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第3話 ほら、痛くない
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……神々と夕飯を食べ終え食器を洗い終わった俺は、今度こそちゃんとした理由を訊こうと居間へ戻る。
すると神たちの姿はなく、そこには適当な武器が部屋の床一面に散らばるウェポンルームに変わっていた。
神の間は神の気まぐれか、それともからかいなのか分からないが、いつでも自由に変えられるようだ。
「……いくらダンジョンで武器が欲しいって思ったからって、ありとあらゆる……それこそ手当たり次第の武器を集めてどうしろっていうんだよ」
「うん。私もそう思う」
「だよなぁ……って、みこ様!? え、なんで?」
なぜダンジョン内にみこ様が?
もしやダンジョンを作った神様なのか?
「違う。ダンジョンはおじいちゃんの担当。だけど、元々ここはダンジョンが先にあった異世界の大地。少し手を加えただけでいじってない」
「なるほど」
最初から姿を見せるならそう言って欲しいぞ。
「ひとしを甘やかしたいって言ってた」
「だから武器だらけの部屋を?」
みこ様は静かに頷いた。
それにしてもみこ様を失礼ながら観察させていただくと、背丈はそれほど高くなく、それでいて名前のとおりの巫女装束を着ている。
髪型はイメージと違って黒髪ではなく銀髪。巫女ではなく神だから髪の色は関係なさそうだけど。小顔効果があるとされるショートヘアだが、元から顔が小さいから可愛さが際立っているだけだな。
ナチュラルメイクまでしていて、神と思わなければ可憐な少女にしか見えない。
「お世辞?」
「えっ?」
心の中でも覗かれたかのように、みこ様は俺をじっと見つめている。
「ひとしの感想が可憐な少女」
「あ……あぁ、心の中もプライバシーはないのね」
「ひとしが変な想像してたら見れないし拒む。でも、嬉しいのは自然に見える」
変な想像ってそんな失礼な。
「で、この武器はどれでも使っていいのか? 全くの素人だけど……」
「じゃあ試していい」
今が朝なのか翌日の昼なのか不明だが、一緒に夕飯を食べたおかげか少しだけくだけてきたか?
「あぁ、じゃあ足下の大剣を――」
そう言ってすぐ足下に見えている重そうな大剣を拾おうとすると、ザクッ……という、擬音にすれば多分そんな音がしてもおかしくない短剣が俺の腕に振り下ろされていた。
「いっ――たくない? 痛くない……だと!?」
いやしかし、中にはギザギザなのこぎりのような武器も見えていて見るからに痛そうなんだが。
「あ~、みこ様にお願いがありまして。そこに落ちてるのこぎりで俺を……」
どうせ痛くないゴム製だろ。腕まくりしておくか。
「地獄に行きたい願望?」
「えっ、まさか本物ののこぎりですか?」
「……とりあえず、ひとしが希望してるから切ってあげる」
おいおいまさかの本物が紛れてた?
「ちょっ、まっ――!」
もし本物ならシャレにならないし痛いのは勘弁して欲しいし、怖すぎて思い切り目を閉じてしまったぞ。
直後、ふにゃっとした感触が腕に感じられる。
「……ほら、痛くない。全部偽物のレプリカでゴム製。痛い方がどうかしてる」
「痛……くない、な」
神にすっかりとからかわれたうえ、中々に辛辣なお言葉を頂いた。
「これって何のためなんだ?」
「ひとしが武器が欲しいって言ったからおじいちゃんが願いを叶えた。それだけ」
「いやっ、欲しいって思ったけど、傷つかない武器に何の意味があるんだ? せめて魔物には有効ダメージがある武器を所望するぞ」
そういや、異世界に来てダンジョンにいて魔物と追いかけっこまでしてるんだから、そろそろ魔法をぶっ放す時間がきてもおかしくないよな?
