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第十章:力を求めて
157.追放者復讐戦 4
しおりを挟む強化を受けた連中が、陣形を乱すことなく突っ込んで来る。
勢い任せで見るからに戦いに不慣れな姿勢だ。
だがすぐ後ろの数人は、身を低く屈めながら何かを仕掛けようとしているように見える。
クエスト報酬よりも、女からの報酬で仲間になったか。
地面に何が施されているかこの際気にせず、向かって来る連中に向かって歩き出した。
拳で攻撃されると思い込んでいる連中だったが、おれの手には両手剣。
驚きの表情を見せつつ、構わず一斉に剣と槍を頭上に掲げ出した。
その意気を買って、手加減はしないことにする。
『おおぉぉぉ……!! くたばれ、化け物!』
『おらぁっっ!!』
『両手剣の鈍さに負けるかよ!』
武器と武器の衝突が開始された。
それと同時にフィーサを軽く振った出始めの攻撃によって、連中の片手剣と槍はことごとく破壊。
武器を手にした連中はその場に崩れ落ち、戦意を喪失させた。
連中の間を抜けると、そこには数人のバウンティハンターが待ち構えている。
手にしているのは、色濃い毒を塗られた短剣と鎖のようなもの。
『よしっ! やれ!! 化け物を封じんぞ』
『任せろ!』
猛獣のように長い髭をだらしなく伸ばす恰幅のいい男が、鎖持ちの男に指示を出す。
指示を受けた長身で痩せ気味の男は、鎖をジャラジャラと振り回し、おれを目がけて放って来る。
避けることも出来たが、あえて引っかかることにした。
『よっしゃぁ!! これなら逃げられねえ。お前らも一斉に短剣を突き刺しやがれ!』
これはいい連携だ。
寄せ集めの連中とは、比べ物にならない戦法のようだ。
鎖持ちの男を除いた男たちが、身動きの取れないおれに向かって毒付きの短剣を向けて来る。
これも受けた所で問題は無いが、ルティたちが暴走しかねない。
力の差を見せつける為に、地面を殴って地中に沈めることにした。
鎖で両腕が使えなくされていたが、一斉にかかって来たのを見計らって鎖を引きちぎった。
「さて、と……。あんたらに怒りは無いが、大人しく沈んでもらう」
「けっ、強気で何をほざ――けっ!?」
「う、うああああああああ……!!! お頭ぁ、し、沈んじまううううう!!」
「な、何……だっ、これはああああ!? でたらめすぎんぞ、こんなああぁぁぁぁぁ!!」
「ひっっ、ひいぃぃぃぃぃ!!」
剣と槍持ちの連中よりも明らかに殺傷力のある攻撃を仕掛けて来たので、相応の手段で地面に穴を開けた。
自分を含めた一帯には、深くて広い穴が出現。
鎖持ちの男と短剣持ちの男たちは、脱出が厳しい穴底に落ちた。
おれに向けていた殺意も沈み、悲観をしたらしく戦意を完全に失ったようだ。
「……悪いな。あんたらも殺しはしないが、ここで反省でもしててくれ」
「ま、待ってくださいいいいいい!!」
「お助けををを~!」
武器を失い、どうにも出来ないことを悟った男たち。
彼らをよそに、風魔法で地上へと飛び上がる。
一瞬地上に目をやると残っているのは、ヘルガただ一人と後方にいる彼女たちだけだった。
おれに切り傷をつけた得体の知れない連中の姿は、見えていない。
地面に降り立つと、ヘルガからは黒い気配のようなものを感じた。
獣化の時に戦った時と大して力が上がった感じでは無く、まともに相手をすればまた吹き飛ばしてしまいそうだ。
だがこの女の影を見る限り、利用されているだけのような感じにも思える。
まずは近付いて話を聞く。
それからどう戦うのか、見極めてみるとする。
そうすれば、得体の知れない連中が姿を現わすはずだ。
「ヘルガさん。後はあんた一人だけだ。それでもおれに復讐するつもりか?」
「……う、うるうるる、うるさい! ヴィ、ヴィレムさえいれば、てめぇなんか……!!」
「おれは確かに昔追放された者ではあるが、あんたに追放されたわけじゃないんだが? 追放連合と言っていたが、あんな寄せ集めでクエスト依頼をしたら駄目だと思うぞ」
「あ、あん、あんなあんな……連中じゃない! Sランクのあたしよりも、つよ、強い奴らが――」
何か様子がおかしい。
呂律が変だし、目がどこを見ているのか定まっていないようだ。
やはり何者かに傀儡されての行動としか思えないし、見えない。
後ろのルティたちも、どうすればいいのか戸惑っている。
「イスティさま。足下に何か来る!」
「――!」
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