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いつまでも、君と 3

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 少女は、森の魔女の弟子だという。
 名前は、「お師匠様が、魔女の名前はトクベツだから、隠しておきなさいって」という理由で教えてはもらえなかった。
 魔女の弟子になったばかりの少女は、物心つかぬうちに両親と死に別れ、それをきっかけとして森の魔女に引き取られたのだという。少女自身にその記憶はないが、師匠である「森の魔女」から聞かされたらしい。ただ今魔女修行真っ最中なのだと、少女は誇らしげに語った。
 森の魔女はセレンが寄寓している城に、常に少女を引き連れてきた。森の魔女はセレンの母を診療している間、セレンの相手を少女にしてもらおうと考えたらしく、少女の方もまた「王子様」に興味津津といった様子だった。
 少女は人懐っこい性格で、セレンだけではなく、セレンの母ともすぐに打ち解け、良き話し相手になった。セレンの母も少女の気安さに心を解きほぐされたようで、時にはベッドから離れ、少女と中庭でお茶をしたり花を摘んだり、健やかな笑顔を見せる日が多くなっていた。
 母の病が一時的にでも快復したのは、セレンにも喜ばしいことだった。
 森の魔女にもその弟子にも、セレンは心から感謝していた。けれど会って間もない頃はまだ完全には緊張を解けずにいた。
「王子、見て見て! きれいでしょう?」
 ある日のことだ。少女は頬を紅潮させ、セレンの下に駆け寄ってきた。
「お母様に教えてもらったの、花冠!」
 少女が掲げて見せたのは、シロツメクサで作った花輪だった。
 森の魔女の診療のあと、少女はセレンの母を中庭へと誘い、そこでささやかなお茶会を開いていたらしい。セレンは勉学のため別室にいたのだが、休憩時には必ず母の様子を窺いに行っていた。私室にいなかったから、気にいりの中庭にいるだろうと足を向けたのだが、あたりだった。が、母はすでに中庭にいなかった。
 魔女の弟子に、母はどこへと尋ねると、お師匠様と一緒にご領主様のところに行きましたよと教えられた。お身体の調子は良いみたいですから、大丈夫ですと言下に少女は言う。森の魔女の弟子は妙に聡いところがあって、時折セレンを驚かせた。
「この花冠、王子にあげようと思ってつくったんです。王子に似合うようにって」
 言ってから、少女は背伸びをし、セレンの頭に作ったばかりの花冠を載せた。少女は黒眸に光を弾かせて笑う。
「王子ってば、お姫様みたい!」
「…………」
 褒め言葉のつもりで言ったのだろうが、セレンは複雑な気分で、困ったような笑みを返すしかできなかった。
 森の魔女の弟子だという少女に出会ってから、もう幾日が経ったろうか。両の手の指の数では足らぬほどには顔を合わせている。気安いのは、良い。むしろ気軽に接してくれるのは嬉しかった。だが、……――
「ねぇ、魔女のお弟子さん?」
 セレンは少女を呼ぶ時、名を知らぬゆえに、大抵は「君」で済ませていたが、何がしか頼みごとがある時は、もったいぶった呼び方をした。品のいい微笑み方は、王都にいた頃に教わったものだ。
「私のこと、どうして名前で呼んでくれないのかな? お弟子さんのように、名を隠してはいないのに」
 少女は不思議そうな顔をして、首を傾げた。
「だって、王子は王子だもの。みんな、そう呼んでるし」
「それは……」
 みんな、というが、少女が言うほど「みんな」は王子呼ばわりをしていないはずだ。だが城内で働く使用人らがセレンを「王子様」と呼んでいるのは知っている。面と向かっては言わないが、噂話をする時はそのように言っているようで、おそらく森の魔女の弟子は、それを耳にしたのだろう。
