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最終章 悪役令嬢は・・・
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兵士はグローシアの首に剣の刃を当てがった。
「ライナスへの治癒魔術を止めろ。でないとこいつの首が落ちる」
「なっ!?」
キイキイした声で兵士はくっくと笑う。リリーの顔が青ざめた。
「愚かな聖女よ、その男はこの世界に存在してはいけないものだ。そいつは自分の為に沢山の人の身体を奪ってきた。お前だって知っているだろう?」
グローシアの首に剣の刃が少し食い込む。
「うう・・・」
グローシアが恐怖に顔を歪めた。イーサンの治癒を行っているリリーの腕が震えている。
私はトラヴィスを押しのけて前に進み出た。
「いい加減にして!どうしてこんな事をするの!?」
そう聞いた私を、兵士は憎々し気に睨みつけた。
「・・・ヘンルーカの生まれ変わりか。お前のせいで死んでいった仲間もいた」
(え?)
「許すものか。ライナス、エンリル、そしてアンファエルン皇国も闇の組織も。その全てが憎い・・・消し去ってやりたい・・・」
「待って!じゃあ、どうして貴方は私達に顔を隠してるの!?声まで変えて・・・。まだ戻りたいって思ってるんじゃないの?」
私の問いに兵士が黙った。
「貴方はイーサンやエンリルが言ってたリーツだよね?闇の組織の一員で、皇国で沢山の人達を精神魔術で支配しようとした」
兵士―――リーツは何も答えない。
「私を眠らせて、ジョーやケイシー先輩を精神魔術で操ったのも貴方。そしてエンリルをエメラインの身体を使って蘇らせて、さらに私・・・アリアナの身体に移したのもそう。エンリルを利用してイーサンを倒すために」
リーツは薄く笑った。
「口のよく回る奴だ。だったらどうだと言うんだ」
「闇の組織の人間を殺害したのも貴方でしょ。エンリルやイーサンを倒すのに邪魔だったの?仲間だったんじゃないの?」
「あんな奴ら仲間だとは思って無いっ。奴らは僕達を飼ってただけだ!」
突然激高し、吐き捨てる様にそう言った。
「そんな事はどうでも良い!聖女よ、早くライナスから離れろ!こいつがどうなっても良いのか!」
グローシアの首から血が流れ始めた。私は思わず叫んだ。
「やめて!先生!」
リーツの腕がビクッと止まった。私はもう一歩進み出た。
「貴方は・・・マリオット先生ですよね?」
「・・・」
「先生、私への精神魔術はもう全部解けてるんです。あの日、私の部屋を訪ねて来たのはマリオット先生、貴方だった」
「・・・何を言っている。僕はそんな奴では・・・」
「確かにあの時、貴方は仮面を付けていた。それに『マリオット先生が訪ねてきました』と言ったメイドのマリアは、先生の顔を知りません」
「だったら・・・」
「だけど私は眠らされる直前に、貴方の仮面をはぎ取りましたよね?私、ちゃんと顔を見てたんですよ。一瞬でしたがちゃんと覚えてます」
リーツは虚を突かれた様子だったが、呆れたように首を振った。
「夢でも見ていたんだろ?」
「では、今この国に人質として捕らわれているマリオット先生はどこに居るんです?」
私がそう聞くと彼は黙った。
「貴方が先生だとしたら色々辻褄が合うんです。マリオット先生は一昨年エメラインの担任だった。魔力が強くて守りも固いエメラインに、精神魔術をかけられるのは先生ぐらいです。それにマリオット先生はモーガン先生・・・エンリルとも良く一緒にいました。ダンスパーティでもそうだった・・・」
(あの時はただ、先生同士だからと思っていたけど・・・)
「マリオット先生はまずジョーとケイシー先輩に、わざと光の魔力が使ってるところを見せた。そして次に私を眠らせる。リリーの聖魔術だけでは魔力が足りなくて、解術は出来ない事を先生は知っていた。・・・魔術の力を合わせるアイデアを、リリーの方から言ってくれたのは好都合でしたね」
(もしそうでなかったら、先生の方からジョー達にさりげなく伝えたのだろう)
「貴方はそうやって、まんまと私達の仲間になった。だから私達の動向は筒抜けだったんです。ジョーやケイシーの信頼も得て、精神魔術もかけやすかったでしょうね」
先生は私達が禁書の部屋に行く事も知っていた。そして使者として隣国へ行きながらも、魔力増幅の宝珠を使いながらあちこちに転移して、私達の動きを観察していたんだ。
「ライナスへの治癒魔術を止めろ。でないとこいつの首が落ちる」
「なっ!?」
キイキイした声で兵士はくっくと笑う。リリーの顔が青ざめた。
「愚かな聖女よ、その男はこの世界に存在してはいけないものだ。そいつは自分の為に沢山の人の身体を奪ってきた。お前だって知っているだろう?」
グローシアの首に剣の刃が少し食い込む。
「うう・・・」
グローシアが恐怖に顔を歪めた。イーサンの治癒を行っているリリーの腕が震えている。
私はトラヴィスを押しのけて前に進み出た。
「いい加減にして!どうしてこんな事をするの!?」
そう聞いた私を、兵士は憎々し気に睨みつけた。
「・・・ヘンルーカの生まれ変わりか。お前のせいで死んでいった仲間もいた」
(え?)
