戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

文字の大きさ
42 / 168
第二章 〜水晶使いの成長〜

第41話  体育祭に向けて

しおりを挟む

 伝え聞いた話である。

 1組には、──人間から見て──他種族は鬼であるヤマルとエルフのリーインのみ……。
 だが、他クラスにはそれぞれ4、5人はいるらしい。

 種族が違うからといって何かあるわけではないが。平均運動能力とか使える魔法とかに差が生まれるだけだ。
 黒人、白人、黄色人種の違いとなんら変わりはない。





「はい、皆さんおはようございます。早速ですが、こちらで選手は考えました。あとは各自で順番を決めたり、入れ代わったりしてください。朝会もまだ残り5分はあるので。とりあえず、紙を前に掲示しておきますので、見ておいてください」


────────────────────
体育祭出場選手(仮案)

 選択①
 ・クラス対抗リレー……20名(男10 女10)
 ・障害物競争……20名(男10 女10)

 選択②
 ・綱引き……20名(男女問わず)
 ・借り物競争……20名(男10 女10)

 選抜リレー……50メートル走 上位4名
 選抜模擬戦……クラス内戦闘 上位3名

   クラス対抗リレー……100メートル
   選抜リレー……200メートル

────────────────────
 

 ふむ……。なるほどなるほど。

 つまり、オレが出ると確定しているのは、選抜リレーと選抜模擬戦か。
 選択は、HRで決めるんだろう。
 にしても、メジャーな種目ばかりだな。

 模擬戦もあるのか。
 どうするか……。武器は何を使うか、水晶は使うかどうか……。
 どうせだし、棍で、水晶ありでいこうか。上級生も見ることだし。入学式でも披露したがな。





 そして夕方のHR。

 このクラスの男女比は1:1ではない。
 男子15人、女子25人だ。つまり正確な男女比は3:5ということになる。

 つまり、男子は5人ほど、選択で2つでることになる。
 女子は5人が、選抜でどちらも出ることができない。
 だが、そこは綱引きで解消できる。全員、最低2種目は出場できるのだ。

「ではまず、自分のやりたい方に手を挙げてください。クラス対抗リレーか、障害物競争か。では、クラス対抗リレーの人!」

 手は挙げない。
 オレは意外と足が速いことがわかった。
 だが、どうせ選抜リレーで走るんだ。なら、ここは障害物競争に!

「23……24……25。25人ですね。では、今手を挙げなかった人たちは障害物競争。そして、今手を挙げた25人の内5人、障害物競争に変わってください」

 ここで数人ほど手を挙げる。
 どこの世界も、こういうところは変わらないな。
 挙げたのはほとんど女子であることも……。まあ、男子は10人ピッタリだったから、女子が諦める必要があったわけなんだけど。

 ターバは、クラス対抗リレーか。
 ヤマルは障害物競争。
 ヌーとクォーサ、スゥは、ターバと同じく、クラス対抗リレー。



 この時、オレたち1年生は、体育祭を甘く見ていた。特にオレ。

 ここは、冒険者・・・学校。生徒たちを屈強な戦士にするための設備が揃っている……。



 出場選手が決まったのは、翌週の月曜日の朝のことだった。
 オレは、障害物競争、借り物競争、選抜リレー、選抜模擬戦の4つ。
 ターバは、クラス対抗リレー、綱引き、選抜リレー、選抜模擬戦。選択で、オレとは違う方を選んだのだ。
 ついでに、ヤマルは障害物競争、綱引き。
 ヌー、クォーサが、クラス対抗リレー、借り物競争。

 最近、ヌーとクォーサとあまり話してねぇな。
 スゥとはよく話すが。あ、スゥはクラス対抗リレー、綱引きだ。

 さて、明日からは練習だな。毎日5時間目が練習に当てられている。



 よし、5時間目だ! 
 障害物競争は、練習できないらしい。
 使う器具を出したり収めたり、面倒くさいらしい。
 つまり、ぶっつけ本番になる、と。借り物競争も、練習のしようがないため、ぶっつけ本番。

 とはいえ、やることはちゃんとある。
 綱引きの相手役。本番に備えて少しでも走ること。……これだけ。



 そして、金曜日の5時間目が終わったとき。

「今週もお疲れ様でした。これから、手が空いてる人たちでテントを設置します。生徒用が各学年で24個。先生用に5個。来賓用に2個です」

 来賓用に2個……。まあ、保護者は来ないわな。来賓……誰が来るんだ?