「もしかして、王子って呼ばれるの、いや?」
 少女は困ったような、心配そうな顔をして、セレンの顔を覗きこんだ。
 セレンは頷けなかった。イヤ、というわけではないのだ。それをうまく言葉にできない。
「わたしに、王子って呼ばれるの、いや?」
 意図してやっているわけではなかろうが、こんな時の少女はあざといものだ。小首を傾げて不安げに懇願する少女を、どうして無碍にできようか。
「いや、ではないけれど」
 と、セレンも答えざるをえない。
 このあざとさも、魔女の資質のひとつなのだろうか。そんなことを考えて、セレンは苦笑する。自然と口元がほころぶ、そんな笑い方をセレンは初めて知った。
 少女もまた笑みほころんだ。そしてセレンの両手を握って言った。
「わたしね、王子って呼ぶの、好きです。王子ってば、名前も顔も、全部とってもきれいで、王子ってぴったり……あ、そうそう、ふさわしいって感じで!」
 ふさわしい、という言葉が気にいったらしい少女は、何度も「ふさわしい」を繰り返す。王子という呼び方が相応しい、それなんです、と無邪気に笑う。
 未来の森の魔女は、素直で明朗な少女だ。言葉を飾らず、無垢な心でセレンを受け入れ、まっすぐに見つめてくる。なんの作為もない少女の優しさが、セレンの心に染みわたっていく。硬く閉じていたセレンの心が開き、解れ、そして鮮やかに色づいていった。

 セレンが森の魔女との思い出を語る時、亜麻色の瞳はやわらかい光に溢れ、満ちる。
「魔女殿と出逢って、私はようやく私自身を知った。魔女殿は、何のわだかまりも持たず、私をただのセレンとして見てくれたんだよ。王子ではない、私を。魔女殿も「王子」と、私を呼ぶのにね」
 セレンは肩をすくめて小さく笑う。困ったものだね、そう言いながらもセレンの亜麻色の瞳は優しさと愛おしさに満ち、陽の光のようなぬくもりがある。
「セレンとしての私の人生が、魔女殿と出逢ってようやく始まった」
 それがどれほど感動的な歓びだったか、わかってもらえるだろうと、と。
 セレンの口調は誇らしげですらあった。ハディスを説得しようとして森の魔女との出逢いを語り始めたのだろうに、セレンの口調にも表情にも気負った様子はもう見られなくなっていた。
 セレンが得た歓びを、ハディスは否定できなかった。理解したふりもできなかった。
 王都でのセレンをハディスは知らない。だが想像はつく。リマリック領にやって来たばかりのセレンは、ひどく無個性な、ただただおとなしいばかりの少年で、どこか人形めいた雰囲気があった。美しい容貌がゆえに、その表情のなさが際立ちもした。
 それが今ではどうだろう。
 ハディスでなくともセレンの変化に気づいたものは多かったろう。
 おおらかで気さくな人柄は、森の魔女との出逢いによって引き出されたものだった。
 森の魔女との出逢いがなければ、あるいは「セレン」という青年は存在しえなかったのかもしれない。
「魔女殿は、多くのものを私に与えてくれた。私自身の心、それすらも」
 魔女殿は、私の生命そのもの。私の人生のすべてだと、そう言いきってもいいと、セレンは笑みを含んで言う。それを聞けば、魔女殿は大袈裟だと呆れるかもしれないが、と。
「王子という身分、あるいは領主という身分の者の伴侶を選ぶのなら、やはりそれ相応の娘でなければならないだろう。その考えを否定はしない。そうして得られることも、育んでいけることもあるだろう。……けれど私は心を……魔女殿に愛を与えてもらった。与えてもらったその想いは、あだおろそかにはできない。それは王子であり領主である者には、必須の思いだと、私は考えている。失ってはならないものだと。だからこそ、私が生涯と心に決めているのはただ一人、魔女殿だけだ」

 ハディスは穏やかな口調で話を続けた。
