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悩んだ帰路
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エリオットはアレンに言われたことを考えながら帰路についた。
途中で花を買う
「とりあえず花を買え。花をもらって怒る女はいない。求婚なら花!常識!」
アレンの顔がうっとおしかったけど、買った。
「あとは会うなり、
『会いたかった』ってささやいて、意味深に黙る。相手が頬を赤らめたら脈があるから、抱き締めて良し!」
アレンの鼻息がうるさかったけど、そういうものかと思った。
「そのあとはどうす、ればいい」
「そのあと?そんなもん適当にキスして次にいけばいいだろ」
アレンはいつも口説くときに同時に手もでるので相手が正気に戻る隙を与えないように次々と言葉を囁いて体を触る。
「甘いことをいえば体のガードが弛むし体が弛んだら甘い言葉が、さらに心を溶かすし、心が溶けたら体も溶けるんだよ、ドロドロに」
「何を言っているのかわからないが、キスは求婚のあとだろう」
エリオットとアレン、二人の間には埋められない溝があるようだ。
恋愛観においての常識が真逆だ。
馬車の中でもアレンの言ったことは不埒だと軽蔑したが、アレンは不特定多数に愛を囁くから問題なのであって、一人を口説くためにはそれくらいするほうが効果的なのかもしれない。
確かにリズはいつも緊張している。自然に笑いかけてくれて自分にだけ理性をゆるめて、我儘を言ってくれたらどんなに愛らしいだろう。
『エリオットさま、もっと……』
一度も見たことがないというのに、とても妄想のなかのリズはリアルだった。
体に熱を持ちそうで、馬車の壁に頭をぶつけた。
邸に馬車がついてもしばらくエリオットは降りなかった。緊張しているらしい。呼吸を整えてから降りる。
握りしめた花が熱で萎れてしまいそうだ。
エリオットの帰宅前にリズはそわそわして窓を何度もみていた。
使用人たちはほぼ、リズのことを若奥様として扱っている。めったに帰ってこなかったエリオットがリズに会うために早く帰ってきていたから。
周りは察しているのに当人同士だけぎくしゃくしているから、もどかしい気持ちで見守っていた。
リズを出迎えに誘った侍女は、それとなくエリオットの瞳の色のネックレスをすすめた。
少し重みのあるデザインは、リズの華奢な首のラインを引き立てる。
普段着のドレス姿だけれど髪型を凝ったものにして後れ毛で可憐さを際立たせた。
これは触れたくなること間違いなし。
他の使用人からもアイコンタクトで誉められた。
良い仕事したわね!と。
エリオットが扉を開けたとき、すぐにリズに目がいった。毎日、リズを探している。
小柄なリズが使用人より遠くにいるのにまず目に入る。
近づいていくと、
「おかえりなさいませ」
と言ってくれた。
声!
それだけでエリオットは仕事用の脳が停止して甘い靄がかかったようになってしまう。
「ただいま」
発光しているかのようにリズが可愛い。
花を差し出すと、目をパチパチとしてから、笑った。
「ありがとうございます……?」
「会いたかった」
アレンの言葉を鵜呑みにしたわけではなく、本当に気持ちがこぼれ落ちた。
リズは、頬どころか顔全体、首、肩にかけてすべてが桃色に染まっていく。
ぷるぷる震えている。
「リズ、大丈夫か」
顔を覗き込むと、目が潤んでいるし上気している。
肩を抱いたら
「ひゃっ」
と声をあげた
「リズ、もっと俺に慣れて」
「む、無理です。そんなおそれ多いこと」
アレンの言葉に賛同はしたくないが、リズの心は距離をとろうとしている。
「結婚してくれないか」
途中で花を買う
「とりあえず花を買え。花をもらって怒る女はいない。求婚なら花!常識!」
アレンの顔がうっとおしかったけど、買った。
「あとは会うなり、
『会いたかった』ってささやいて、意味深に黙る。相手が頬を赤らめたら脈があるから、抱き締めて良し!」
アレンの鼻息がうるさかったけど、そういうものかと思った。
「そのあとはどうす、ればいい」
「そのあと?そんなもん適当にキスして次にいけばいいだろ」
アレンはいつも口説くときに同時に手もでるので相手が正気に戻る隙を与えないように次々と言葉を囁いて体を触る。
「甘いことをいえば体のガードが弛むし体が弛んだら甘い言葉が、さらに心を溶かすし、心が溶けたら体も溶けるんだよ、ドロドロに」
「何を言っているのかわからないが、キスは求婚のあとだろう」
エリオットとアレン、二人の間には埋められない溝があるようだ。
恋愛観においての常識が真逆だ。
馬車の中でもアレンの言ったことは不埒だと軽蔑したが、アレンは不特定多数に愛を囁くから問題なのであって、一人を口説くためにはそれくらいするほうが効果的なのかもしれない。
確かにリズはいつも緊張している。自然に笑いかけてくれて自分にだけ理性をゆるめて、我儘を言ってくれたらどんなに愛らしいだろう。
『エリオットさま、もっと……』
一度も見たことがないというのに、とても妄想のなかのリズはリアルだった。
体に熱を持ちそうで、馬車の壁に頭をぶつけた。
邸に馬車がついてもしばらくエリオットは降りなかった。緊張しているらしい。呼吸を整えてから降りる。
握りしめた花が熱で萎れてしまいそうだ。
エリオットの帰宅前にリズはそわそわして窓を何度もみていた。
使用人たちはほぼ、リズのことを若奥様として扱っている。めったに帰ってこなかったエリオットがリズに会うために早く帰ってきていたから。
周りは察しているのに当人同士だけぎくしゃくしているから、もどかしい気持ちで見守っていた。
リズを出迎えに誘った侍女は、それとなくエリオットの瞳の色のネックレスをすすめた。
少し重みのあるデザインは、リズの華奢な首のラインを引き立てる。
普段着のドレス姿だけれど髪型を凝ったものにして後れ毛で可憐さを際立たせた。
これは触れたくなること間違いなし。
他の使用人からもアイコンタクトで誉められた。
良い仕事したわね!と。
エリオットが扉を開けたとき、すぐにリズに目がいった。毎日、リズを探している。
小柄なリズが使用人より遠くにいるのにまず目に入る。
近づいていくと、
「おかえりなさいませ」
と言ってくれた。
声!
それだけでエリオットは仕事用の脳が停止して甘い靄がかかったようになってしまう。
「ただいま」
発光しているかのようにリズが可愛い。
花を差し出すと、目をパチパチとしてから、笑った。
「ありがとうございます……?」
「会いたかった」
アレンの言葉を鵜呑みにしたわけではなく、本当に気持ちがこぼれ落ちた。
リズは、頬どころか顔全体、首、肩にかけてすべてが桃色に染まっていく。
ぷるぷる震えている。
「リズ、大丈夫か」
顔を覗き込むと、目が潤んでいるし上気している。
肩を抱いたら
「ひゃっ」
と声をあげた
「リズ、もっと俺に慣れて」
「む、無理です。そんなおそれ多いこと」
アレンの言葉に賛同はしたくないが、リズの心は距離をとろうとしている。
「結婚してくれないか」
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