが心に響くのかもしれませんわね。お姉さまも純粋な方なので」
「ぐっ」
「無駄に頭脳をフル回転させても、心が得られるとは限りませんのよ。
私も、好みじゃなくても真剣に思ってくださる方には誠意を持った対応をしますよ。心を打たれますもの」
「お前ですらそうなのか……。だから自信家で傲慢に見えるけど意外と断った相手に恨まれないんだな」
「失礼ね」
「リズが子供の頃に俺が虐めたから、自己評価が低いのかもしれない。責任を取って一生大切にする」
「いきなり重いのもダメです」
「どうすればいいんだ!リズが他の奴と結婚するなんて嫌だ」
「それをそのまま伝えればよろしいのよ。馬鹿なんですか?」
「今までこんなことはなかったからな」
相手の気を引きたいなど、リズだけだ。昔も今も。
0
あなたにおすすめの小説
みんながまるくおさまった
しゃーりん
恋愛
カレンは侯爵家の次女でもうすぐ婚約が結ばれるはずだった。
婚約者となるネイドを姉ナタリーに会わせなければ。
姉は侯爵家の跡継ぎで婚約者のアーサーもいる。
それなのに、姉はネイドに一目惚れをしてしまった。そしてネイドも。
もう好きにして。投げやりな気持ちで父が正しい判断をしてくれるのを期待した。
カレン、ナタリー、アーサー、ネイドがみんな満足する結果となったお話です。
失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます
天宮有
恋愛
水を聖水に変える魔法道具を、お父様は人々の為に作ろうとしていた。
それには水魔法に長けた私達姉妹の協力が必要なのに、無理だと考えた姉エイダは失踪してしまう。
私サフィラはお父様の夢が叶って欲しいと力になって、魔法道具は完成した。
それから数年後――お父様は亡くなり、私がウォルク家の領主に決まる。
家の繁栄を知ったエイダが婚約者を連れて戻り、家を乗っ取ろうとしていた。
お父様はこうなることを予想し、生前に手続きを済ませている。
私は全てを持ち出すことができて、家を出ることにしていた。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました
雨宮羽那
恋愛
結婚して5年。リディアは悩んでいた。
夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。
ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。
どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜
私は『選んだ』
ルーシャオ
恋愛
フィオレ侯爵家次女セラフィーヌは、いつも姉マルグレーテに『選ばさせられていた』。好きなお菓子も、ペットの犬も、ドレスもアクセサリも先に選ぶよう仕向けられ、そして当然のように姉に取られる。姉はそれを「先にいいものを選んで私に持ってきてくれている」と理解し、フィオレ侯爵も咎めることはない。
『選ばされて』姉に譲るセラフィーヌは、結婚相手までも同じように取られてしまう。姉はバルフォリア公爵家へ嫁ぐのに、セラフィーヌは貴族ですらない資産家のクレイトン卿の元へ嫁がされることに。
セラフィーヌはすっかり諦め、クレイトン卿が継承するという子爵領へ先に向かうよう家を追い出されるが、辿り着いた子爵領はすっかり自由で豊かな土地で——?
【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる