戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

文字の大きさ
24 / 168
第二章 〜水晶使いの成長〜

第23話  レッツ・ショッピング!②

しおりを挟む

「ライン~。これなんか、いいんじゃない?」
「どれどれ? お、たしかにこれは……!」

 そう言ってミルが持ってきたのは、シンプルな黒のズボンだった。材質はジーパンっぽい。
 だが、植物の蔦が左脚に描かれている。とてもおしゃれかつ、好みにドストライク!!

「これ……最高じゃぁないか!!」
「やっぱり? 似合うと思ったんだよ。こういうの、似合う似合わないの差が激しいんだ」
「一目惚れだ、絶対買う!」
「ライ~ン、ミル~、俺のも見てくれよ」

 そう言ってゴースが持ってのは来たのは、七部丈のズボンだった。色は藍色。

「ゴースって、見た目と性格の割りに地味好きなんだ」

 そう、ミルが耳元で囁いた。

「まあ、そういうのが似合うんだけどね」

 とも、呟いた。短髪で赤髪なのにな。偏見か。

「どうよ? これ」
「落ち着いた色でいいんじゃないか?」
「七部丈とは珍しいのを選んだね。季節的にも、いいんじゃない?」
「よし、じゃあこれにしようかな」

 ちなみにミルは、

「僕はこれがいいと思うんだけど、どう?」

 と言って、灰色のダボッとした長ズボンを持って来た。

「組み合わせ次第だな!」
「通気性も良さそうだし、あとは上に何を着るか、だな」
「やっぱりそう思う? よし、これにしよう。上に着るもののイメージはできたから」

 イメージできんの!? 
 そりゃまたすげえな。オレなんかイメージできねぇから、何にでも合うやつしか買ったことないわ。
 おかげで地味な服装に落ち着いていたんだけどな。
 おしゃれって周りは言ってきたけど、信じていない。

「それじゃ、上着を見に行くか?」
「あらかた見たし、いいよ」
「オレも」

 ズボンだけで2着も3着も買う金はない!
 あるにはあるけど、節約だ。あと、上着を1着か2着買えばそれでいいかな。



 上着コーナーに到着~~。

「各々、好きに見て回る? さすがにこうも広かったら……」
「オレもそれでいいと思う」
「俺も同意。ただ、何か見てほしかったりしたら、『通話トーク』で」

 さてさて、パーカーを探そうかな。
 できれば、上から羽織るものも買っておきたいけど……また寒くなってからでいいかな。
 あ、あとで靴も買わないと。



 売り場を数分ほどブラブラと歩いた。そして、1つの結論を導き出した!
 う~ん……。パーカーでいいかなぁ。シンプルに白いやつ。
 他にも、良さそうなのはあったけど、ミル曰く、

「う~ん……似合わないな」

 だそう。
 ちなみに、黒か白か見てもらったら、即答で白だった。

 このダボッとした感じは前世と同じか。
 とりあえず、ゴースのところに行ってみようか。その前に『通話トーク』を発動させる。

『ラインか。どうした?』
『ああ、オレはもう決めたからさ、そっちに行こうと思って』
『なるほど。こっちにはミルも来てるよ。あ、そうだ。ミルももう決めてて、あとは俺だけなんだ。一緒に、決めてくれないか?』
『ああ、わかった。』

 ──プッと、切れた。
 相手の所在地がわかれば便利なんだけどなぁ。適当に探すか。



「──お、いたいた」
「おお、ライン! 早速で悪いんだが、どっちが似合う? ミルも決めあぐねてるんだが」
「そうなのか、ミル?」
「うん。どっちも似合うからさ。片方買って、バイトしだしたら買うんだけど、買われてたら嫌だろうからいい方を、と」

 服に関するこだわり凄いなぁ。
 服屋の店員にでもなればよかったんじゃ……。そんなこと言わないけど。

 で、件の服は……。
 一つは、白地に、腕の部分に黒のストライプが入ったもの。
 もう一つは、黒地に、白で十字の線が入ったもの。

 え……。これは……。

「十字のがいいと思う」

 仕方ないよなぁ。
 個人的に、縞々はちょっと……。いや、縞々はいいんだけど、黒と白はなぁ。

 本当に! あくまで! 個人的な感想です!

「ラインがそう言うなら、そうするか! さて、次はどうする?」
「靴しかなくないか? 時間もあと1時間切ってるし」
「僕も同意見だね」
「じゃあ、行こうか」



 はい、靴コーナーに到着!

