無頓着な彼は。

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「着替え終わったんですけど、これであってますかね？」


・・・。


「え、なんか間違えてますか？」

「あ、大丈夫ですよ。あってます。
ただ、その。」


バサッ


急に傑先輩が近づいて来たかと思えば、ジャージを上から被せてきた。
そのままため息をつきながら抱きしめてくる。

驚き過ぎて声も出ない。

「はぁ。お前さ、少しは自覚しろよ。
そんな格好、襲えっていってるもんだぞ。
俺の前なら良いけどよ。」

「いや、これが置いてあったからで、
そんなつもりは無いんですけど、、。」

「、、とりあえずこれ着とけ。」

そう言ってジャージを残して離れ、俺も着替える。と隣の部屋へ向かった。


スースーするのでお言葉に甘えてジャージに腕を通しチャックを上まで閉めた。

閉めた瞬間どことなく張り詰めていた空気が落ち着いた気がする。


透先輩も着替えに隣の部屋へ向かい、他のメンバーは2人が戻ってくるまで待機するみたいだ。


「きょうちゃんも」「僕達と」
「「髪型一緒だねー！！」」
と嬉しそうに話しかけてきた空先輩と海先輩。

じゃあ僕達も髪型変えないでおこー！とにこにこしながら言ってくれた。
一緒なのは俺も嬉しい。


そのまま3人で楽しく話をしていたので、
3人の黒髪美女の戯れをそっと見守っていたり、
こっそり写真を撮りまくっていたりしている2人には気づかなかった。


カチャッ


ドアから出てきた傑先輩は、
黒のぶかっとした長袖のシャツにグレーの生地のベストのようなものを着ている。
グレーのベストの下の方には鮮やかな金の刺繍が施されている。
ベストより薄い色のグレーのズボンはダボッとしているが身長もあり上手く着こなしている。

え、女装じゃないじゃん、、
いや普通にかっこいい、、

思わずぼーっと見つめていると、

ニヤッと笑って「惚れ直したか？」と言ってきた。

むかつくー！
少し頬を染めながらぷいっと視線を逸らした。


またすぐドアを開ける音がしたかと思えば、今度は透先輩が入ってきた。


白いシャツに黒いダボッとしたズボン。
青いしっかりとした生地の上着を肩から掛けている。
上着には袖と裾に金の刺繍が施されており、上着と同じ生地の布が腰にも巻かれている。

白いシャツが爽やかさを強調させている。
そして透先輩は青がとても似合う！

もちろんこちらも男性用だ。

「どうかな？」
微笑みながらそう言う透先輩。

「似合ってます。すごく、かっこいいです。」

「ふふっよかった。」

いつもの敬語が抜けているのも相まってなんだか直視出来ない。


ソワソワした空気を打ち消すように
「じゃあ俺らもいこ～！！」
と大智先輩が夕先輩を押しながら言った。
一緒に隣の部屋へと向かった。


「おい、俺も似合ってるだろ？」
何も言われなかったのが気に食わなかったのか傑先輩がそう行ってくる。

似合っているのは事実なので、しょうがなく
「似合ってますよ、
似合いすぎてなんかむかつきますけど。」
そう言うとニヤッとなんだか嬉しそうに笑って頭を撫でてきた。

機嫌は良くなったらしい。