戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

文字の大きさ
91 / 168
第三章 ~戦闘狂の水晶使い~

第85話  騎士団祭

しおりを挟む

 連合の諜報員スパイは牢獄にぶち込んだ。
 場所は城の地下牢だ。何重ものセキュリティが、侵入を阻む。

 まあ、いい。今日は騎士団祭の日だ。

 オレとターバ、【魔導士】は優勝者と戦うんだが。
 そんなわけで、オレたちは騎士団長に呼び出されていた。

「お前らみたいな加護持ちは多くないが、私と同じ聖物持ちは、現在確認されていない」
「? 聖物持ち?」
「ああ、言ってなかったか? 私のこの電気の能力は聖物の効果でな」
「聖物というのは、持ち主を選ぶオリハルコンのことですよ。変形できる武器や形は弄れないようですが、特殊な能力を保有します。それがどのような能力かどうかは、運次第ですけどね」

 へぇ……。アーサー王の剣――エクスカリバーのようなものか。
 ああ、三賢者の装備も持ち主を選ぶとか言ってたな。

「まあ、騎士団長の電気攻撃は私も使えるんですけどねぇ」
「応用力は私の方が上だがな。まあ、そんなとこだ」





 騎士団長とのミニ会議(雑談)も終わり、オレの使っている宿に、ターバと【魔導士】が来ていた。

「では、作戦会議を始めましょうか!」
「相手が決まっていない今から、か?」

 なんで【魔導士】はこんなにテンション高いんだ? 相手もわからないのに作戦会議って……。

「互いの実力もわからないんですが?」
「ああ、そうだな。だが、模擬戦は本番まで禁止されている。それがオレたちに与えられたハンデだ」
「とにかく、危険人物は……第三隊隊長、ペテル・ヴァシクス。加護はなく、魔法も使えませんが、強いですよ。加護持ちと言えば、あとは副騎士団長ですね」

 もちろん、他国の騎士と戦う可能性だってある。ヤマルとかリーインと戦ったりしてな。
 リーインは一般レベルだが、ヤマルはそこそこ優秀だからな。





 そして、オレたちの出番がやってきた。対戦相手は、鬼国――フェンゼル国だった。
 途中の試合は見させてくれなかった。
 これもハンデだと。ハンデになるか?

 その間オレは、騎士団長と一緒に格闘していた。…………書類の山と。

『さあさあ、始まりました、騎士団対抗戦最終日! 優勝チーム、フェンゼル国! そして、近衛騎士団が誇る英雄3人!』

 会場は、王都の外にある平原の一部を隆起させたもの。
 攻撃の余波が観客に届かないように、会場の周りには覚醒済みの騎士が立っている。

『ルールは簡単! 3対3の真剣勝負! 場外、失神で失格とし、これ以上の戦闘続行が禁止と判断しましたら、それもまた失格とします。3人全員失格となったら、そのチームは負けとします!』

 フル武装で挑む。
 能力に制限はかけられていない。全力投球だ。

『もちろん、防具の着用も禁止!』

 フル武装じゃなくなった。

 にしても、外でやるってことは連合への牽制もあるのか。

『では、早速始めましょう! 優勝チーム、フェンゼル国代表!』

 さてさて、どんな人なのかな? ヤマルしか知らないけど。

『双頭槍を華麗に操る! ヤマル・コラヤン! 大剣を軽々と振り回す! ヨウファン・コラヤン! そして、フェンゼル国副騎士団長! ゲラード・ヴェール!!』

 ん? コラヤンとコラヤン? そういや、兄がいるとか言ってたな。シスコンだっけ?

『そして、騎士団代表の最強3人!』

 最強…………「最」も「強」い。オレらだけじゃないけどな。どこの国の騎士団長も出場してないし。

『その名を知らぬ人はいないでしょう! 【魔導士】! 【水晶使い】! 【双剣士】!』

 全員二つ名で紹介されちゃったよ。本名の紹介も、特徴の紹介もない。
 すんごい簡略化された。
 なんかショック…………。

 とりあえず、紹介された順番に会場に上がる。
 オレと【魔導士】は仮面してるもんな。どっちがどっちかわからないだろう。
 仮面と服装は全然違うから、そこで判断してもらえたら、と思う。

「ターバ、久しぶり! で、どっちがライン……?」
「こっちの、白い服がライン。まあ、戦えばわかるだろうけ――」
「――ライン! お前か!!」

 ターバの言葉を遮って、もう1人のコラヤンが出てきた。
 向こうは3人とも仮面は着けていない。
 そのため、表情はまるわかりなんだが…………お怒り中だ。

 オレなんかしたっけな? 
 心当たりは……まったくの皆無だ。

「おいお前! これ以上妹に関わるな!」
「え、なんで?」
「お兄ちゃん! 師匠に対して!」
「ヤマルは黙ってろ! 俺はお前を心配してだな!」

 ああ、修羅場だ。ってか、師匠って…………間違ってはないけども!
 師匠って言われるとむず痒いんだよ。
 
 にしても、まじでシスコンだな、こいつ。重度の。精神科は……殴れば治るか?

