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第1章:目覚め
第4話 カラスの思惑
しおりを挟むヘルヴィと合流を果たしたのでここでのことが解決出来そう。道を探しに行っていたラフォリも丁度良く戻ってきたので、まずは話を聞くことに。
「ハドリーさん、何とか戻れそうな道を見つけました! ――あれ、こちらは?」
ラフォリが戻ってきたタイミングで、ヘルヴィはすっかり人の姿に戻っている。
フクロウの姿は飛ぶ時だけみたい。
「ええと、私の――」
「ハドリー様はわたくしの大切な仲間です」
「そうなんですね! 初めまして、わたしはラフォリと言います」
仲間かぁ。言われるのは嬉しいはずなのに、まだそんな資格は得られてないのが現状かな。
「それではラフォリ。あなたとはここでお別れね。また会えるかしら?」
手を交わした以上、放っておくわけにはいかない。彼女のことは把握しておかないと。
「もちろんです! 恩人のハドリーさんですから。セラドに訪れて頂いても歓迎しますよ!」
ヘルヴィはあまりいい顔をしてない。
私のことを気安く呼んでいるラフォリが気に入らない感じに見える。
「それとですね、調べてみたらここから故郷まで遠くないので、久しぶりに故郷に戻ろうと思います」
「あら、そう? また会えたらいいわね」
ラフォリは深く頭を下げて、そのまま深い森の中へ入って行く。
たまたま森に転移して来たのが功を奏したようだ。
「……アリーア様。そろそろ城へ戻りましょう」
「うん」
イグロニア居城へは、森から転移ですぐに戻って来られた。
戻った先は最初に目覚めた寝室で、そこで待っていたのはカラスのカーグだった。
「待っていたぜ、陛下」
私を見るやすぐにひざまづくものの、態度は相変わらずチャラい。
言葉遣いまでは強制しないけど、ヘルヴィと比べると何となく腹が立つ。
「アリーア様。カーグは元からこの程度でございますので、どうかお気になさらず」
「そ、そうなんだ」
「わたくしは玉座の間に戻り、次なる書物をお持ちいたします。アリーア様はこちらでお休みください」
転移しても疲れは感じない。
それでも外に出て慣れない環境とエルフとの関わりがあったことで、少しくつろぎたい気分。
そんな気持ちがあったから寝室に転移して来たのかも。
「そういえばカーグは今まで何をしていたの?」
玉座に案内してくれたのはヘルヴィで、その時からカーグはどこかにいなくなっていた。
「そりゃあ、イグロニアの留守に決まってますぜ。陛下のおかげで災難から防げたはいいけど、陛下とヘルヴィがいなくなっちまったんで、防御が不安定になりましてね」
「カーグが城の守りを?」
長いこと強い力で守って来たって意味なのかな。
「いやぁ、目覚めたての女王様と、城の老朽化がいっぺんに来ちまったもんで」
ラスボス女王としての力もまだろくに出してもいないし、居城の老朽化が起きていても不思議じゃない。
「あ、そうなんだ」
「つっても、気にすることじゃねえぜ! 陛下がこれからやりたいことを繰り返してさっさと最強のお力を示してくれりゃあ、この城もオレも外に出られるってわけで!」
最強のラスボス女王……転生したてで実感わかない。
だけど力を見せつければ、配下の魔物たちも強さを増すって意味なのかな。
カーグはともかく、城も外に出るとか意味が分からないけど。
ヘルヴィが常にそばにいるし、彼女と行動していればすぐに出来そう。やりたいことはたくさんあるとはいえ、まずは異世界知識を増やさないと。
「そんじゃ、陛下。期待してるぜ!」
カーグは気を利かせて寝室から出て行った。いなくなったことで、ようやくふかふかなベッドに飛び込む。
そのまま誘われるがままに、眠りについた。
しばらくして、耳元でささやく声が聞こえて来ると同時に気持ちも良くなって来た。
「カラスには油断なきよう……。わたくしはアリーア様から離れることなどあり得ませんが……」
うーん……。
ふかふかでボリューム感があるような、何とも言えない柔らかさ。
「ア、アリーア様、そ、そろそろお目覚めを」
「あれっ? 夢……じゃなくて、ヘルヴィ? いつの間に寝てたんだろ」
目を覚ますと何故か横にヘルヴィがいて添い寝をされていた。
フクロウでもある彼女の羽毛が何とも柔らかく、気持ちが良かった。
「アリーア様。こちらが次の書物でございます。どうぞお持ちください」
「これを読めば、この一冊はもう読まなくていいんだっけ?」
「さようでございます。その書物に、アリーア様のこれからが示されているはずです」
最初に読んだ本はすでに役目を終えて消失。
そうなるとこの本からが本格的な知識の攻略本ということになる。
さっそく読んで自分のスキルにしよう。
そうすれば、にわかなゲーム知識が本当の知識に変わっていくはず。
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