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仕事開始
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俺の後をとてとてと子犬のように着いてきた夜月は、一緒に顔を洗い、歯を磨き、今はキッチンを挟んだカウンターに椅子を持ってきてじーっと観察している。
「いい匂い。」
「もうすぐできるよ。
あ、ごはん運んでくれない?」
「おう。」
意外と聞き分けがいい夜月。
頼むと文句も言わず手伝ってくれる。
「ねぇ、みんな起こした方がいいかな?
まだみんなのスケジュール知らなくて、、」
「自分で起きるだろ。」
「ほんとに?」
大丈夫かな、、不安ではあるがさっさと食おう。と席について見つめてくる夜月に折れて俺も座った。
「「いただきます。」」
「、、、うま。」
思わず溢れ出たような声にほっとする。
口にあったみたいで良かった。
昨日の残りの味噌汁と少しのおかず、白ご飯、それだけでは足りないかと思い焼き魚も作った。
「「ご馳走様でした。」」
ほぼ同時に完食したので一緒に唱えた。
片付けて着替えのため、また2階へ上がる。
「夜月は今日仕事?」
「あぁ。でも夕方からだった気がする。」
「気がするって、」
「後でスケジュール見れるだろ?教えて。
じゃ。」
そう言って自分の部屋へと入っていく夜月。
ちなみに夜月はお隣さんだった。
隣だから間違えたのかな。
結局何で俺の部屋で寝ていたのかよく分からなかったなぁと考えながら自分の部屋へ入りフォーマルで動きやすい格好に着替える。
歯磨きや髪を整えたりと身支度を済ませ、斜めがけカバンにもらった書類を入れて部屋を出た。
ちなみに斜めがけのカバンが良いと佐々木さんが昨日アドバイスしてくれたのだ。
きっと動きやすいからだろうな。
1階に下りてソファに座り、佐々木さんの迎えを待つ。
思ったより早く準備が進み、時間までまだあるな。とスマホを確認していると、急に着信が入った。
プルルルル、ピッ
"はい、冴島です。"
"あ!咲夜さん!おはようございます。"
"おはようございます。"
"あと30分ほどで着くと思います。
ちなみに陽稀さんも準備終わっていますか?
咲夜さんと一緒に迎えに行く予定なのですが。"
「え!そうだったんですね!
まだです。すぐ起こしてきます!」
"はぁ、、、すみません、お願いします。ではまた後ほど。"
「はい。ありがとうございます。
気をつけて来てくださいね。」
ピッ
はぁ、、、佐々木さんと同じ深いため息をついてまた2階へ向かう。
隣が夜月だったって事は夜月の部屋の向かいが陽稀の部屋だな。
コンコンッ
コンコンッ
コンコンッ
「陽稀さん?開けますよ?」
何度ノックしてもなんの音沙汰も無いので、声をかけてドアを開ける事にした。
奥のベッドの上に塊がある。
あれが陽稀だな。
近づくと、スースーと規則正しい寝息が聞こえてくる。
気持ちよさそうに寝ているとこ申し訳ないけど、、
「陽稀さん!朝ですよ、起きてください。
あと30分で迎えが来ます。」
声をかけても反応が無いため、ゆさゆさと塊を揺らす。
、、、「んんぅ、、ふぁ、、、ん?」
「陽稀さん!!朝です!!起きて!!」
先程より大きな声をかける。
「、、、ん?なんじ?、、ふぁ、あ、やばっ!!」
のんびり伸ばした手に握らせたスマホを確認すると、やっと覚醒したのか飛び起きた陽稀。
びっくりした、、
焦りで覚醒した陽稀は高速で顔を洗いに行き、俺に気づいてないのか大胆に服を脱いで着替え始めた。
「わっ、下で待ってるので着替えたら来てくださいね。
時間があったら朝ごはん食べてください。」
「朝ごはん!!食べる!」
去り際に言った言葉に後ろから返事が返ってきた。
ふふっと微笑みながら陽稀の部屋を後にする。
下に降りて時間をみると、食べる時間がまだありそうだったのでごはんや味噌汁をよそったり、温め直したりしているとバタバタと豪快に階段を降りる音がする。
絶対陽稀だ。
「朝ごはん!あるの!?」
「ふふっありますよ。
座ってください。」
丁度食事を机に並べ終えた所だった。
「うわ!美味しそー!