『えーー、喧嘩は別でやってください』
「ちっ! いいか、たらし! この勝負で失格になったら金輪際ヤマルに近づくな!!」
「あーー、はいはい」

 それだけ言うと、コラヤン兄は去って行った。

「いいの? ライン? お兄ちゃん、結構強いよ?」
「あーー、大丈夫大丈夫」

 負ける気はしない。だってチーム戦だし。
 少なくとも、落ちなければいい。2つの意味で。

『えーー、では、早速始めましょう! 構えてください!』

 オレたちは覚醒し、オリハルコンを出す。
 ターバは双剣、オレは棍、【魔導士】は短杖ワンド(普段使わないくせに)。

 ヤマルたちも覚醒する。そして、角が伸びる。
 武器は、ヤマルが双頭槍、コラヤン兄が大剣、で、え~~……と、なんだっけ、グ……グ……あ! ゲラードだ。ゲラードは身長と同じぐらいの長さの杖。

 会場の周りを囲む騎士も覚醒している。

『では、始めましょう! 3……2……1……始め!!』

 その瞬間、コラヤン兄の大剣が飛んできた。

「おぅわ!!」
 
 間一髪で避けたけど! いくら真剣勝負とは言えども!

「殺す気……か!!」

 大剣の柄を掴み、投げ返す。狙ったのは相手3人の手前。
 土煙が舞い上がり、視界が遮られる。

「死なねぇだろうが!」

 再び大剣を持って距離を詰めてきた。
 あの大きさの大剣を右手一本で振り回すって、どんだけ怪力だよ。

「――『晶鎖』」

 バックステップで距離を離し、間に『晶鎖』を出す。
 斬ることはできない。斬られると、それに合わせて『晶鎖』も動くからだ。そして、そのまま武器に絡みつく。

 ――はずなんだが…………

「はあっ!!」

 ……斬られてしまった。大剣の圧倒的な質量とコラヤン兄の怪力により、ありえない速度が出る。

「こんなものか! ライン!」
「――『炎槍ブレイズランス』」

 オレたちの間を断つように、3本の『炎槍ブレイズランス』が飛んできた。
 放ったのは【魔導士】だ。

 そう、これはチーム戦。ターバはヤマルと戦っている。
 敵の頭は後衛型のため、ただ立っているだけのようだ。手助けも何もしていない。

「ちぃっ! 邪魔を……するなあ゛ぁ!! ――『飛撃』ぃ!!」

 まるで狂戦士バーサーカーだな。妹絡みだから、か?
 それとも、もともとこんなものなのか?

「――『土壁ウォール』」

 コラヤン兄の放った『飛撃』は、【魔導士】の『土壁ウォール』を砕いたが、同時に『飛撃』も霧散した。
 土煙と『飛撃』の欠片が舞い、視界の状態は最悪だ。

「――『竜巻トルネード』」

 ん? 竜巻か?
 と思ったが、横向き・・・の竜巻だった。凄まじい斬撃の嵐だ。

 その竜巻はコラヤン兄だけでなく、ゲラードも捉えている。
 射程はどれだけあるんだ? この闘技場の端っこまで伸びているが……。

「んだ? その魔法はぁ?」
「私独自の魔法ですよ。ああ、死なないから大丈夫大丈夫」

 竜巻だから吹き飛ばし効果もあるようだ。

「――くっ!」

 離れていたゲラードは回避できたが、近くにいたコラヤン兄は避けれず、食らってしまった。
 だが、吹き飛ばずに堪えている。体中に切り傷ができているが……軽すぎる?

 ああ、魔力で膜を作り、攻撃を緩和しているのか。だが、そう長くは保たない。

「ならオレの相手は――」
「――『飛撃』!」

 後ろを向くと、『飛撃』が迫っていた。棍を構え、打ち消すが、次に迫っていたのはコラヤン兄だった。

「抜け出したか!」
「そいつは頼みます! ――『飛行フライ』」

 【魔導士】はコラヤン兄をオレに押し付けると、空を飛び、ゲラードに迫った。

「はは! 見捨てられたか!」
「これがチーム戦だってこと、忘れたのか? 任されたんだよ!」

 …………多分。
 


  
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...