「セレン様はこうも仰っておられました。……魔女殿と出逢えて生きる意味を得、幸福を知ったのだと。魔女殿から与えられた優しさや安らぎを、この領地……領民にも与えたい。それは国王陛下の意に適うことになるだろう。領民に平安を与えることが領主の仕事であるというのなら、私はそれを森の魔女とともに成してゆきたいのだと。それはセレン様の誠の、心からのお言葉だと、私は感じました」
 黒い双眸をハディスに向けたまま、森の魔女は感に堪えたように肩を震わせていた。目の端がねじわりと朱に染まっていく。
「セレン様にそのような思いを与えられた魔女殿に、私は領民を代表して御礼申し上げたい」
「そっ、そんなっ」
 ハディスに頭を下げられて、森の魔女は慌てふためいた。
「わ、わたし、そんな大層なことはしてません! いつも王子には何もしてあげられなくてって思ってるくらいでっ」
「ただ傍にいる、それだけがセレン様には何より嬉しいことなのでしょう」
「それは、そうかも、ですけど……」
 森の魔女はうろたえるあまり言葉が続かない。ハディスの言が嬉しくないわけではないが、あまりに意外すぎて戸惑いの方が勝ってしまう。
「魔女殿も同じ気持ちなのではありませんか? それとも、セレン様に何かして欲しいと願っておいでですか?」
「そんなことは!」
「私のごとき一使用人がセレン様のお気持ちを推し量るのは僭越なことと承知しておりますが、セレン様にとって魔女殿は心の支えとなっているはずです。幼馴染の気安さもありましょうが、セレン様にとって自身の価値を損なわないための、……そうですね、たとえるなら光源のような存在なのではないでしょうか?」
「…………」
「セレン様は領主たるにふさわしいお人でいらっしゃいます。この先も、そうであることを私は望んでおりますし、そのためにいくらでもお力添えをしようと思っております。そしで魔女殿、どうか貴方にもそうあれるようご協力いただきたいのです」
 ハディスらしい言い方だと、森の魔女は思った。ハディスはハディスなりに思考し、その結果、セレンと森の魔女の仲を認めてくれたのだ。
 よろしくお願いしますとハディスが言い、森の魔女もこちらこそと頭を下げる。そして森の魔女は微笑んでみせ、ハディスも表情を和らげてくれた。笑ってくれたように見えたのは、森の魔女の気のせいではなかったろう。
 森の魔女は、ハディスの思いを真摯に受け止めて、それからやっと心の緊張を解きほぐすことができた。なにより、ハディスがセレンを思いやる気持ちが、とても嬉しかった。

 その後、森の魔女はハディスとともに、セレンの居城へとやってきた。さすがにハディスはぬかりなく、先触れをトイン城に送っていたようだ。馬車の到着を待ちかねたように、城の主、セレンが自ら扉を開けて森の魔女を出迎えてくれた。ともに馬車から下りたハディスはその場で慇懃に一礼した。セレンは目礼で返し、それから森の魔女に手を差し伸べる。
「ようこそ、森の魔女殿」
 優麗な微笑みを向けられて、森の魔女は反射的に頬を染める。王子の笑顔がいつになくまぶしい。……いや、いつも麗しいのだが。
「リフレナスの姿が見えないね?」
「あ、リプは先に森の館に帰っちゃって。……その、ゆっくりしてこいって」
「そう」
 君の眷属は、いつでも気を利かせてくれるね、とセレンは笑う含みに言う。
「王子の不興は買いたくないって、言ってましたけど」
「なるほど」
 セレンは愉しげに笑い、そして優美な仕草で森の魔女を城へと誘った。森の魔女にとってセレンの居城は何度も訪問したことのある場所なのだが、今日はいつにもまして緊張していた。やっぱりリプについてきてもらえばよかったかな、とつい考えてしまう。リフレナスは固辞したろうが。