いただきます!」
キラキラした目でそう言って食べ始めた陽稀。
美味しい美味しいと言いながら食べてくれて凄く嬉しくなる。
「ふぅ、美味しかった!
ごちそーさまでした!」
「あ、付いてますよ。」
意気揚々とご馳走様を言う口元にはごはん粒がついていたので微笑ましく思いながら取ってあげる。
「あ!それ僕の!」
どうやら食に対する執念が凄いようで取ってあげた腕を握って引き寄せられ、つまんでいた米粒を舐め取られた。
「うわ!ちょっと、」
「んーおいし!これで本当にごちそーさまだね!」
悪びれもなく、にこにこ笑う陽稀にそれ以上何も言えなかった。
「そろそろ迎えが来ますよ。」
「やべ!」
そう言って立ち上がりまたバタバタと忙しない陽稀。
横目で見ながら陽稀が食べ終えた食器を洗う。
丁度洗い終えたタイミングでインターホンが鳴った。
佐々木さんだったので昨日の教えてもらった通りにボタンを押してシャッターを開ける。
陽稀、大丈夫かな。と出ていったドアを見つめていると、玄関からガチャガチャと音がする。
玄関へ向かうと丁度ドアが開き、佐々木さんが現れた。
「おはようございます。咲夜さん。
よく眠れましたか?」
「おはようございます。おかげさまでよく眠れました。
お気遣いありがとうございます。」
2人で話していると、ドタドタと騒がしい足音がして陽稀がやってきた。
どうやら無事間に合ったみたいだ。
「陽稀さんも揃ったので、行きましょうか。
仕事内容などは向かいながらお伝えいたします。」
3人で昨日の車に乗り込むと、さっそく佐々木さんが仕事内容を話してくれた。
主に5人の仕事について行き、仕事をこなす上でのサポートをするのが主な仕事だ。
その他、スケジュールを管理したり売り込んで行ったりするのもマネージャーの仕事。
今日は陽稀のモデルの仕事と5人の雑誌のインタビューの仕事、そしてもうすぐ行われるコンサートに向けてそれぞれ練習をしてもらう事になっている。
ちなみに練習室は、なんと寮の隣のビルがそうなんだとか。
階によってボイトレが出来たりダンス練習が出来たり、ジムまで備え付けてあるそうだ。
隣なので歩いてそのまま行けるので暇を見つけてみんな自主練しているそうだ。
今日は5人のインタビューの後は個人の仕事が入っていないため、みんなでコンサートに向けての合わせをする予定だ。
仕事用のスマホを受け取り、このスマホで仕事の電話対応やスケジュール管理など全て行うよう教えてもらった。
メンバーの連絡先や佐々木さん、その他取引先の連絡先などもすでに入っているそうだ。
「そろそろ着きますよ。」
車が止まり、建物の中にみんなで入るとガヤガヤとざわめき立ったスタジオが現れた。
「陽稀さん入られましたー!」
「おはようございます!」
「おはようございまーす!」
みんなが陽稀に挨拶をし、笑顔で陽稀もそれに応えている。
煌びやかな世界に少し戸惑ってしまう。
「咲夜さん!」
どんどん奥へ進む陽稀について行っていたが、後ろから佐々木さんに呼び止められた。
「はい!」
「こちら、新しいマネージャーの冴島咲夜さんです。」
「冴島です。よろしくお願いいたします。」
「どーもー。カメラマンの安藤でーす。
にしても陽稀くん、今日は珍しく時間通りね。」
佐々木さんの元へ向かうと、本日カメラマンを務める安藤さんを紹介された。
金髪でいかにも怖そうな顔つきからは想像できない緩やかで女性的な口調に心の中で驚く。
「はい。冴島さんが頑張ってくれました。」
「へぇ、まぁ忙しいんでしょうからいいんだけどね。
、、、まぁ!陽稀くん素敵ー!今日もイケメンっ!」
急にぱぁ!と表情が明るくなった安藤さんの目線を辿ると、黒の細めのパンツにガバッと前が開いた黒シャツ、開いた肌にはギラギラとしたアクセサリーが輝いている。
いつの間にか着替えを済ませたみたいだ。
「陽稀くんこうゆうのも似合うと思ったのよー!素敵!
