戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

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第二章 〜水晶使いの成長〜

閑話  三賢者

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【植物の賢者】視点



 私は、一般的な村で生まれ育った。 

 ただ、私は農家の三男坊だった。
 ゆえに、村に居場所は存在しなかった。そんな人間は、街に出て仕事を見つけるか、冒険者となるか。

 悩みもせず、私は冒険者となる道を選んだ。

 12歳の頃、前世の記憶が戻った。
 前世のクラスメイトを探す気など、微塵もなかった。ただ、私には戦闘に関する才能があった。

 記憶が戻る以前から趣味として、筋トレは行っていた。

 そして、私には特別な力があった。

 ――『あらゆる植物の種を生み出す魔法』

 誰にも知られることのない力。
 知らせるつもりもない。

 私は群れたくない。
 自由でいたい。
 縛られたくない。

 ただ、どんな環境で育てればいいのかはわからない。
 前世の祖父母も農家ではなかったし、田舎に住んでいたわけでもない。
 おまけに、私は中学生止まりだ。



 私の現在の年齢は14。冒険者になれる最低年齢は決められていない。

 ──冒険者。
 ライトノベルにあるように、野蛮な連中が大半だ。
 一握りの人間はそうではない。しかし、それらは強者に位置する。私たちとは関わりが少ない。

 唯一の救いは、魔物の数がそこまで多くないということだろう。
 野生の生き物は、前世の生き物となんら変わりはない。

 

 現在の世界情勢は芳しくない。
 鬼の国とエルフの国との戦争。
 冒険者による暴力。
 


 魔王を探すどころじゃない。
 そう、冒険者となるのは、魔王を探し、討伐するため。  
 クラスメイトは、戦力の増強と、リーダーを任せる(押し付ける)ために必要だろう。

 



 人の国――シャイワール国の王都に到着する。
 家族には書き置きだけ残し、家を出た。

 冒険者組合にて、冒険者登録をする必要があるのだが…………。

「ここは最早、酒場でしょ……」



 簡単な面接を済ませ、冒険者となった。
 ランクなどない。

「――お前、新しい冒険者か?」

 背後から声をかけられた。
 そこには、エルフが1人、人間が1人。

 警戒。

「俺はユーキラ・へイン。こいつはミューラ・ファイ」

 答えないわけにはいかない。

「…………オイガル・レートン」

 エルフとは、珍しいな。
 おまけに、人間とのセット。

「――お前、もう一つの名は?」

 エルフ――ミューラが口を開く。
 いや、それよりなんと? もう一つの名?

「ああ、俺はアライ・タダヒロ」
「僕はオオシマ・マサト」

 ミューラがアライ・タダヒロ、ユーキラがオオシマ・マサト………。
 ……………………!!!

「…………いや、まさか……。んんっ! タナカ・タクミ」
「ああ、やはり…………」
「ふ……やっぱりお仲間だったか」

 この2人は、私と同じ転生者だった。

「久しぶりだな、タクミ?」
「ああ」

 2人とは、前世ではあまり話すことはなかった。
 ……いや、前世でも一匹狼だった。

 まあ、2人とも男子だし、話さないことはなかった。話しかけられたら話す程度だ。

 早速クラスメイトと再開するとは。
 おまけに、タダヒロはクラスの中心人物だった。リーダー丸投げだ。

「にしても、なんで私が転生者だと?」
「勘だ」
「勘? あ、はい」
「まあ、ともかく! パーティー組もうぜ!」
「ん、了解」

 これが、三賢者集合の瞬間だった。





 時は過ぎ。

「いや~~。まさか、お前の植物の種で戦争が終わるとはな……」

 そう、私たちはエルフの国と鬼の国の国家間の争いを終結させた。

 その方法は、世界中に植物の種を普及する際、各国の地理、気候を考え、適した植物を選んだ。
 そしたら、「あんたんとこの作物が欲しい、停戦だ」と、なった。
 戦争に至った原因を問い詰めたい。

「僕たち、巷でなんて言われてるか知ってる? 【三賢者】だってさ」
「は! 【最強】よりマシだろ」

 【最強】。
 転生者仲間だが、私たちと一緒にはいない。
 年もほとんど同じなんだがな。
 まあ、会ったのは最近の話で、その頃にはすでに今のパーティーが定着してたからな。

 前世の名前は、シュン。
 スポーツ万能、筋肉人間だった。
 こっちでも相変わらず。

 私たち3人は貴重な覚醒者のはずなのに、一太刀も食らわすことができなかった。
 ほんと、どうなってるんだ?

