【完結】私の可愛い騎士さま(付き合ってます)

仙冬可律

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騎士団には平民出身の者もいるし貴族の次男や三男もいる。
自分の出世は自分次第という、道を切り開くしかない者が多い。貴族の後継者教育も大変だけどこっちもそれなりに大変だ。まあ一緒に働いていれば貴族も平民もお互いの事情もわかってくるので、単純に対立する構図になるわけではない。
ただ。

彼女のいる者といない者は、わかりやすい分裂をしている。
たくさんの令嬢が見学に来る人気の騎士も彼女がいない。
「いいよな、ヒューゴは」

金髪で一番顔がいい奴も更衣室でブツブツと言っている。

「お前、あんなに差し入れもらってて」

「そんなの、誰か一人に手を出せるわけないだろ?理想の王子様でいないと。その点、ヒューゴは一人だけ、見てくれて。その子と付き合えるなんていいじゃん。貴族令嬢なんて個人的にどうこうなるわけにいかないし」

ヒューゴは羨ましがられていた。

「でも、まだデートもしてないらしいよ」

「うわー、楽しい頃だな。」

「どう誘っていいかわからない。」

なぜか落ち込んでいるヒューゴ。
「実家からたまには顔を出せと手紙が来たが非番の日はマリアと過ごしたい。でも女の子と並んで違和感のない服がない。服を買いに実家に帰らないといけない。でも帰ったら色々うるさい。今まで何やってたんだオレ」

「今までは特定の女の子と遊ばず男同士でつるんだり娼館に行ったり」

「そんなこと知られたくない!絶対言うなよ!」

「言わないよ。接点ないし。」

カイが心底嫌そうに言う。

ヒューゴは非番の日に実家に帰った。

「あら!母さん!ヒューが帰ってきたわ!」

姉一号が大声を出すと店内の客がざわついた。

「せっかく裏口から入ろうとしたのに」

ヒューゴの実家は商会をしている。
姉と兄嫁の二人が洋服や小物を担当している。

「あのな、姉さん義姉さん。お袋に内緒にして欲しいんだが頼みがある」

「内緒?わかった!プロポーズするのね!任せて!」

義姉が立ち上がろうとする。
「違う」

「あんたまさか、手切れ金とか美人局とか……!」

実姉がよろよろと立ち上がる

「違う!」

なにこの両極端。

「良いなと思ってる子と出掛けるので服を選んでください。お願いします。金はあるけどセンスがありません」

正直に言って頭を下げた。

「まあ!」
「まあまあ!」

「聞いた?ヒューがやっと服に興味を持ってくれたわ」

「どうしましょ。やっぱり黒よねえ。
でも普段から黒ばっかり着てるから違う色がいいわ。これは?グレーのコートよ」

姉たちは楽しそうだ。

「で、相手はどんな子?」

「どんなって……パン屋で働いてる。可愛い……」

「いつ出掛けるの?どこに行くの?」

「まだ誘ってない」

きゃー!っと姉たちが叫んだ。
ヒューゴが帰ったあと、姉たちは早速乾杯をした。

「あのヒューゴが、顔を赤くして女の子のことを話すなんて!十年以上反抗期で、このままかと思ってたのに」

「やっと服に興味を持ってくれたわね。ふふ、楽しみ」

ーーーーーー
その頃パン屋のマリアは。

お客さんから
「彼にもよろしくね」

などと声をかけられる度に赤くなってふにゃふにゃになっていた。


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