メイクとヘアもよろしくっ!」
「はーい!」
セクシーな服装で元気に返事をする陽稀。
「きゃー!かわいい!」
と安藤さんは興奮しっぱなしだ。
ヘアメイクを終えた陽稀の撮影が始まった。
急に精悍な顔つきになり、昨日今日見た陽稀とは全く違った印象だ。
かっこいい、、
安藤さんも乗せるのが上手で盛大に褒めながらどんどん陽稀の新たな顔を引き出している。
「あんっ!良い!
よし、一旦カメラチェックさせてねっ!」
撮影が中断した所で飲み物を持っていく。
「ありがとー!咲夜、どうだった?」
「かっこよかったですよ。陽稀さんの新たな一面を見れてドキドキしました。」
「えーほんと?うれしー!
僕も普段とは全然違う格好で、新鮮でたのしかった!」
にこにこ笑う陽稀はカメラを向けられていた時とは別人のようだ。
「そうなんですね。良かったです。」
雑談をしているとまたヘアメイクが直され、撮影が開始された。
「うん!いいわね、満足だわっ!
撮影終了よ!着替えていいわよ。」
「ありがとうございました。」
安藤さんが満足げに言い放ち、撮影は終了となった。
陽稀がお礼を言って着替えに向かった。
俺は佐々木さんと安藤さんへ挨拶に向かう。
「本日はありがとうございました。」
「こちらこそよ。
陽稀くんは私のお気に入りだから撮影が楽しくて仕方ないわ。
次は何着てもらっちゃおっかなー!」
長い間撮影していたにも関わらず、撮影時と何も変わらないテンションの高さに陽稀と似たような物を感じてふふっと笑ってしまう。
「ちょっとー、何笑ってんのよ。」
「すみません、テンションが変わらない所が陽稀さんそっくりで。」
「あら、私のこのテンションはお気に入り限定よ!
でも陽稀くんと一緒ってのは良いわねぇ、、、ん?ねぇ。あんたメガネ外してみて。」
「え?」
唐突な言葉に驚いて思わず聞き返してしまった。
「だーかーら、メガネ!ほら外して!」
急に腕が伸びてきて思わず後ずさると、背中に何かがぶつかった。
「わ!すみません。大丈夫で、「安藤ちゃん、僕のマネージャーいじめないでよ。」
ぶつかったのは陽稀だったようで、俺の肩に手を乗せて拗ねたように安藤さんにそう言ってくれた。
「あら!もう着替え終わったの?
やだー、虐めてないわよ!ねぇ?」
「はい。」
「ほんと?ならいいけどー。
じゃあ僕達は次があるんで行きますね!
えーと、今度は、、、「来週の木曜日です。」です!よろしくお願いしまーす!」
「んもう、かわいい!
じゃあまたねー!冴島ちゃんも、また。」
「、はい。よろしくお願いいたします。
では、失礼いたします。」
「ふぅ、、疲れたー!」
みんなに見送られてスタジオを後にし、車に乗り込んだ瞬間大きなため息を吐く陽稀。
「お疲れ様です。」
「安藤ちゃん今日も長かったなぁ。
いっつも押しちゃうんだー。まぁ僕が遅れちゃうのもあるけど、、」
「やっぱりお忙しいから遅れちゃうんですか?」
「んー、それもあるけど、、気づいたら過ぎてるんだよねぇ。」
え、それって「ただの遅刻じゃないですか!」
「で、でも、ちゃんと遅刻しない日もあるよ?
ほら今日みたいに!」
確かに今日、俺が起こさなかったら遅刻してたかも。
「陽稀さん。今は許してくれていても、ちゃんとしていないとどんどん見放されてしまいますよ。」
「うぅ、、」
「私もサポートするので、遅刻しないよう努力してください。」
「うん、頑張る。咲夜もちゃんとサポートしてね?」
「はい。頑張ります。」
「ふふっありがとー!」
ん?なんか丸め込まれた気がするけど、まぁ頑張るって言ってくれたからいいか。
「次は5人のインタビューですよね?
このまま迎えに行くんですか?」
そう運転してくれている佐々木さんに話しかける。
「はい。寮に灰原さんが戻ってきたそうで、昼食を作って待ってくれているそうです。
食べて、みんなで向かいましょう。」
「分かりました。」
そう答えながら思ったより早く会うことになった灰原さんの事を考える。
勝手に料理したりお風呂掃除したりした事、怒られないかな、、
過ごす上で欠かせない家政夫さんと揉めるなんて1番ダメだよなぁ、、と寮までの道のりを不安になりながら過ごした。
「いい匂い。」
「もうすぐできるよ。
あ、ごはん運んでくれない?」
「おう。」
意外と聞き分けがいい夜月。
頼むと文句も言わず手伝ってくれる。
「ねぇ、みんな起こした方がいいかな?