「許すものか。ライナス、エンリル、そしてアンファエルン皇国も闇の組織も。その全てが憎い・・・消し去ってやりたい・・・」
「待って!じゃあ、どうして貴方は私達に顔を隠してるの!?声まで変えて・・・。まだ戻りたいって思ってるんじゃないの?」
私の問いに兵士が黙った。
「貴方はイーサンやエンリルが言ってたリーツだよね?闇の組織の一員で、皇国で沢山の人達を精神魔術で支配しようとした」
兵士―――リーツは何も答えない。
「私を眠らせて、ジョーやケイシー先輩を精神魔術で操ったのも貴方。そしてエンリルをエメラインの身体を使って蘇らせて、さらに私・・・アリアナの身体に移したのもそう。エンリルを利用してイーサンを倒すために」
リーツは薄く笑った。
「口のよく回る奴だ。だったらどうだと言うんだ」
「闇の組織の人間を殺害したのも貴方でしょ。エンリルやイーサンを倒すのに邪魔だったの?仲間だったんじゃないの?」
「あんな奴ら仲間だとは思って無いっ。奴らは僕達を飼ってただけだ!」
突然激高し、吐き捨てる様にそう言った。
「そんな事はどうでも良い!聖女よ、早くライナスから離れろ!こいつがどうなっても良いのか!」
グローシアの首から血が流れ始めた。私は思わず叫んだ。
「やめて!先生!」
リーツの腕がビクッと止まった。私はもう一歩進み出た。
「貴方は・・・マリオット先生ですよね?」
「・・・」
「先生、私への精神魔術はもう全部解けてるんです。あの日、私の部屋を訪ねて来たのはマリオット先生、貴方だった」
「・・・何を言っている。僕はそんな奴では・・・」
「確かにあの時、貴方は仮面を付けていた。それに『マリオット先生が訪ねてきました』と言ったメイドのマリアは、先生の顔を知りません」
「だったら・・・」
「だけど私は眠らされる直前に、貴方の仮面をはぎ取りましたよね?私、ちゃんと顔を見てたんですよ。一瞬でしたがちゃんと覚えてます」
リーツは虚を突かれた様子だったが、呆れたように首を振った。
「夢でも見ていたんだろ?」
「では、今この国に人質として捕らわれているマリオット先生はどこに居るんです?」
私がそう聞くと彼は黙った。
「貴方が先生だとしたら色々辻褄が合うんです。マリオット先生は一昨年エメラインの担任だった。魔力が強くて守りも固いエメラインに、精神魔術をかけられるのは先生ぐらいです。それにマリオット先生はモーガン先生・・・エンリルとも良く一緒にいました。ダンスパーティでもそうだった・・・」
(あの時はただ、先生同士だからと思っていたけど・・・)
「マリオット先生はまずジョーとケイシー先輩に、わざと光の魔力が使ってるところを見せた。そして次に私を眠らせる。リリーの聖魔術だけでは魔力が足りなくて、解術は出来ない事を先生は知っていた。・・・魔術の力を合わせるアイデアを、リリーの方から言ってくれたのは好都合でしたね」
(もしそうでなかったら、先生の方からジョー達にさりげなく伝えたのだろう)
「貴方はそうやって、まんまと私達の仲間になった。だから私達の動向は筒抜けだったんです。ジョーやケイシーの信頼も得て、精神魔術もかけやすかったでしょうね」
先生は私達が禁書の部屋に行く事も知っていた。そして使者として隣国へ行きながらも、魔力増幅の宝珠を使いながらあちこちに転移して、私達の動きを観察していたんだ。
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