 どうしたことか、周りに使用人らの姿が見えなかった。もとより雇用人は多い方ではないが、それにしても視界に入ってこない。お茶の準備をさせているのだとセレンは言う。それだけではない気もしたが、森の魔女はあえて深くは追求しなかった。人目がなくて、ホッとしていたからだ。もしかしてこれもセレンらしい配慮なのかもしれない。
 歩きながら、その間にも森の魔女はさまざまに思いを巡らせていた。しばらくはセレンの話に相槌を打っていた森の魔女だったが、ふと、足を止めた。
「魔女殿?」
 先を歩いていたセレンがそれに気付いて振りかえる。
 森の魔女の大きな黒の瞳がセレンを見つめている。けれどその瞳は潤んでいた。眦が赤い。
「魔女殿」
「…………」
 大粒の涙がひとすじ、森の魔女の頬を伝った。セレンは眉をひそめ、どうしたのか問おうとし、けれどそれは森の魔女に遮られた。ほっそりとした腕が、セレンを抱いた。縋るような、とっさの抱擁だった。
「……キラ?」
 突然の抱擁にもセレンは動ずることもなく抱きしめ返し、耳元で秘された恋人の名を囁いた。
「王子、……セレン、ありがとう」
 ハディスから話を聞いた、とは言わない。けれど一言「ありがとう」と言いたかった。どうしてか泣けてしまって、セレンの顔を見たら堪え切れなくなった。
 セレンは「うん」とだけ応えて、森の魔女の豊かな黒髪に顔をうずめる。森の魔女の小さな身体は、セレンに腕の中に容易く閉じ込められてしまう。抱きしめる腕に力を込めれば、細腰が折れてしまいそうだ。森の魔女は爪先だっている。そしてわずかな隙間からちらりと顔をあげて、セレンを見る。黒の瞳は涙に濡れていたが、あたたかな微笑みがそこにはある。
「わたし、王子のこと、大好きです。王子と……セレンと会えてよかった」
「うん」
 セレンは微笑み返し、森の魔女の髪に口づけた。少しだけ腕の力を緩めて、今度は額に、そして濡れた瞼にも口づける。森の魔女の頬が朱に染まって、熱いほどだ。
「私も、君を想っているよ、もうずっと、キラ、君だけを」
「うん。……うん。わたしも、わたしもずっと」
 気持ちは伝えあっていたけれど、まだまだこんなにも伝えきれない想いがあったのだと、キラはこの時改めて知った。自分でも戸惑うくらいに、切なくなるほどに、セレンのことが好きなのだと。
 溢れた涙は、キラの想い、そのものだ。
 尽きることがなく、溢れてくる。

 どれくらいそうしていただろうか。
 セレンはずっとそうしていても一向に構わなかったのだが、落ち着きを取り戻したキラは涙を拭い、セレンから身を離そうとした。が、セレンの腕はキラの背を支えたままだ。
「す、すみません、あの……王子」
 離してくださいと、キラは困ったように言うが、セレンは腕を緩めようとしない。
「さすがにこのままでは、あの、……」
 さすがに恥ずかしいとキラは耳まで赤くしている。
「だめ」
 そんなキラに、セレンはすげなく応える。艶然と微笑んで。
「だめって、そんな」
「無理」
「無理って、王子ってば」
「離し難いんだ、これは仕方ない」
「いやもう、何が仕方ないんですか」
 領民たちの前では取りすましているセレンだけれど、キラの前ではひどくこどもっぽい表情を見せる。困った、なんて言いながらも、実のところキラはそれが嬉しくもある。……気恥しさはまだ抜けないけれど。
 キラはなんとかセレンの腕の中から逃れようともがいてみるのだが、本気の抵抗ではない。この他愛無いやりとりが、ほんの少し楽しかったりするのも本音なのだ。
「君が可愛いのがいけない」
「そんなこと言われてもっ」
 セレンは悪戯っぽく笑って、まだ涙の名残のあるキラの眦に口づけた。
「その涙の原因は、私なのでは?」
「そんなことは……えぇっと、なくはないですけど、でも違うというか……」
 セレンの囁きにキラは慌てて首を横に振った。けれど、王子のせいではありませんとは言い切れなかった。でも悲しい涙ではないのだ。それだけは伝えなければと、キラはセレンを見つめ返す。