まだみんなのスケジュール知らなくて、、」
「自分で起きるだろ。」
「ほんとに?」
大丈夫かな、、不安ではあるがさっさと食おう。と席について見つめてくる夜月に折れて俺も座った。
「「いただきます。」」
「、、、うま。」
思わず溢れ出たような声にほっとする。
口にあったみたいで良かった。
昨日の残りの味噌汁と少しのおかず、白ご飯、それだけでは足りないかと思い焼き魚も作った。
「「ご馳走様でした。」」
ほぼ同時に完食したので一緒に唱えた。
片付けて着替えのため、また2階へ上がる。
「夜月は今日仕事?」
「あぁ。でも夕方からだった気がする。」
「気がするって、」
「後でスケジュール見れるだろ?教えて。
じゃ。」
そう言って自分の部屋へと入っていく夜月。
ちなみに夜月はお隣さんだった。
隣だから間違えたのかな。
結局何で俺の部屋で寝ていたのかよく分からなかったなぁと考えながら自分の部屋へ入りフォーマルで動きやすい格好に着替える。
歯磨きや髪を整えたりと身支度を済ませ、斜めがけカバンにもらった書類を入れて部屋を出た。
ちなみに斜めがけのカバンが良いと佐々木さんが昨日アドバイスしてくれたのだ。
きっと動きやすいからだろうな。
1階に下りてソファに座り、佐々木さんの迎えを待つ。
思ったより早く準備が進み、時間までまだあるな。とスマホを確認していると、急に着信が入った。
プルルルル、ピッ
"はい、冴島です。"
"あ!咲夜さん!おはようございます。"
"おはようございます。"
"あと30分ほどで着くと思います。
ちなみに陽稀さんも準備終わっていますか?
咲夜さんと一緒に迎えに行く予定なのですが。"
「え!そうだったんですね!
まだです。すぐ起こしてきます!」
"はぁ、、、すみません、お願いします。ではまた後ほど。"
「はい。ありがとうございます。
気をつけて来てくださいね。」
ピッ
はぁ、、、佐々木さんと同じ深いため息をついてまた2階へ向かう。
隣が夜月だったって事は夜月の部屋の向かいが陽稀の部屋だな。
コンコンッ
コンコンッ
コンコンッ
「陽稀さん?開けますよ?」
何度ノックしてもなんの音沙汰も無いので、声をかけてドアを開ける事にした。
奥のベッドの上に塊がある。
あれが陽稀だな。
近づくと、スースーと規則正しい寝息が聞こえてくる。
気持ちよさそうに寝ているとこ申し訳ないけど、、
「陽稀さん!朝ですよ、起きてください。
あと30分で迎えが来ます。」
声をかけても反応が無いため、ゆさゆさと塊を揺らす。
、、、「んんぅ、、ふぁ、、、ん?」
「陽稀さん!!朝です!!起きて!!」
先程より大きな声をかける。
「、、、ん?なんじ?、、ふぁ、あ、やばっ!!」
のんびり伸ばした手に握らせたスマホを確認すると、やっと覚醒したのか飛び起きた陽稀。
びっくりした、、
焦りで覚醒した陽稀は高速で顔を洗いに行き、俺に気づいてないのか大胆に服を脱いで着替え始めた。
「わっ、下で待ってるので着替えたら来てくださいね。
時間があったら朝ごはん食べてください。」
「朝ごはん!!食べる!」
去り際に言った言葉に後ろから返事が返ってきた。
ふふっと微笑みながら陽稀の部屋を後にする。
下に降りて時間をみると、食べる時間がまだありそうだったのでごはんや味噌汁をよそったり、温め直したりしているとバタバタと豪快に階段を降りる音がする。
絶対陽稀だ。
「朝ごはん!あるの!?」
「ふふっありますよ。
座ってください。」
丁度食事を机に並べ終えた所だった。
「うわ!美味しそー!
いただきます!」
キラキラした目でそう言って食べ始めた陽稀。
美味しい美味しいと言いながら食べてくれて凄く嬉しくなる。
「ふぅ、美味しかった!