「来賓は、領主様、数人の区長、その方たちの護衛兼視察の近衛騎士一団。それと、念の為の予備席をいくつかです。バイトがどうなるのかわからない人は、バイト先に『通話トーク』してもいいですよ」

 今日は生憎、出る日だ。日程の変更はない。

「ターバ、スゥ。何も言われてないよな?」
「ああ」
「うん」

 よし、出る日だ。平日は基本毎日でるんだけどな。  

 モフールさんが、領都を出て学校前まで来る。そこに合流し、近くの村々まで物資を届け、学校に帰る。
 学校から領都の間は、キーランさんの会社で雇っている冒険者が学校前で待機しているため、襲われる心配もない。
 冒険者にとっても、依頼の帰りだったりするので、歩かなくていいという点で得だ。

 ちなみに、平日全出勤はどこも同じである。
 中には、水曜は休みとか、平日全出勤じゃないところもあるかもしれないが……その場合、給料が安いか、めちゃ大変か。

 平日のバイトとはいえ、そんな遅くまでやるバイトはない。
 断言できる。
 だって、門限あるんだもんな。門限は9時だ。食堂も9時まで。

 バイト先も、このことは承知している。
 9時ギリギリになりそうであれば、学校に連絡を入れ、晩ごはんを支給する必要がある。
 まあ、それが面倒くさいからこそ、8時までに返すという暗黙のルールが出来上がったらしいんだけど。

 他より遅く返すのは恥と感じる会社が複数誕生し、それで最終的に8時までとなったのだろう。
 オレたちも8時までに帰れる。
 6時~8時だな。基本は6時過ぎに帰れる。

 学校が終わるのが、15:00。そして3時間ほどバイト。
 なんか、部活みたいだな。
 ゴースたちも6時前には帰ってくるから、一緒に晩ごはんを食べれる。

 どこもホワイトだ。
 うんうん。前世でよく見た、社畜の残業によって生まれる綺麗な夜景も、この世界で見ることはない。

 光も若干違う。
 こちらはほとんどが光エネルギーだ! エネルギー変換効率はLEDよりもいいと思う。
 魔力最高!!





 そして、バイトを終えた帰りの途中。

「お前ら、月曜日は体育祭なんだってな。実は、お偉いさん方が乗る馬車の御者に俺が選ばれてな。俺も見に行くぜ。で、何の種目に出るんだ? 選抜模擬戦は確定だろ?」
「オレは他に、選抜リレー、障害物競争、あとは……借り物競争です」
「私はクラス対抗リレー、綱引きです」
「俺は同じく、クラス対抗リレー、綱引き、選抜リレーです」
「おお! そうかそうか。ま、俺はただの運び屋だからな。声は出せねぇけど、応援はしてるぜ?」

 運び屋って……。間違ってはないけどな。
 medicineじゃなくて、drugの方の薬の売人みたいに聞こえるぞ?
 ……そんな見た目してるけどさ。

「大抵、優秀な人材の集まる1組が勝つらしいけどな。油断は禁物だ。気をつけろよ。1組だから、勝つんじゃない。優秀だから勝つんだ」

 他クラスとは、互いに引き立てあう関係なのか。
 他クラスでも、相性の有利不利で負ける可能性があるということだろう。

 誰かが覚醒した、という話は聞いていない。
 大丈夫だと思う。

「大丈夫です! 本気を出せば負けませんから」
「覚醒したって話は聞かないしね」
「はっはっは! 楽しみにしてるぜ。期待はずれな結果はやめてくれよ? 近衛騎士が見定めに来るからな」





 日曜日。今は朝9時。
 食堂の時間の都合で、ゆっくり起きることができない。欲を言えば、8時ぐらいに起きたいものだ。

 売店で靴用洗剤を買い、学校で使う靴を洗う予定だ。

 前に領都で買った半長靴は授業では使わない。
 動きやすいんだが、浮くんだよな。他の人のと全く異なるから。
 だから、村にいた時から履いている靴を使っている。
 魔物の毛皮を使っているから、そこそこ丈夫だ。買ったやつのが全てにおいて優れているけど。



 早速売店で洗剤と、靴用ブラシを買い、風呂場で洗い始める。
 ここしか場所がないからな。
 おかげで、風呂場の掃除道具一式を買うことになったがな。
 半銀貨が2枚飛んだ。
 意外と安くついたかな。4枚は覚悟してた。



 丁寧に洗っているが、力を入れすぎないように注意しないとなぁ。  
 ブラシも柔らかいけど、力を入れすぎると傷ができるし、ブラシも駄目になるからな。

 売店のおばちゃんが言ってたことだけど。
 風呂はガシガシ擦っていいらしいがな。



 よし、綺麗になった! 1時間半も経ったのか。
 よし、靴はさっさと水分を抜いておこうか。『水滴ドロップ』……あれ?
 あ、そうだ。生活魔術は詠唱がいるんだった。
 つい水晶の感覚でやっちまったぜ☆

「──『水滴ドロップ』」

 操作範囲に靴を入れ、靴に染み込んだ水を絞り出す。
 それをそのまま排水口に流す。
 そこで、魔法を切る、と。

 天気が悪くても問題ない!
 水を絞り出すとき、衣類を痛める心配もない。ただ水分を抜くだけだからな。

 北向きの部屋なんてないから、日干しでもいいんだけどな。
 こうやって水分を抜いて、その後で日干しする。
 日干しには、洗剤とは別の殺菌効果がある(らしい)からな。
 日干しは大事!


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...