「ところで今後もダンジョンに行かせるなら魔法を……」
格安物件にダンジョンがセットになってるんなら、いくら神の加護があってもいずれケガを負ったり命の危険性も高まる。
そうなる前に少しでもリスクを回避しておきたい。すでに不思議な力を見せられているし、平凡な人間にも魔法を使えるようにするくらいは可能なはずだ。
「ひとしは今まで独身でぼっち。お金にだらしなくて、なぜか仕事だけは真面目にやってきただけの人。そんな人がこんな初めから魔法を使ったら、きっと自分で何とかしようと思わなくなる。だから、駄目」
みこ様、厳しいご意見ありがとうございました――じゃなくて!
独身ぼっちは余計なのでは?
「……大丈夫。ひとしには私たちがいる」
そう言うと、みこ様は自信たっぷりな表情を見せ、口角を上げながら微笑みを見せた。
「うん? 神のご加護を受けられるって意味だよね?」
「分からない?」
「加護以外でって意味ならちょっと思いつかない……」
「そう……それは残念。ひとし、どれか使いたい武器を手にして部屋の中央に立って」
何だか申し訳ないって思うくらい、みこ様が落胆している。しかもゴム製の武器を手にして真ん中に立てとか。
まさかゴム製の武器でダンジョンに落とすんじゃないよな?
そんなスパルタなはずはないと信じながら、端の方に埋もれている片手の武器を手にした。一番輝きを放っている武器なら、魔物への目くらましくらいになるだろ。
右手でそれを持ち上げると、今まで持った中で一番の重量感があった。
「え、今度こそ本物?」
期待を持ちながら部屋の中央に立ってみこ様の反応を待つと、それまで立っていた場所にみこ様の姿がなく、俺だけポツンと残されていた。
……本当に気まぐれな神様だな。
そう思ったのも束の間――元々存在しなかったであろうウェポン部屋が、まるで真下にとてつもない強力な掃除機でもあるかのように、大穴の中へと吸い込まれていく。
ぬおおおお!!
今度は穴の中に落とされるのかよ~!
ボロボロのアパートでもいいから自分の部屋でゆっくり休みたいだけなのに、神々の試練とでもいうかのように、俺はまたしてもダンジョンへと落とされた。
すると神たちの姿はなく、そこには適当な武器が部屋の床一面に散らばるウェポンルームに変わっていた。
神の間は神の気まぐれか、それともからかいなのか分からないが、いつでも自由に変えられるようだ。
「……いくらダンジョンで武器が欲しいって思ったからって、ありとあらゆる……それこそ手当たり次第の武器を集めてどうしろっていうんだよ」
「うん。私もそう思う」
「だよなぁ……って、みこ様!? え、なんで?」
なぜダンジョン内にみこ様が?
もしやダンジョンを作った神様なのか?
「違う。ダンジョンはおじいちゃんの担当。だけど、元々ここはダンジョンが先にあった異世界の大地。少し手を加えただけでいじってない」
「なるほど」
最初から姿を見せるならそう言って欲しいぞ。
「ひとしを甘やかしたいって言ってた」
「だから武器だらけの部屋を?」
みこ様は静かに頷いた。
それにしてもみこ様を失礼ながら観察させていただくと、背丈はそれほど高くなく、それでいて名前のとおりの巫女装束を着ている。
髪型はイメージと違って黒髪ではなく銀髪。巫女ではなく神だから髪の色は関係なさそうだけど。小顔効果があるとされるショートヘアだが、元から顔が小さいから可愛さが際立っているだけだな。
ナチュラルメイクまでしていて、神と思わなければ可憐な少女にしか見えない。
「お世辞?」
「えっ?」
心の中でも覗かれたかのように、みこ様は俺をじっと見つめている。
「ひとしの感想が可憐な少女」
「あ……あぁ、心の中もプライバシーはないのね」
「ひとしが変な想像してたら見れないし拒む。でも、嬉しいのは自然に見える」
変な想像ってそんな失礼な。
「で、この武器はどれでも使っていいのか? 全くの素人だけど……」
「じゃあ試していい」
今が朝なのか翌日の昼なのか不明だが、一緒に夕飯を食べたおかげか少しだけくだけてきたか?