「――【三賢者】も似たり寄ったりだろ」

 私たちの後ろにいつのまにか人が立っていた。

「よ! 【最強】さん」
「いっつも急に現れるな、お前」

 毎度、音も気配もなく現れる。そして、いつの間にかどこかへ行く。

 


 
 そしてある日。

 ──【鍛冶の賢者】ユーキラ・へインが何者かに殺された。

 すでに、私たちは年は50代だった。
 とはいえ、そこら辺の雑兵よりも強かった。私の筋肉も、今が最盛期だ。

 その頃には、すでにすることはなかった。
 植物――作物の種を思いつく限り作り出した。そして、気候に合わせて配布もした。

 【物質の賢者】であるミューラは、ミスリル、オリハルコンの発見、人工的に作り出す方法の確立。その他諸々。

 そして、【鍛冶の賢者】は、多くの遺品レシピを残した。
 どれも画期的で、前世の家電にあたるものも多くあった。大半は作られたけど。


 
 ユーキラ……オオシマが殺され、【最強】は、オオシマを殺した犯人に心当たりがあったらしい。
 でも、私たちにそいつのことは教えてくれなかった。
 そして、たった1人で旅立って行った。

 ――だが、あいつが帰ってくることはなかった。

 どこかで朽ち果てたか。
 犯人に殺された可能性もある。

 だけど、それを認めることはできなかった。
 それほどまでに……あいつは強かった。



 そしてその数日後、後に【魔力の目覚め】と呼ばれる現象が起こった。
 多くの生き物がパワーアップした。

 国王――私たちの弟子――の願い事を聞き届け、生活魔術を広めた。

 私たちは、全員魔法が使えた。
 私とオオシマは属性特化――神にもらった――だったため、生活魔術は使えなかったが。
 アライは一般の魔術師と同じだった。

 そのため、私たちは――生活において楽をするためだけに――生活魔術を考案し、魔術師に広めた。

 生活魔術は、もともと魔術師間で広まっていたこと、私たちが世界規模で影響力のある存在となっていたことから、あっという間に世に広まった。

 

 だが、【魔力の目覚め】により、乱暴者のやることも惨くなった。
 そして何より、生き物すべてが魔物格となった。
 動物レベルだった生き物は相変わらず弱いが。



 そこから10年ほどは、魔物に名を付けたり、教会を設立したり、近衛騎士団を設立し、冒険者組合に改革をもたらした。
 なんで老年期に…………。

 政治関連は全部、弟子たちに投げたけど。

 私たちは精々、決まりを作ったぐらい?
 ああ、あと、養育所を設立した。建築物は、【鍛冶の賢者】の遺品レシピが大いに役立った。建築デザインを作ってたとは……。





 私は生涯独身を貫き、そのまま人と関わることなく、人生に幕を下ろした。
 齢は…………70ちょっと? 

 気がかりは…………そう、【最強】の言。

〈――この七本・・の棒を守ってくれ〉

 これが気になるのは、単なる知識欲。
 まあ、死んだ今となっては、どうしようもない。

 その七本の棒は、はるか昔から存在していたらしい。
 それがなぜ王都にあるのか。答えは都市を築くのにちょうどいい土地だったから。
 棒はまるで関係がない。いや、もしかしたらあったのかもしれないが、それを知る由はない。



 

 三賢者の死後、三賢者の能力を受け継ぐ者は、三賢者の時代からラインの生きる時代までの間に生まれることはなかった。
 三賢者たちの保有する能力は系統が全く違うものだった。

 唯一、共通点を挙げるとするのであれば、記憶を取り戻した瞬間からあったこと・・・・・・・・・・・・・・・・・

 三賢者の保有していた能力は、現在、こう呼ばれる。

 ――加護、と。

 三賢者の加護は『あらゆる種の生成』『あらゆるレシピの作成』『化学変化』。
 


 加護の存在は、これまでに多く確認されている。

 加護とは、生来より保有している能力だが、転生者が保持していた場合、記憶を取り戻した瞬間にその力は目覚める・・・・

 そして、加護を持つもの・・は、将来、必ず覚醒する。

 ただし、それらが戦闘向きである保証はまるでない。
 それより、戦闘向きである加護の方が圧倒的に少ない。



 加護とはなんなのか、という問の答えに辿り着いた存在は、たった一人・・・・・





 この世のどこでもない場所

「――さあ、ライン……。早くここまで来い…………」

 漆黒の世界に、漆黒に身を包んだ存在が、笑みを浮かべる。
 その空間にあるのは、円卓と七つ・・の椅子のみ。

 


 
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