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第11話 マリアの本心
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「まあ、お姉様!」
ロバーツ卿の正体について思い当たった瞬間、前方からメアリーと……ロラン様がこちらに向かって歩いて来た。
「ロラン様という婚約者がありながら、他の殿方と親しくするなんて、どういうことなのかしら?」
「私はただここで休憩していただけで、ロバーツ卿とは今初めてお会いしたばかりよ」
「まあ、本当にそうなのかしら?」
メアリーは何故か人聞の悪いことを言ってくるけれど、私には全くやましいところなど無いので取り見出す必要などないのだ。
それなのに、何故か先程から冷や汗が止まらない。
メアリーが漂わせる柑橘系の強い匂いが、どんどん私を蝕ばんでいくように感じる。
居所が悪くなり顔を伏せようとしたけれど、ロラン様の強い瞳が視界に入って、思わず動くことができなかった。
ロラン様も私がやましいことをしていると誤解したのだろうか。
そうだとしたら……「婚約をはき」されてしまうかもしれない……。
婚約はき……? 婚約はきって……もしかして……「乗り換えること」……なのかしら……。
ロラン様はメアリーに乗り換えてしまうのだろうか。
まさか、このパーティーはそれを公式に発表するために設けられたのでは……。
けれど、私はそれで良いの……? 侯爵家に嫁入りするために、この三年間絶え間なく努力して来たのに……。
……いいえ、そうじゃないわ。私はロラン様に対して何の未練もないの? 何の感情も持ち合わせていないのかしら……。
以前にサシェをいただいた時、私の好みを知ってくれていたことがとても嬉しかった。
食事の際の、彼の見識の広い話が好きだった。私の日常の話もよく耳を傾けてくれて……。
それに先日会った時に謂れのない追求を受けたけれど、すぐに自分の非を認め謝罪をしてくださったのだ。
思いを巡らせていると、ふと心地の良い香りが漂ったので思わず顔を上げた。
「ロラン様……」
ロラン様は責めるような視線を向けているかと思っていたけれど、予想に反してとても力強い瞳で真っ直ぐ私を見て小さく頷いた。
「私は……婚約をはき、したくはありません」
「お姉様、この期に及んで何を言っているの?」
メアリーは眉を顰めて私にハンカチを差し出した。思わず受け取りそうになるけれど、ロラン様が代わりにそれを受け取ったので私が受け取ることはなかった。
「メアリー嬢。随分香りの強いハンカチのようだが、……記憶操作の香水はあまり多用してはならない。過度な摂取は毒となり害を及ぼすこともあるらしい」
メアリーの顔色が一気に青ざめた。それからロラン様が話しかけても、黙して顔を背けるばかりだ。
それからロバーツ卿にはホールに残るよう一言伝えてから、私たち三人は人気の無い中庭へと移動したのだった。
ロバーツ卿の正体について思い当たった瞬間、前方からメアリーと……ロラン様がこちらに向かって歩いて来た。
「ロラン様という婚約者がありながら、他の殿方と親しくするなんて、どういうことなのかしら?」
「私はただここで休憩していただけで、ロバーツ卿とは今初めてお会いしたばかりよ」
「まあ、本当にそうなのかしら?」
メアリーは何故か人聞の悪いことを言ってくるけれど、私には全くやましいところなど無いので取り見出す必要などないのだ。
それなのに、何故か先程から冷や汗が止まらない。
メアリーが漂わせる柑橘系の強い匂いが、どんどん私を蝕ばんでいくように感じる。
居所が悪くなり顔を伏せようとしたけれど、ロラン様の強い瞳が視界に入って、思わず動くことができなかった。
ロラン様も私がやましいことをしていると誤解したのだろうか。
そうだとしたら……「婚約をはき」されてしまうかもしれない……。
婚約はき……? 婚約はきって……もしかして……「乗り換えること」……なのかしら……。
ロラン様はメアリーに乗り換えてしまうのだろうか。
まさか、このパーティーはそれを公式に発表するために設けられたのでは……。
けれど、私はそれで良いの……? 侯爵家に嫁入りするために、この三年間絶え間なく努力して来たのに……。
……いいえ、そうじゃないわ。私はロラン様に対して何の未練もないの? 何の感情も持ち合わせていないのかしら……。
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それに先日会った時に謂れのない追求を受けたけれど、すぐに自分の非を認め謝罪をしてくださったのだ。
思いを巡らせていると、ふと心地の良い香りが漂ったので思わず顔を上げた。
「ロラン様……」
ロラン様は責めるような視線を向けているかと思っていたけれど、予想に反してとても力強い瞳で真っ直ぐ私を見て小さく頷いた。
「私は……婚約をはき、したくはありません」
「お姉様、この期に及んで何を言っているの?」
メアリーは眉を顰めて私にハンカチを差し出した。思わず受け取りそうになるけれど、ロラン様が代わりにそれを受け取ったので私が受け取ることはなかった。
「メアリー嬢。随分香りの強いハンカチのようだが、……記憶操作の香水はあまり多用してはならない。過度な摂取は毒となり害を及ぼすこともあるらしい」
メアリーの顔色が一気に青ざめた。それからロラン様が話しかけても、黙して顔を背けるばかりだ。
それからロバーツ卿にはホールに残るよう一言伝えてから、私たち三人は人気の無い中庭へと移動したのだった。
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