戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

文字の大きさ
44 / 168
第二章 〜水晶使いの成長〜

第43話  体育祭②

しおりを挟む

「そろそろスタートかな?」

 クラス対抗リレー。
 これが盛り上がらないわけがない。体育祭、運動会の定番種目だ。
 木製のバトン。
 なにもおかしなところはない。
 だが、違和感を感じる。さっきまであったものが消えているような……。

 「よーい……」

 ─―ボンッ

 上空で『火球ファイアーボール』が爆発した。
 ……派手にやるな。

 ここで一瞬、思考が切り替わったおかげで、先ほどの違和感に気づいた。

 ――先生たちがいない。

 さっきまでグラウンドを包囲していた先生の数人がいなくなっていた。

 いつから?
 いつから消えていた?
 なんの為に?
 目的は?

 ……考えても仕方がない。
 何かしらアクシデントがあったか、何か大きなことが極秘裏に進められているかのどちらかだ。

 ここは冒険者学校。そうそう、何か起きるわけがない。

 

 出だしはまあまあかな。2位だ。
 1位は3組。だが、慢心するでないぞ、3組諸君? 我ら1組はこれからだ。
 ……なんちって。

 だが、事実。
 こちらにはターバがいる。
 それに、学年で一番速いとされる人は、現在最下位の4組の人間だ。勝算は十分にある。

 お、次はヤマルか。
 ヤマルは……平均的だったな。50メートル走は、だけど。
 女子とは思えない身体能力だ。
 口には出していないが。出したらどうなるか、目に見えている。



 ずっと3組と競り合っている。
 抜かし抜かされを繰り返し、ようやくアンカーだ。
 いよ! 待ってました大将!
 ここでターバにバトンが渡る! 

 ここでラッキーなことに、3組がバトンを渡す前にこけた。
 これは……勝負あったな。

 目の前をターバが通る。
 オレの方を向いて敬礼していった。さすがだ。



 そして、オレたち1組の順位は、1位となった。
 圧勝だった。

 200メートル走ったからか、アンカーは4人とも息が絶え絶えとしている。

 まあ、200メートルを全力ダッシュすればねぇ。全力で走らないと盛り上がらないし。
 まあ、気が付かないうちに少しはセーブされてるかもしれないけど。

 ……あれ?
 選抜リレーは全員200メートル走るんじゃなかったっ……け?
 ん?
 あれを、オレも走ると?
 ターバは2回走ることになるが。

 ……しょうがない、受け入れるか。
 オレに決定権はないんだし。


 
 さてさて。ここでようやく昼ごはん。
 一旦教室に戻る。ここだと、砂が飛んでくるかもしれないからな。

 今日のメニューは……? 焼肉弁当! 
 カロリー高めだな。まあ、この体育祭でカロリーを大量に消費するんだし、大丈夫か。
 オレらはまだ成長中なんだし。

 待てよ。
 たらふく食べて、次は障害物競走……?

 あれ、しんどくない?
 でも、この空腹感には抗えない。クソッ! いただきます!

 美味しく、残さずいただきました。



 いよいよ障害物競走。
 ……腹が……。これは、学校の罠に違いない……。
 とても悪質だ……。

 たかが障害物競走。

 そう思っていた。網を潜り抜けたり、ハードルを跳ぶなり潜るなりする。
 それは、前の世界での障害物競走・・・・・・・・・・・

 そして、もう何回繰り返したことだろう。
 ここは、冒険者学校。屈強な戦士を育成する場所――。


 グラウンドに戻ったオレたちの目に映ったのは、信じられない……いや、信じたくない光景だった。

 ――壁がグラウンドに出現していた。
 1つだけではない。複数だ。
 そして、突起が付いている。

 それと、壁だけではなかった。
 ターザンロープに丸太でできた平均台などなど。SAS〇KEかっての。

『次の種目は、障害物競走。選手の合計時間で勝敗が決まります。』

 なるほど。チーム戦か。
 そして、先生たちは包囲陣を形成している。……人数が増えたか?

