OLでしたが、ラスボス女王に転生しました~にわかゲーマーだけど『攻略本』スキルを使って、気ままに異世界満喫します

遥風 かずら

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第1章:目覚め

第5話 ラスボスの片鱗

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「アリーア様。スープをどうぞ」
「ありがとう! あちち……」

 スープといっても塩が強めのお湯といった感じで味気ない。
 魔物たちと味覚が違うのは仕方ないとはいえ、でも転生前の料理は求めたいところ。

 こればかりはいくら攻略本でも得られないか。
 駄目元で適当にページをめくると、

【『シードラゴンの肉』は海竜種のテール肉で美味である。ただし滅多に姿を見せることが無い為、魔物の間では極上の肉として有名。生息地は絶海孤島海域である】

 ええっ? 肉の知識が出たんだけど……。
 もしかしてこの攻略本――私が望む答えを瞬時に判断してくれたり? 

 それにしても絶海孤島の海域かあ。それにテールって確か尻尾のことだよね。
 どんな味か全く想像出来ないし、食べるにしても悩んじゃうな。
 そんなことを思いながら頭を抱えていると、

「アリーア様。どうされましたか?」

 心配そうな表情でヘルヴィが顔を覗かせる。

「ええと、この近くに海竜がいるみたいなんだけど~、その肉が気になるなぁと」
「それでしたら捕獲して今夜のご馳走としましょう!」

 私が言ったことに反対も疑問も浮かべずにあっさり決めるなんて。
 でも簡単に捕獲出来るならやってみたい。そうじゃないと食べる時に毎回悩みそうだし。

「どうやって捕獲をするの?」
「アリーア様のお力をお示しになれば海竜はすぐに見つかります。そのうえで調達をすべきかと」
「力を示す……?」

 私の力というと目覚めてすぐに誤爆した炎魔法と、攻略本で得られる新しい知識くらい。
 この世界のことを知らなくても力さえ示せば、魔物は簡単に倒せる感じだろうか。
 カーグ以上にヘルヴィも強そうだし、分からなかったらやってもらおう。 

「それじゃ、ヘルヴィに力の手本を見せてもらおうかな?」
「アリーア様。おそれながら、わたくしは戦い方を存じておりません。ですのでアリーア様がお手本を示して頂ければ、次からは同じように調達出来ると思います」

 戦い方を知らない?
 あれだけ強さを垣間見せているのに、力は強くても戦ったことが無いなんて。
 
 私がやることって、親鳥が見本を見せるのと似た感じになりそうな気がする。
 そういえばこの本は玉座の間に戻さないのかな。
 
「ヘルヴィ。この本って……あれ?」

 海竜のことを読み終えてそのまま手に持っていたのに、気付いたら本が消えている。どこかに置いた覚えも無いのにどこへ行ったのだろうか。

「どうされました?」
「さっき手にしてた本が消えてしまったんだけど、どこに行ったのかなって……」

 勝手に魔法が発動して玉座の間に戻ったとも考えにくいし、かといって気を利かせてヘルヴィが保管しているとも思えない。

「それでしたら、不可視化となってアリーア様に潜在しているかと思われます」
「潜在?」
「書物はアリーア様のスキルそのもの。必要に応じて顕現し、そうでない時は内に潜みつつも存在はしていることを意味します。それゆえ、"形"として見せる必要は無いのです」

 ――なるほど。
 確かにスキルはいちいち持ち運ぶものでは無いし見せるものじゃない。
 そういうことなら便利かも。にわかなゲーム知識がスキルになったけど、慣れれば自ずと見えてくるものがありそう。

「あっ、外に転移する時は玉座にいなきゃだよね?」

 玉座に座っただけで世界中の風景を見ることが出来た。あれなら行きたい所にすぐ飛べるだろうし、何が起きているのかも判断しやすい。

「知らない場所に行く際には必要ございます。ですが、一度でも転移された場所は玉座におられずとも飛べるはずです。それに海竜がいるのはこの海域ですので、目を閉じればすぐに行けます」

 イグロニアの海域なら一度上空に浮かんだし、意識しなくても飛べるか。

「海の真上でどうすれば海竜を見つけられるのかな?」
「海竜、いえ海の魔物のほとんどは、苦手とする気象の時じっと身を潜めているものです。その属性で挑まれてしまえばよろしいかと思います」

 海の魔物の苦手属性というと雷が思い浮かぶ。
 そうなると雷魔法を放つだけ。
 でも範囲を狭めたとしても、関係無い魚まで浮かんできそう。

「……うん、やってみるしかないかな!」

 他の海域まで影響を及ぼさないように範囲限定に。
 海竜が見つかり次第、尻尾をめがけて真空の刃で切れ目を入れる……。
 魔法詠唱なんていらないだろうけど、ヘルヴィに見せてあげないと。

「……えいっ!!」

 分からないなりに両手の動きをつけて、水を思いきりすくうような感じでやってみた。
 すると、辺り一帯の海水が一瞬にして干上がり、行き場を失った海竜の姿をすぐに捉えることが出来た。

 ドンッドン。といった海竜の暴れる振動が鳴り響く。

「お見事でございます」

 面積の広い尻尾に風切りの魔法を放つ。
 命中したかは何とも言えなかったものの、切り口が出来た尻尾に気付いたヘルヴィがすぐに回収しに行ってくれた。

「――っと、もう戻しても良さそうかな」

 ヘルヴィが尻尾部分を軽々と手にしながら上空に戻って来た。その時点で魔法を解除。
 その直後、何事もなかったかのように海は元通りの姿に戻った。

「おそれながら、アリーア様。わたくしでは海を干上がらせることは困難でございます。ですが、力をつけたら挑んでみたいと思います」
「えっ?」
「そのお力こそラスボスと称される最高の魔法力! その片鱗を間近でお見せ頂けるなんて、わたくし……うぅっ、感涙の極みでございます」

 軽くイメージしただけなのにまさかヘルヴィが泣くほどの力?
 でもこれで極上のお肉が確保出来た。食事を済ませたらもっと頑張って知識を得ようかな。
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