ごちそーさまでした!」
「あ、付いてますよ。」
意気揚々とご馳走様を言う口元にはごはん粒がついていたので微笑ましく思いながら取ってあげる。
「あ!それ僕の!」
どうやら食に対する執念が凄いようで取ってあげた腕を握って引き寄せられ、つまんでいた米粒を舐め取られた。
「うわ!ちょっと、」
「んーおいし!これで本当にごちそーさまだね!」
悪びれもなく、にこにこ笑う陽稀にそれ以上何も言えなかった。
「そろそろ迎えが来ますよ。」
「やべ!」
そう言って立ち上がりまたバタバタと忙しない陽稀。
横目で見ながら陽稀が食べ終えた食器を洗う。
丁度洗い終えたタイミングでインターホンが鳴った。
佐々木さんだったので昨日の教えてもらった通りにボタンを押してシャッターを開ける。
陽稀、大丈夫かな。と出ていったドアを見つめていると、玄関からガチャガチャと音がする。
玄関へ向かうと丁度ドアが開き、佐々木さんが現れた。
「おはようございます。咲夜さん。
よく眠れましたか?」
「おはようございます。おかげさまでよく眠れました。
お気遣いありがとうございます。」
2人で話していると、ドタドタと騒がしい足音がして陽稀がやってきた。
どうやら無事間に合ったみたいだ。
「陽稀さんも揃ったので、行きましょうか。
仕事内容などは向かいながらお伝えいたします。」
3人で昨日の車に乗り込むと、さっそく佐々木さんが仕事内容を話してくれた。
主に5人の仕事について行き、仕事をこなす上でのサポートをするのが主な仕事だ。
その他、スケジュールを管理したり売り込んで行ったりするのもマネージャーの仕事。
今日は陽稀のモデルの仕事と5人の雑誌のインタビューの仕事、そしてもうすぐ行われるコンサートに向けてそれぞれ練習をしてもらう事になっている。
ちなみに練習室は、なんと寮の隣のビルがそうなんだとか。
階によってボイトレが出来たりダンス練習が出来たり、ジムまで備え付けてあるそうだ。
隣なので歩いてそのまま行けるので暇を見つけてみんな自主練しているそうだ。
今日は5人のインタビューの後は個人の仕事が入っていないため、みんなでコンサートに向けての合わせをする予定だ。
仕事用のスマホを受け取り、このスマホで仕事の電話対応やスケジュール管理など全て行うよう教えてもらった。
メンバーの連絡先や佐々木さん、その他取引先の連絡先などもすでに入っているそうだ。
「そろそろ着きますよ。」
車が止まり、建物の中にみんなで入るとガヤガヤとざわめき立ったスタジオが現れた。
「陽稀さん入られましたー!」
「おはようございます!」
「おはようございまーす!」
みんなが陽稀に挨拶をし、笑顔で陽稀もそれに応えている。
煌びやかな世界に少し戸惑ってしまう。
「咲夜さん!」
どんどん奥へ進む陽稀について行っていたが、後ろから佐々木さんに呼び止められた。
「はい!」
「こちら、新しいマネージャーの冴島咲夜さんです。」
「冴島です。よろしくお願いいたします。」
「どーもー。カメラマンの安藤でーす。
にしても陽稀くん、今日は珍しく時間通りね。」
佐々木さんの元へ向かうと、本日カメラマンを務める安藤さんを紹介された。
金髪でいかにも怖そうな顔つきからは想像できない緩やかで女性的な口調に心の中で驚く。
「はい。冴島さんが頑張ってくれました。」
「へぇ、まぁ忙しいんでしょうからいいんだけどね。
、、、まぁ!陽稀くん素敵ー!今日もイケメンっ!」
急にぱぁ!と表情が明るくなった安藤さんの目線を辿ると、黒の細めのパンツにガバッと前が開いた黒シャツ、開いた肌にはギラギラとしたアクセサリーが輝いている。
いつの間にか着替えを済ませたみたいだ。
「陽稀くんこうゆうのも似合うと思ったのよー!素敵!
