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甘くないデート
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気まずい。
馬車のなかでリズと向かい合っている。
「あの、どこへ向かっているのでしょうか」
「……植物園だ」
「植物園ですか」
「王都に来たら行くつもりだったと聞いた」
「それは、行けたらいいなと思っていましたが」
フィオナとリズは手紙のやり取りをしていたらしい。
フィオナは一度ダッフリー領に一ヶ月ほど滞在していたらしい。
学園のときに他の令嬢と少し揉めて、暴飲暴食をした結果……心身共に荒れていたらしい。
豊かな自然に囲まれたダッフリー領で過ごし、新鮮な農作物を食べたら肌荒れや胃腸の荒れが治ったらしい。
リズにハーブティーを教えてもらったり、野菜畑にも行ったらしい。
『お兄様、植物のことを語るリズ姉様が素敵なので!是非話題にしてくださいね』
フィオナにそう言われた。
植物園に着いたが、思ったより広い。もう午後なので閉園までに全部は回れなさそうだ。
「リズは見たいものはあるか?次はもっと早くに来よう」
「初めてなので、どこが見たいというより来れただけで感激です」
赤くなって頬を押さえて目を潤ませている。
「そうか……では、並木と噴水があるようなのでそこまで歩こうか。珍しい植物のある温室は時間をかけて今度にしよう」
手を差し出すと、おずおずと手を置いた。
「あの、エドガー様。私、絶対に今日のことを忘れません。」
「……私もだ」
帰ってきたリズがぼうっとしているので、待ち構えていたフィオナは客室でさっそく聞いた。
侍女たちが
「お嬢様、まずはリズ様もお疲れなのでお湯を用意しますので。お化粧を落としてからお茶を飲みながらお話しください!」
「待てないわ!
私が洗ってあげる!」
「そんなことさせられません」
「ダッフリー領では、一緒に温泉に入ったじゃない」
「あれは特別です!」
「じゃあ、一つだけ教えて!お兄様は上手くエスコートしてた?」
「それはもう、素敵でしたわ……帰りの馬車ではドキドキしすぎて気絶しそうだったわ」
「そうなの?じゃあ結婚の話なんかは、チラッとでも出たのかしら」
「そうですね、そろそろエリオット様も私も適齢期だから兄や妹という目で世間は見てくれないだろうから、一緒に出かけるのは良くないだろうと話しました」
ん?
フィオナは首を傾げる。
「それで、今日は最後の思い出をくださったのですね。フィオナ様もリュカ様もありがとうございます。」
んん?
「ちょっと、先にお兄様から話を聞く必要がありそうね!
リズ姉様、話は明日ゆっくり!」
バタバタ走って一階に下りる足音に侍女が額に手を当てる。
「社交界では淑女として有名で高嶺の花と呼ばれているのに。フィオナ様はリズ様のことになると、昔に戻ってしまわれますね」
「ふふ、私にとっては可愛らしい妹のような。本当は立場が違うのに、私がフィオナ様を可愛らしいと思うからわざと昔のように姉様と呼んでくれるのね。お優しい方ね。」
(それは……ほんとうにお姉様になって欲しいんでしょうねえ)
侍女たちも、心で呟いた。
馬車のなかでリズと向かい合っている。
「あの、どこへ向かっているのでしょうか」
「……植物園だ」
「植物園ですか」
「王都に来たら行くつもりだったと聞いた」
「それは、行けたらいいなと思っていましたが」
フィオナとリズは手紙のやり取りをしていたらしい。
フィオナは一度ダッフリー領に一ヶ月ほど滞在していたらしい。
学園のときに他の令嬢と少し揉めて、暴飲暴食をした結果……心身共に荒れていたらしい。
豊かな自然に囲まれたダッフリー領で過ごし、新鮮な農作物を食べたら肌荒れや胃腸の荒れが治ったらしい。
リズにハーブティーを教えてもらったり、野菜畑にも行ったらしい。
『お兄様、植物のことを語るリズ姉様が素敵なので!是非話題にしてくださいね』
フィオナにそう言われた。
植物園に着いたが、思ったより広い。もう午後なので閉園までに全部は回れなさそうだ。
「リズは見たいものはあるか?次はもっと早くに来よう」
「初めてなので、どこが見たいというより来れただけで感激です」
赤くなって頬を押さえて目を潤ませている。
「そうか……では、並木と噴水があるようなのでそこまで歩こうか。珍しい植物のある温室は時間をかけて今度にしよう」
手を差し出すと、おずおずと手を置いた。
「あの、エドガー様。私、絶対に今日のことを忘れません。」
「……私もだ」
帰ってきたリズがぼうっとしているので、待ち構えていたフィオナは客室でさっそく聞いた。
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「お嬢様、まずはリズ様もお疲れなのでお湯を用意しますので。お化粧を落としてからお茶を飲みながらお話しください!」
「待てないわ!
私が洗ってあげる!」
「そんなことさせられません」
「ダッフリー領では、一緒に温泉に入ったじゃない」
「あれは特別です!」
「じゃあ、一つだけ教えて!お兄様は上手くエスコートしてた?」
「それはもう、素敵でしたわ……帰りの馬車ではドキドキしすぎて気絶しそうだったわ」
「そうなの?じゃあ結婚の話なんかは、チラッとでも出たのかしら」
「そうですね、そろそろエリオット様も私も適齢期だから兄や妹という目で世間は見てくれないだろうから、一緒に出かけるのは良くないだろうと話しました」
ん?
フィオナは首を傾げる。
「それで、今日は最後の思い出をくださったのですね。フィオナ様もリュカ様もありがとうございます。」
んん?
「ちょっと、先にお兄様から話を聞く必要がありそうね!
リズ姉様、話は明日ゆっくり!」
バタバタ走って一階に下りる足音に侍女が額に手を当てる。
「社交界では淑女として有名で高嶺の花と呼ばれているのに。フィオナ様はリズ様のことになると、昔に戻ってしまわれますね」
「ふふ、私にとっては可愛らしい妹のような。本当は立場が違うのに、私がフィオナ様を可愛らしいと思うからわざと昔のように姉様と呼んでくれるのね。お優しい方ね。」
(それは……ほんとうにお姉様になって欲しいんでしょうねえ)
侍女たちも、心で呟いた。
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