 キラを見つめるセレンのまなざしはあたたかなもので、不安げな色はない。だからきっと、言わずとも察してくれたのだろう。
 少しホッとして、キラは額をセレンの胸に押し当てた。これ以上セレンの麗しい亜麻色の瞳に見つめられたら体中が沸騰してしまう。
「……やっぱり、王子のせい、かも、です」
 呟いたキラの小声を、セレンは聞き逃さない。
「うん。だから」
 くすっと、セレンが小さく笑う。
 セレンは再びキラを抱きしめる腕に力を込めた。キラは抗わず、身を寄せた。
「君を泣かせてしまった責任をとらせてほしいな。……一生をかけて、ね」
「王子ってば、もうっ」
 冗談めかしてセレンは言うが、本気の言葉だと、キラも理解していた。照れくさくて、よろしくお願いします、なんて素直には返せなかったのだけれど。
「キラ」
 ややあってから、セレンはようやくキラの身体を離してくれた。
「今日は、来てくれてありがとう。君に、とても会いたかったから、本当に嬉しいよ」
 こういう時、セレンは素直すぎるほど素直に気持ちを告げてくれる。飾り気のないセレンの言葉はまっすぐに心に届く。
「さあ、茶葉が蒸されすぎないうちに、庭へ行こうか、キラ」
 差し出されたセレンの手を、キラは素直にとった。
 春には及ばないが、この季節でも城の中庭には様々な花が咲いている。森の魔女のお気に入りの場所でもある。セレンにとっても思い出の多い場所だから手入れは欠かさない。
「王子、わたしハディスさんにお礼を言いたいんですけれど」
「うん。それは夕食後にでも。今夜はゆっくりしていけると聞いたから」
 当然、泊っていくものだと、セレンは了解していた。キラはちょっとばかり驚いて目を見開く。急なことだし、部屋を用意してもらうは申し訳ないのだけど、といえば、セレンは「心配はいらないよ」としたり顔で言う。部屋を用意する必要はないと使用人らは了解しているからね、と。
「君が居るべき場所は、私の部屋以外ないからね」
「……なっ」
 ずいぶんと前の話だが、トイン城に森の魔女の部屋を作っておこうかとセレンが提案したことがあった。森の魔女はすげなく断ったのだ、そこまでしてもらう必要はないと。その話を持ち出されて、キラは顔を赤くして抗弁する。今と昔では事情が違うし、客室と私室では全然違う。どう言ったところで、セレンにからかわれるだけだ。
「もちろん、君が心底迷惑だというのなら、考え直さないでもないけれど」
「もうっ、王子ってば、そうやってしょんぼりした顔して見せればわたしが折れるって思ってるでしょ」
「うん」
「あっさり認めないでくださいってば」
「あっさり折れそうなことしか、私も言わないよ?」
「王子ってば……なんかもう、ずるい……」
「君ほどではないよ」
 セレンは相好を崩し、愛しげにキラを見つめ返す。取り繕わないセレンの笑顔は、おそらくキラにだけ向けられるものなのだろう。
「わたし、一生セレンには敵わないんだろうなって気がしてきました……」
「奇遇だね、私もだよ。私も、君には一生敵わないと思っている。もう、ずっとね」
「……気が合いますね」
「想い合う仲だからね、私達は」
「…………」
「否定しない?」
「しません。……もう、ほんとに」
 セレンには敵わないし、きっとこれが惚れた弱みというものなんだろう。そしてたぶん、セレンも同じことを思っているはずだ。……そんな表情かおをしている。キラと同じように。嬉しくて、幸せ、という。
 手を繋いで歩き、笑いあって、軽口を交わし合う。たったそれだけの事が、二人の心を癒し、満たしていくのだ。
 いつまでも、ずっと。
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