メイクとヘアもよろしくっ!」
「はーい!」
セクシーな服装で元気に返事をする陽稀。
「きゃー!かわいい!」
と安藤さんは興奮しっぱなしだ。
ヘアメイクを終えた陽稀の撮影が始まった。
急に精悍な顔つきになり、昨日今日見た陽稀とは全く違った印象だ。
かっこいい、、
安藤さんも乗せるのが上手で盛大に褒めながらどんどん陽稀の新たな顔を引き出している。
「あんっ!良い!
よし、一旦カメラチェックさせてねっ!」
撮影が中断した所で飲み物を持っていく。
「ありがとー!咲夜、どうだった?」
「かっこよかったですよ。陽稀さんの新たな一面を見れてドキドキしました。」
「えーほんと?うれしー!
僕も普段とは全然違う格好で、新鮮でたのしかった!」
にこにこ笑う陽稀はカメラを向けられていた時とは別人のようだ。
「そうなんですね。良かったです。」
雑談をしているとまたヘアメイクが直され、撮影が開始された。
「うん!いいわね、満足だわっ!
撮影終了よ!着替えていいわよ。」
「ありがとうございました。」
安藤さんが満足げに言い放ち、撮影は終了となった。
陽稀がお礼を言って着替えに向かった。
俺は佐々木さんと安藤さんへ挨拶に向かう。
「本日はありがとうございました。」
「こちらこそよ。
陽稀くんは私のお気に入りだから撮影が楽しくて仕方ないわ。
次は何着てもらっちゃおっかなー!」
長い間撮影していたにも関わらず、撮影時と何も変わらないテンションの高さに陽稀と似たような物を感じてふふっと笑ってしまう。
「ちょっとー、何笑ってんのよ。」
「すみません、テンションが変わらない所が陽稀さんそっくりで。」
「あら、私のこのテンションはお気に入り限定よ!
でも陽稀くんと一緒ってのは良いわねぇ、、、ん?ねぇ。あんたメガネ外してみて。」
「え?」
唐突な言葉に驚いて思わず聞き返してしまった。
「だーかーら、メガネ!ほら外して!」
急に腕が伸びてきて思わず後ずさると、背中に何かがぶつかった。
「わ!すみません。大丈夫で、「安藤ちゃん、僕のマネージャーいじめないでよ。」
ぶつかったのは陽稀だったようで、俺の肩に手を乗せて拗ねたように安藤さんにそう言ってくれた。
「あら!もう着替え終わったの?
やだー、虐めてないわよ!ねぇ?」
「はい。」
「ほんと?ならいいけどー。
じゃあ僕達は次があるんで行きますね!
えーと、今度は、、、「来週の木曜日です。」です!よろしくお願いしまーす!」
「んもう、かわいい!
じゃあまたねー!冴島ちゃんも、また。」
「、はい。よろしくお願いいたします。
では、失礼いたします。」
「ふぅ、、疲れたー!」
みんなに見送られてスタジオを後にし、車に乗り込んだ瞬間大きなため息を吐く陽稀。
「お疲れ様です。」
「安藤ちゃん今日も長かったなぁ。
いっつも押しちゃうんだー。まぁ僕が遅れちゃうのもあるけど、、」
「やっぱりお忙しいから遅れちゃうんですか?」
「んー、それもあるけど、、気づいたら過ぎてるんだよねぇ。」
え、それって「ただの遅刻じゃないですか!」
「で、でも、ちゃんと遅刻しない日もあるよ?
ほら今日みたいに!」
確かに今日、俺が起こさなかったら遅刻してたかも。
「陽稀さん。今は許してくれていても、ちゃんとしていないとどんどん見放されてしまいますよ。」
「うぅ、、」
「私もサポートするので、遅刻しないよう努力してください。」
「うん、頑張る。咲夜もちゃんとサポートしてね?」
「はい。頑張ります。」
「ふふっありがとー!」
ん?なんか丸め込まれた気がするけど、まぁ頑張るって言ってくれたからいいか。
「次は5人のインタビューですよね?
このまま迎えに行くんですか?」
そう運転してくれている佐々木さんに話しかける。
「はい。寮に灰原さんが戻ってきたそうで、昼食を作って待ってくれているそうです。
食べて、みんなで向かいましょう。」
「分かりました。」
そう答えながら思ったより早く会うことになった灰原さんの事を考える。
勝手に料理したりお風呂掃除したりした事、怒られないかな、、
過ごす上で欠かせない家政夫さんと揉めるなんて1番ダメだよなぁ、、と寮までの道のりを不安になりながら過ごした。
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