『ここで追加のルール。身体強化、魔法の発動をこの種目でのみ、許可されます』

 ……。
 あの壁なんかもそうだが、2、3年連中は誰一人として驚いていない。
 例年のパターンなんだろうな。

『コースは3つから、各々選択をするように。どれもかかる時間は同じになるようになっている』

 1コース。
 難易度は高いが、距離は短い。ボルダリングのコースだ。

 2コース。
 高さが様々なハードルのコース。難易度は中ほど。

 3コース。
 一番簡単。丸太を使ったコース。バランス感覚が問われる。



 どれを選ぶかって?
 もちろん、第1コースだ。
 ライン・ルルクスここにありってな。

 第3コースも第2コースも楽しそうだが、まあいい。
 それに、第1コースはオレの能力と相性がいい。使う必要はなさそうだが。
 使っても、妨害の妨害として使うかな。

 オレは一番最後。
 ゴールには旗が置かれている。
 前の人がゴールに辿り着き、それを揚げたらスタートだ。

 旗はクラス毎に色が違う。1組は青だ。

 そして、オレの努力次第では、優勝も狙えるってことだ。
 あまりにも差が開いていたら、一位は・・・諦めるしかないがな。

『それでは……開始!』 

 始まった。
 包囲陣を形成していた先生たちが上空で『火球ファイアーボール』を爆発させた。
 その数3発。……表現の割に少ないな。

 

 よし、そろそろオレの番だ。
 ――よし、旗が揚がった。スタートだ。

 順位は最下位だが、十分取り戻せる。
 よしよし。誰も壁コースは選んでいないな。

 先生たちからの妨害はある。
 だが、これは水晶で防ぐ。
 そして、壁は身体能力で強行突破。完璧だ。

 早速妨害が入ってきました。
 小盾サイズの『晶盾しょうじゅん』を3つ、周りに展開する。
 覚醒者でもない限り、1発でこれを破壊することはできない。
 傷ができても、魔力を注いで修復できる。

 壁に『晶柱しょうちゅう』を複数、垂直に作り、それを足場にして上る。即席の階段の出来上がりだ。
 攻撃はすべて――足場を狙ったものも――『晶盾しょうじゅん』で防ぐ。

 このようにして、楽々クリアしてしまった。
 しかも、結果は1位。障害が意味をなさなかったからな。
 相性がよかった。ただそれだけだ。


 
 さてさて。残りは選抜リレーと選抜模擬戦のみだ。
 2、3年の種目がまだあるが。まあ、障害物競走なんだが。

「ラインくん、ターバくん、スゥさん。ちょっと来てください」

 あれ、先生に呼び出された。このメンツってことは、模擬戦のことか? 

 先生に連れて来られたのは、人混みから少し離れた場所だった。

「えーと、模擬戦のルールを説明します。敗北は場外、負けを認める、失神、審判による判断……です。回復術師が待機していますが、あまり無理はしないように。身体強化、魔法は許可されます。各学年1位は、近衛騎士副団長様が相手をしてくれます。以上」

 少々厄介だな。
 回復魔法は傷は治してくれるが、疲労は回復しない。
 怪我の度合いによっては、余計体力を奪われることになる。

 この学校で使う武器に刃はないが、骨折や捻挫、打撲はするだろう。
 それに、相手が風魔法を使えば切られるし、火魔法を使えば、火傷を負うだろう。
 水晶で防ぐが……すべては防げないかもな。

 ターバと戦って無傷では終われないし、ターバとはほぼ必ず当たることになるだろうしな。
 しかも、1、2、3と来てた順番が、模擬戦のみ、3、2、1となる。
 一年生が最後とはな。

 副騎士団長は覚醒者だろう……絶対か。覚醒者でないわけがない。
 身体強化では勝てない。

 さてさてどうするか。
 ……もしオレが覚醒者だったとしても、勝ったら問題か。
 なら、負けても恥じることはない、か。
 いっそ身体強化を禁止にしてくれたらなぁ。甘えか。

「ラインくん、ターバくんは、選抜リレーに出るんですよね?」
「あ、はい。そうです」
「頑張ってください。障害物競走よりは盛り上がりませんが」

 先生……。最後の一言は……余計です……。

  

 覚醒してる人はさすがに速いな。
 覚醒してるってことは、1組だろう。

 つまり、他クラスは、どれだけ僅差で負けるか。
 1組は、どれだけ他クラスに差をつけれるか。覚醒者は2人いた。
 オレたちは来年、何人覚醒してるかな?



 障害物競走が終わり、セットが片付けられる。
 次は選抜リレー。

『次の種目は、選抜リレー。選手は並んでください』



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...