「一緒に見て回るか?」
「靴だし、オレは一人で回ってるよ」
「じゃあ、ゴース。一緒に回る?」
「そうだな。ラインも何かあれば、『通話トーク』でな」
「おう!」

 さてさて、何があるかな。
 上着を見たとき、防具なんか置いてないかな……ねんて思って探したが、さすがになかった。

 防具はは防具屋に売ってるらしい。
 学校内にも、武器屋と防具屋はあるけど……修理専門だからなぁ。

 多分、ここにも装甲靴サバトンとかはないだろうな。何を買おうかな。

 前世で履いていたものといえば、ランシューがほとんどだった。
 他には、通学用の普通の靴ぐらい、か。通学用のもランシューだったか?

 できれば、普段使えるような、動きやすき、汚れにくいのがいいな。
 山に入ったり、授業で使ったり、こういうオフの場で使ったりできるやつ……。
 ないかな~~。ないわけないよな~~。



 そう思って、数分ほど物色していたら、

「──あっ、これいいかも……」

 それは半長靴だった。
 革製で、黒色。銀の留め具がついている。

 人気があまりないのか、それとも入荷したばかりなのか。全サイズ揃っている。

 ズボンや上着と違って、これは学校生活でも使うものだ。見た目だけで選んではいけない! 

 杞憂だった。

 試し履きしてみたが、とても動きやすかった。
 しかも、足にフィットする。これにするしかないな!
 決まった。『通話トーク』を起動させる。

『どうしたの、ライン?』
『ミルか。オレはもう決まったからさ。そっちに行こうかと思ったんだが……決まったか?』
『うん。僕もゴースも決めたよ。じゃあ、レジに行こうか。袋は持って来てる?』

 フッフッフ……。マイバッグ、持参してま~す!

『大丈夫だ』
『わかった。先に買ってて』
『へ~い』



 レジに持ってくと、

「──お会計は半銀貨5枚と銅貨4枚ですね」

 ……え? もう? バーコードリーダーはないのは知ってたけど。瞬だな。隣に置いてある箱に、数字が表示された。

 左から、0、0、0、0、5、4、0。
 多分左から、白金貨、金貨、半金貨、銀貨、半銀貨…………だろう。ただ、少しアナログっぽいな。

 金を払い、マイバッグに買った商品入れたら、ゴースたちも来て、ちゃんとみんなが支払いを済ませた後で一緒に店を出た。
 すると、ノヨたちも大満足な顔で出てきた。今から昼ごはんだ。

 ミルが、

「何か食べたいものある?」

 と聞いてきたが、全員が「ない」と答えた。

「なら、僕のおすすめ店に言ってみない? 昨日、近衛騎士の人に聞いたんだ。定食屋だけど」
「へぇ! じゃあ、そこに行こうぜ!」

 ミルに案内された店は、ザ・レストランって感じの店だった。
 中に入ってみると、店内は一面が木だった。テーブルも、イスも、カウンターも木製で、気の質感をそのまま残している。

「なかなかいい店じゃん!」
「それだけじゃなく、味も抜群の、隠れ名店らしいよ」

 早速席に座り、メニュー表を眺め、注文することにした。
 オレは、メニュー表を見たときから、もう、何にするかは決まっていた。
 ノヨが代表して、注文してくれた。意外と社交的なんだなと思った。

「豚カツ定食を3つ、唐揚げ定食を2つで」
「かしこまりました」

 オレは豚カツ定食だ。ロイズとゴースも、それを見て決めていた。

 この世界の豚ももどきだ。
 前、よその村に行ったときに偶然見かけたが、豚と言うよりも、イノシシに近かった。
 だが、名称は「ブタ」。三賢者がイノシシ型の魔物、ギープを家畜化したからだそう。

「お待たせいたしました、注文のメニュー、5品です。注文は以上でお揃いでしょうか?」
「はい」
「それでは、ごゆっくりどうぞ」

 さて、全員来たわけだし、

「「いただきます!!」」

 う~ん!! やっぱ、美味い!! 同じ味だ。





 その後、ホームセンターで本棚を半銀貨4枚で注文し、後日、寮に届いた。
 ちなみに、本は買わなかった。
 空の本棚が部屋に置かれている奇妙な状況が後日、歓声することになる。 

 服屋で半銀貨5枚、銅貨4枚。
 レストランで、銅貨7枚。
 本棚で半銀貨4枚。

 合計、半銀貨9枚と銅貨1枚。所持金額、銀貨2枚と半銀貨2枚。



 その後、寮に戻り、晩ごはんを食べ、少し早めに寝ることにした。
 時間はまだ9時。寝るにはまだ早い。

 寮に帰ってきたのは、6時過ぎ。
 クローゼットに新しい服を掛けた。靴は、明日、早速履くとしよう。

 明日は、5時半起きか。目覚ましをセットして、眠りに落ちた。



 ……楽しかった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...