【完結】私の可愛い騎士さま(付き合ってます)

仙冬可律

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「ヒュー、ニヤニヤしすぎ」
酒場にて。カイはグラスを空ける。
今日は礼になんでも奢るとヒューゴに言われて来てみれば惚気を聞くハメになった。

先日、ヒューゴのことを好きだった貴族令嬢が姿を消して平民になったらしい。探し回って落ち込んでいたところを見かねて助言した。無事に二人は両思いになり、めでたしめでたし。

あとは思う存分愛を囁き合えばいいじゃないか。
こんな酒場で男相手に惚気るんじゃなくて。
というか、こいつなかなか見た目に反して女に慣れてないというか

「マリアが小さくて壊れそうでどうしたら」
「がっついて怖がられたらどうしよう」
「また逃げられたらどうしよう耐えられない」

「顔見るだけで、かわいい、好き以外の言葉がなくなる」

「オレ、剣ばっかりで手もタコだらけでゴツいし嫌われたら」
 「オレ、見た目怖いよなあ」
乙女か!
両手で顔を覆ってメソメソと酒を飲んでいる。
ヘタレか!

まだ二人で出掛けていないし手も握ってないらしい。
「だってあいつ貴族令嬢だったんだろ?何も知らないし男なんて近づけないように育てられてきたんだろ?それをいきなりオレが、その、全部、うわあ、ヤバイなこれ」

ヤバいのはお前だ。

「あんまり夢見ないほうがいいと思うよ」

どちらかといえばヒューゴを『憧れの騎士様』と神聖視してるマリア嬢にいつか言うかもしれないと思っていた台詞だった。
まさか恋を拗らせた友達に言うことになるとは思わなかった。
「本当にオレでいいのかな」

「知るか」

アホらしい。ボトルを頼んだ。
「だいたい、騎士団にはヒューより見た目の良い奴なんか山ほどいるし、素早さなら俺の方が勝っている。でもマリア嬢が見ていたのはお前だし、そこからは実際のお付き合いの過程で好かれたり嫌われたり、そりゃ変化もあるだろ。でも見てたときより距離感は近くなっているんだからどうにかしたいならどうにかしろよ」

酒を入れないとやってられない。

巡回のときにマリア嬢の働くパン屋が近くなるにつれて見るからに挙動不審になっていた。

それを、可愛いといわれているのを本人は気づいていない。
今まで怖いと言われていたヒューゴが、マリアに小さく手を振ったのを他の人も見ていて、街の人や若い女性が
二人のぎこちない雰囲気を「可愛い」認定しているのだ。

街が平和ならまあそれでいいか。








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