「あぁ、じゃあ足下の大剣を――」
そう言ってすぐ足下に見えている重そうな大剣を拾おうとすると、ザクッ……という、擬音にすれば多分そんな音がしてもおかしくない短剣が俺の腕に振り下ろされていた。
「いっ――たくない? 痛くない……だと!?」
いやしかし、中にはギザギザなのこぎりのような武器も見えていて見るからに痛そうなんだが。
「あ~、みこ様にお願いがありまして。そこに落ちてるのこぎりで俺を……」
どうせ痛くないゴム製だろ。腕まくりしておくか。
「地獄に行きたい願望?」
「えっ、まさか本物ののこぎりですか?」
「……とりあえず、ひとしが希望してるから切ってあげる」
おいおいまさかの本物が紛れてた?
「ちょっ、まっ――!」
もし本物ならシャレにならないし痛いのは勘弁して欲しいし、怖すぎて思い切り目を閉じてしまったぞ。
直後、ふにゃっとした感触が腕に感じられる。
「……ほら、痛くない。全部偽物のレプリカでゴム製。痛い方がどうかしてる」
「痛……くない、な」
神にすっかりとからかわれたうえ、中々に辛辣なお言葉を頂いた。
「これって何のためなんだ?」
「ひとしが武器が欲しいって言ったからおじいちゃんが願いを叶えた。それだけ」
「いやっ、欲しいって思ったけど、傷つかない武器に何の意味があるんだ? せめて魔物には有効ダメージがある武器を所望するぞ」
そういや、異世界に来てダンジョンにいて魔物と追いかけっこまでしてるんだから、そろそろ魔法をぶっ放す時間がきてもおかしくないよな?
「ところで今後もダンジョンに行かせるなら魔法を……」
格安物件にダンジョンがセットになってるんなら、いくら神の加護があってもいずれケガを負ったり命の危険性も高まる。
そうなる前に少しでもリスクを回避しておきたい。すでに不思議な力を見せられているし、平凡な人間にも魔法を使えるようにするくらいは可能なはずだ。
「ひとしは今まで独身でぼっち。お金にだらしなくて、なぜか仕事だけは真面目にやってきただけの人。そんな人がこんな初めから魔法を使ったら、きっと自分で何とかしようと思わなくなる。だから、駄目」
みこ様、厳しいご意見ありがとうございました――じゃなくて!
独身ぼっちは余計なのでは?
「……大丈夫。ひとしには私たちがいる」
そう言うと、みこ様は自信たっぷりな表情を見せ、口角を上げながら微笑みを見せた。
「うん? 神のご加護を受けられるって意味だよね?」
「分からない?」
「加護以外でって意味ならちょっと思いつかない……」
「そう……それは残念。ひとし、どれか使いたい武器を手にして部屋の中央に立って」
何だか申し訳ないって思うくらい、みこ様が落胆している。しかもゴム製の武器を手にして真ん中に立てとか。
まさかゴム製の武器でダンジョンに落とすんじゃないよな?
そんなスパルタなはずはないと信じながら、端の方に埋もれている片手の武器を手にした。一番輝きを放っている武器なら、魔物への目くらましくらいになるだろ。
右手でそれを持ち上げると、今まで持った中で一番の重量感があった。
「え、今度こそ本物?」
期待を持ちながら部屋の中央に立ってみこ様の反応を待つと、それまで立っていた場所にみこ様の姿がなく、俺だけポツンと残されていた。
……本当に気まぐれな神様だな。
そう思ったのも束の間――元々存在しなかったであろうウェポン部屋が、まるで真下にとてつもない強力な掃除機でもあるかのように、大穴の中へと吸い込まれていく。
ぬおおおお!!
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